パトラとの街ブラ
「パパー、前より賑わってるねー」
「そうだね。何か食べようか」
「うんっ! パパー肩車してー」
「ハイハイ」
いつもならここでオレンジアントたちもやってきて、俺の身体を登っていくが、今日はパトラ専属だった。
いつもパトラは子供とは思えないほど頑張ってくれていて、そこに甘えてしまうところもあるけれど、しっかり子供が甘えられる環境は俺が作ってやらないといけない。
しっかりしすぎた子供っていうのはどこかで、顔色ばかりを窺っていて、大人になった時に心折れる時があるものだ。
アイザックの親もずっと俺たちと比べてアイザックにしっかりしろと言い続けていた。
あいつにも能力がないわけじゃなかった。
だけど、比べられてずっと否定されていれば性格が歪むのも仕方がない気もする。
アイザックは今頃何をしているのだろうか。
どこかで元気でやっていてくれればいいと思うが、鉱山勤務はかなり過酷だとも聞く。
特に仲間意識の強い鉱山では裏切り者には特に周りの受刑者からも当たりが厳しいらしい。
「パパーなに悩んでるの?」
パトラが俺の髪の毛をぐしゃぐしゃに撫でながら心配してくれた。
どうやら顔にでていたらしい。
「ちょっとアイザックのことを考えてたんだ」
「パパーの元パーティー組んで人かー。助けにいくー?」
「いや、そろそろ戻ってくる時期だろうし、それで手助けが必要ならするけど。きっとアイザックも俺が助けるのは嫌がると思うんだ」
「どれくらい嫌がるの?」
「仮面が必要なくらい?」
「そうかもな」
「うん。じゃあ必要なら陰から助けてあげよー」
「余計なお世話って言われないかな?」
「言われると思うよー。でもそこがパパーのいいところ」
「ありがとう」
いくつか露天商を見て回っていると、ケパブサンドという肉をナンで挟んだ屋台があった。持ちやすくとてもボリュウームがあって食べ応え抜群だった。
独特のソースがまた上手い。
その中にもキャベッツが入っていて、すっかりチヨウシノ村のキャベッツは王都の特産品の一つとして受け入れられたようだ。
「おーい! ロックさーん!」
沢山の人が行きかう中で、俺に声をかけてきたのはチヨウシノ村のウォーレンだった。
出会った時には怪我をしていて、突っかかってきたのが嘘のように表情が明るく、そして身体全体が鍛え上げられ筋肉質になっていた。
食べ物が改善して、毎日しっかり働いているからだろう。
とても素敵な笑顔で話しかけてきた。