魔物狩りの計画
「魔物狩りならドモルテ様が一番ですよね!」
「当り前じゃないか。味覚が戻った今なら最高級の美味しいお肉をゲットしてきてやるわ」
「それじゃ私はシャノンさんと一緒にダンジョンへ遊びに行ってこようかしら」
「いいですね! メロウさんと一緒に行けるの楽しみです!」
『俺は行きたいが、人里近くで見かけられたら問題になるからパス』
『私はロックと一緒にいる』
「俺は……たまには箱庭の中でゆっくりするかな」
せっかくだからたまには留守番するのもいいだろう。いつもみんな箱庭の中で待ってもらっているからな。
「はいっ! パトラはパパーと一緒に留守番してます」
「ロック様、それでは私は行きたいメンバー連れてダンジョンへ潜ってきますわ」
話の流れでシャノンが取りまとめ役となって、それぞれが魔物を狩ってくることになった。
狩った魔物は、随時箱庭へ送られてくるとのことだった。
「この辺りの魔物を狩りつくしてもいけないから、各自の移動を考えて期限は3日間にするか。危なくなったらすぐに箱庭に逃げてくるんだぞ」
パトラ以外のオレンジアントたちも魔物を狩りに行くようで、それぞれが準備をし始めた。
ん? なんか武器変わってないか?
オレンジアントA~Eまでそれぞれに武器を買ってやったことがあったが、今はそれとは違う武器を装備していた。
「パトラ、装備新しく変えたのか?」
「えへん。実はアントたちが独自に武器を鍛えて作ったんです。予備の武器もありますよー。見てみるー?」
「ぜひ、見てみたいな」
パトラは箱庭の地下ダンジョンへ行くと大量の武器を持って戻ってきた。いったいどれくらいあるんだろ。
「パパー、剣の大、中、小、軽量化され強度のました棒術用の棒、弓矢にその他トンファーとか色々だよー。可燃石を埋め込んだものもあるよー」
一番取りやすい場所にあった中剣を手に取ってみる。触れた瞬間、その辺りに売っている武器よりも数段上の武器だということがわかった。
持った時の手へのフィット感。重すぎず、軽すぎない絶妙な重さはまるで自分の為にオーダーメイドで造られた剣のようだった。
「こんな剣を作れるようになるなんてすごいな。どうやって武器の作り方なんて覚えたんだ?」
「えっとねぇー。5人で別々のやり方で剣を作るっていうのを繰り返して、いい方法をどんどん取り入れていったらできたよー。まだまだこれから強くできると思うよー」
「パトラたちはなんでもできてすごいんだな」
「へへっ、毎日一つでも成長できるように頑張ってるんだー」
大人が思っている以上に子供の成長は早い。
大人になってくると、いつの間にか自分の限界を自分で決めて、できない理由を考えて諦めてしまっていることがある。
子供は無邪気にできる、できないなんて考えずに突っ走ることができる。
それがちょっとだけ羨ましい時もある。
俺は優しくパトラの頭を撫でてやる。
「パパーくすぐったいですー」
「パトラは本当に偉いな」
「偉くないですよー。パパがいてみんながいるから楽しく挑戦できてるんだよー」
本当にいい子すぎるんだけど。
俺がパトラを愛でていると、シャノンたちの準備が整ったようだった。
「ロックさん、それでは食料確保に行ってきますね! 美味しいお肉沢山狩ってきますので期待しててくださいね!」
「あぁ楽しみにしてるよ」
シャノンたちが箱庭からでて行くと、少しがらんとした箱庭が今までよりも急に広く感じる。
いつの間にか沢山の仲間に囲まれていて、箱庭ではみんなの笑顔が溢れていた。
あの日、アイザックたちに裏切られた時、この世界には絶望しかないような気がしていたけど、人生どこでどうなるかわからないものだ。
「パパー何する?」
「そうだなー。パトラは何したい?」
「うーん。久しぶりにパパーと冒険者ギルト行って依頼とか見たいですー」
「よし、じゃあ二人でいくか」
俺とパトラはラッキーと紅桜に箱庭を任せると、久しぶりの王都散策へと向かった。