第二部 王立学校魔法科 授業開始とホットパンツ
学校が始まって最初の授業は魔法史。
つまりは座学だった。
ーー眠い。
昨日は寮の門限である午後七時ギリギリまでダンジョンに込もっていたのだ。
鑑定のレベルも上がって頭痛やら目眩やらはずいぶんマシになったが、それでも慣れない戦闘に気を張っていたこともあってすごく疲れた。
朝の日課をこなして身体を動かしている間はまだ平気だったんだけど。
男性教師の解説がまるで子守唄に聞こえてくる。
が、さすがに初日だけあって教室内に居眠りはいない。
今ここで俺が寝てたらものすごく目立つ。
目立つし、教師に目をつけられる可能性も高い。
ーーああだから駄目なんだけど。
駄目なんだ。
わかってるんだけど、眠い……zzzz。
「……初日から居眠りとは」
ポコンと何かが頭にぶつかった。
尖った固い、けど軽いものだ。
この懐かしい感触……教科書の角?
ああまだ日本の中学年だった頃はよく担任にヤられたよな。
昨今だと体罰とか言われちゃうらしいけどね。
「アイク・ローウェル!」
「……うおっ!」
んなっ?
ピリッときましたよ!
ピリッと!
ちら、と目を上げるとさっきまで教壇にいたはずの男性教師の呆れ顔がそこに。
手にはパリパリと電気らしき火花を帯びる教科書が。
雷魔法?
うっわ、すげ!
俺は思わず自分の立場も忘れて感心してしまう。
雷魔法は二つの属性魔法を組み合わせて為す複合魔法だ。
さすが王立学校。
魔法科とはいえそれなりの実力者を教師として雇ってあるらしい。
複合魔法の使い手とあらば上位貴族の家庭教師くらいはできそうだ。
ちなみに上位貴族の家庭教師ともなれば給金は平民のおよそ10倍以上。兵士や並みの冒険者と比べても3倍くらいはあるんじゃないかな?
「いい度胸だな。それにオマエには俺の授業は必要がないらしい。……これ持って廊下に立ってろ」
そう言って渡されたのはいまだにパリパリいったままの教科書。
触れてみると教科書自体に電気が通っているのではなく(そりゃそうだな。燃えてないし)薄い膜を張った外側に雷を纏っている状態のようだ。
俺は頭まで電機風呂に浸かっている気分を味わいながら廊下に立たされた。
昼の休憩が来るまでずっと。
何故か次とその次の授業の間もそのままだったので、合間のたびに前を通る生徒たちに笑われながら。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「まっだ身体中がモゾモゾするよ」
「そのわりにはしっかりご飯は食べてたよね」
午後からは選択科目だ。
俺とノエルは二人とも近接戦闘の授業を取っているので、一緒に演習場へと向かっている。
「当然だぞ?食事は身体造りの基本だからな」
少しばかりしびれてるからって食べないとかないない。
学校内でも実はずーっと鑑定を発動し続けてるから体力魔力の消耗が激しいんだよ。
演習場には十人ほどの生徒が集まっていた。
なんかひょろっとしたのが多い。
というか冒険者があんまりいないのかな。
すでにダンジョンで魔物と日々やりあっている冒険者にはすでに基礎は必要ないってスタンスが多いのだろうか。
それでも何人かはいるな。
俺はどっちかっていうと基礎重視派だ。
少なくとも物理攻撃に対してはね。
魔物と戦いを繰り返すことで経験値が増えるし結果体力や能力、技術面も向上はする。
だけど、やっぱり基礎がきちんと出来てるかどうかで同レベルでも違ってくると思うんだよね。
「さて、全員集まっているかな?」
お、教師か。
美人だ。
魔法師がよく身に付けるマントにその隙間から覗くスラリとした足。
細すぎず肉感的な素晴らしい足だ。
あれ?
けどあのホットパンツから覗く美脚、どっかで見たような?
「近接戦闘を請け負うアニシラ・パッフェだ。よろしく」
腰に手を当てて俺たち生徒を見回したのは、冒険者ギルドでサーニャさんと一緒にいた赤毛の美人さんだった。




