騎士(ナイト)
ー騎士ー
それは、18歳以上の男性が16歳以上の親しい女性に生涯尽くすと誓い、くちづけをした人たちのこと。
国のためには率先して戦場に立たねばならない、そのような危険と隣り合わせな役職だ。
私の名はフレア。ここ、サントレア王国の姫だ。自分で言うのも何だが、男性恐怖症で、男の人と目が合っただけで震えが止まらない。そんな私の目の前に今、なぜか男性がいるのだ。私の部屋のドアの前に…。
「はじめまして、フレア様。今日から貴方の騎士になります、ハクと申します。以後、お見知りおきを。」
はい??いやいやいや、ちょっと待て、騎士とはあれだぞ、親しい女性に対して生涯を捧げる者が名乗る名でだな、赤の他人に使える者の事を言うんじゃないぞ。なにか勘違いしてるのか、コイツ…
「すまないが、人違いだ。それじゃ」バタッ
「いいえ、人違いじゃないですよ(ニコッ)」ガッ
くっ、コイツ…、ドアを閉めようとしたところに片足を挟みやがって…
これじゃ閉められないじゃないか…はぁ
「悪いが私は男が嫌いなんだ。他を当たってくれ。」
「たしかに、お父様からはフレア様は男性と目が合っただけで震えが止まらないと聞きましたが…、今、僕と普通に話してますよね??」
そういえばそうだ。なぜだろう?彼は他の男性とは違う、そんな気がする。って、、、何を言ってるんだ私は。男なんてみんな同じだ…。
「とにかく私は騎士はいらない。お引き取り願おう。」
「そう…ですか…なら、強行突破で(ニコッ)」
その瞬間、なにか柔らかいものが唇に触れた気がした。おそらく彼の唇。その言いようのない甘い感覚に、なんか、、、すごく…
「気持ち悪いわ!!!!」
「えー、、、そこは少女漫画の王道で、ムリヤリのキスにドキッとかなりましょうよ(ニコッ)」
「なるわけない!!」
「まー、でも、ツンデレは後で結局好きになっちゃうタイプですからね、あとが楽しみです♡」
「お前…、だんだん素が出てきてるぞ…」
なんだ、このふざけたヤツは…
こんなやつが私の騎士?冗談じゃない。こーゆーふざけたやつが一番むかつくんだ。ここはビシッと言ってやる。お前など必要ない、と。
「君にひとつ言っておきたいことがある。」
「何でしょう??」
「君の気持ちはありがたいが、私にはやはり騎士など必要ない。だから君も必要ない。悪いが引き取ってくれ。」
「え?もうキスしたのに??」
「それは君がムリヤリ…っっ!」
かああああっっ!
だめだ、動揺が隠しきれない。頬が…熱い…。なんでこんな何でもないやつにドキドキしてるんだ??いや、前にどこか出会った気がする…。どこ…だ??
「知ってますか??フレア様。キスをした者同士は自動的に主君と騎士の関係になるんですよ。その証拠にほら、フレア様の胸元に…」
「っっ!なんだこれは!!」
そこには朱色の紋章があった。薔薇のように刺々しい紋章が。
「ちなみに、僕の首にもほら」
「黒色の…首輪??」
「(ニコッ)」
どうやら彼の言っていることは本当のことらしい。本当に…私たちは…
「どうすれば、、、この契約は消えるんだ??」
「1ヶ月以内にこの首輪を僕から外せば、自動的に消えます。」
「その首輪をかせっっ!」
背伸びをして、彼の首元に手を伸ばす……、が、あっさりよけられてしまう。
「簡単に…渡すわけないでしょう?」
「くっっ」
「僕は必ずフレア様の騎士になりますから…」
「なぜだ?なぜそこまでして…」
「あの日の約束を果たすためですよ(ニコッ)」
「あの日の…約束??ってうわ!!急に抱きつくな!!」
「1ヶ月…、楽しみましょうね、フレア様♡」
「誰が楽しむかあああああああ」
彼の大きな腕の中。そこから彼と私との恋物語は始まっていった…。