王立学校魔法科 キスは有料です!
「……なんで?なんで?女神の力を使えば一瞬なのに。なんでわざわざ手洗いを。私、一応女神なのに。グスン」
「あー、乾燥は使ってもいいぞ。こら、もっと丁寧に扱え」
桶に水を張り返り血がこびりついたコートをパシャパシャ音を立てて洗う駄女神を俺はコーヒー片手に見下ろしている。
背凭れがキシ、と音を立てた。
俺が腰掛けているのはレティに買って来させたイケ〇のリクライニングチェア。
凭れるとゆらゆらと揺れる。
ただ今レティは俺の廚二コートをお洗濯中だ。
手洗いで。
その間俺はというとコーヒー片手にスラム〇〇ク10巻を読書中である。
「酷いです。女神をコキ使いすぎデスヨ」
「うるせー。黙ってヤレ」
「……うぅ、グスン」
女神らしく崇めて欲しければちゃんと仕事しろという話だ。
どう頑張っても解読不能なステータスを表示しやがった奴は許さん。
数値的なHP等はまだいいとして、(数値に頼りすぎると痛い目に合うしな。HPが満タン満タンでも一撃でゼロになることだってある)せめてスキルくらいはきちんと把握しておきたい。
ちなみにレティに確認した俺の現在の所持スキルがこれだ。
鑑定Lv3 俊敏(逃走時限定)Lv3 毒耐性(小) 物理耐性(小) 筋力増加(中) 麻痺耐性(小) 動体視力強化(常時小)
ステータスのトータルレベルが18。
これは冒険者で言えばC級。
兵士や騎士で言えば中堅クラスに入るかというところ。
「ん、落ちましたかね?キレイになりましたよね。よし『乾燥』!」
「出来たか?」
「はい。キレイになりましたよ」
「じゃ、コーヒーおかわり」
「……んみゅみゅ、はい」
しかめっ面ながらも俺の手からカップを受け取っていくレティ。
あれだな。
長いこと下僕人生、いや神生送ってたからか下僕根性が染み着いてるんだな。
ーーカワイソウにww。
のんびり読書しながらコーヒーのおかわりを待っていると、突然世界に穴が開いた。
空中にちょうど人の大きさくらいの白い穴が。
「なんだ?」
ーー誰か来る。
気配からして敵意はないようだが。
ここに入り浸るようになってから、別の神や人間が訪ねてきたのは初めてだ。
「ヤッホーい!ナッちゃんだよーん♪レティー!引っ越し祝い持って遊びに来たよーん!!……って誰?」
「そっちこそ誰だ」
穴から飛び出してきたのはやたら官能的なピッチピチな黒いヘソ部分に穴の開いた水着?レオタード?の上からマントを羽織り、ニー丈の編みブーツを履いたガキだった。
中一くらいか?
「ウチは堕天使でサキュバスのナッちゃんだよー!お兄さんは?」
「……俺は、まあ、レティの主人ってとこかな?」
「ふーん。お兄さん人間?すごい魔力感じるけど」
「一応」
「そっかー!ウチレティの友達やねん。よろしゅー!ぶちゅ♪」
チューっと飛び付かれて口に吸い付かれた。
「ナッちゃん!何してるんですか!アイクさんは私のっ!……や、その私専属の信者ですよっっ!勝手に精気吸わないで下さいっ!有料です!!」
おい、金払えばいいみたいな言い方だな。
俺はぶちゅとガキんちょに吸い付かれたまま、頭の隅で駄女神へはまだお仕置きが足りないな、と思った。




