「もうやめてくれ! 頼む! 俺たちが悪かったから」懇願する奴らに……
「もうやめてくれ! 頼む! 俺たちが悪かったから」
一番最初はラッキーからだった。立派な城壁のあったスイジュ国の城壁をすべて風魔法で吹き飛ばした。もちろんケガ人がでないように注意をしながらという繊細が求められる魔法の動きを見事にやってのけた。
唖然とする男たちを横目に、今度はメロウが水魔法で街全体を床上浸水させた。
あくまでも殺すことが目的ではないので、力を見せるというのではそれで充分だろう。
きちんと対策をとらなければすぐに疫病が蔓延する。
魔法使いが多いらしいので、その辺りは問題ないはずだ。
そのあと、エミルがドモルテの力を借りながら国全体の気温を一気に下げた。
山頂からでもうっすらと氷が張っているのわかる。あれは地味に動きも封じられるし、やられた方としてはかなり嫌だろう。
そして、最後にドモルテがスイジュ国全体に隕石の魔法を打ち込んだ。もちろん、街や国を狙ってはいないが、ドラゴンが穴をあけた以上に広範囲にわたって地面はボコボコになってしまった。あれでは馬車などで他の街と交流するのも大変だろう。
他国へ攻め込むにしても道がしっかりしていないと移動するのも大変だ。
「頼む、俺たちの魔法がしょぼかったのは認めるから」
「別にお前たちの魔法がしょぼいとは思わないよ。だけど、実力差がわかっていないようだから、少し俺たちの国との違いを教えてあげないと。たしかお前たちの国は魔導スイジュ国だっけか? 全然魔法への抵抗ができていないみたいだけど、お前らはあの国でどれくらいの位なんだ?」
「俺たちは中堅くらいだが、こんなにすごい魔法を使える奴はいない。俺たちが間違いだった」
「残念だけど、間違いだったで許されることと、許されないことがあるんだ。命まで取られないことを感謝するんだな」
「本当に申し訳ない。もう二度とお前たちの国には手をださない」
「ロック、どうする? もう少しあの国にわからせてやる? ロックが望むなら今からあの国の街も滅ぼすことができるわよ。それに直接国を狙った方が後腐れないし」
『あぁ、私も思いっきり力を出していいなら人なんて関係なくここから殲滅することができるぞ』
ラッキーとドモルテはノリノリでお互いにアイコンタクトしんがら楽しそうに話を進めている。
「そうだな。このまま恨まれるのもいやだから、後腐れないのが一番だな」
「だっ誰も恨んだりしないさ。俺たちの国では魔法が使えることが一番なんだ。だから、絶対に恨んだりしない」
「でも、恨まれないためにはすべてをなくしてしまった方がいいだろ? 恨む相手がいなければ一番安全だからな」
「お願いします。命だけは……」
「そうだな。命だけは助けてやってもいいか。ただ、俺たちの命を奪おうとした責任はどうとるつもりなんだ? 一方的に攻め込んできて、命を助けてくださいって言ったからって許されることではないだろ?」
「もちろんです」
「どうやって責任とるんだ? 俺たちのこと問答無用で殺そうとしてきていたよな?」
「あれは事故といいますか……」
「ラッキー」
『あいよ』
ラッキーが今までで一番魔力を貯めると奥にあるスイジュ国の山を吹き飛ばした。あぁそこまで力を見せる必要はなかったんだけど……ラッキーが頑張ったでしょ? といった顔で俺の方を見てくるので怒るに怒れない。
「お前の理屈でいくと今のも事故だよな? あと何回くらい事故になるんだろうな。今度は間違って人のいるところにいくかもしれないな」
「お願いします。なんでもしますから」
「そうか。じゃあお前の国へ行くから、しっかり保証をするんだな」
「ロック、それなら私とララで行ってくる? そんな雑用にわざわざロックが行く必要ないし、私ならロックの元へ一瞬で戻ってこれるから」
「いいのか?」
「えぇ、この人たちを下まで送ってくれればそんな雑用すぐに片付けてくるわ」
「そうか、なら頼んだ。ラッキー護衛としてついて行ってくれ」
『あいよ』
彼らの表情はもう見ていられないくらい生気が消えていた。
「ということだから、しっかり言うことを聞いた方がいいぞ。俺がいない場所で失礼な態度をとったらもう誰にも止められないからな」
「ひぃ」
それから、ラッキーとドモルテたちはスイジュ国に行って、今回のことについて話をつけてくれることになった。
幼馴染のS級パーティーから追放された聖獣使い。万能支援魔法と仲間を増やして最強へ!
3巻が2021年12月24日(金)に発売になりました。
可愛いパトラの表紙の裏であの男が暗躍中!?
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【みてみんメンテナンス中のため画像は表示されません】
ラッキー『今年もあと少しで終わりだな』
ロック「そうだな。大掃除しないとな」
ラッキー『掃除なら任せろ』
ロック「風魔法で更地にするのは辞めてくれよ」
ラッキー『テヘッ』