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4話  魔法とスキルを得ました

 翌日8時…この世界に時計は無いので、巌のしていた腕時計での時間である…謁見の間に集められた勇者候補。今日の予定についての説明を、という理由らしい。


「えー、皆さんには、午前中に常識の授業と合わせて、ステータスボードと言う道具の登録と魔法適正検査をしてもらいます。ステータスボードは身分証明書にもなりますので、絶対にしてもらいます。無いと色々と面倒な事になること間違いなしです。昼食後、皆様の使いやすい装備を買ってもらう為街に行きます。その後訓練を見学、と言うのが今日の流れです」

「面倒な事ってどんなの?」

「無いと犯罪者として牢屋行きか、身寄りのない人として奴隷商に連れ攫われてしまうか…」

「うっわ、ならちゃんとやっとこ」

「そうしてください。勇者候補の方が奴隷として売られていたなんて報告、聞きたくないですからね。では、朝食後、また謁見の間に集まってくださいね」

 

 なお、朝食は非常に軽くすませるのがこの国の貴族的には基本らしく、パンと薄味スープ、サラダという地味な朝食になったため、勇者候補全員からちょっとした不満が漏れたのは仕方の無い事だろう。



――――――――――――



「えーっと、私が今日の授業を担当します、宮廷魔術師第一師団副団長のアルヴァンス・リリエットです。皆さんより年下なので好きなように呼んでください。今日は皆さんのステータスを計り、適正魔法を調べるのが目的です」


 赤い髪の美少女。琥珀の様な瞳で、肌は白く人形のような印象を受ける。150前半程の小ささだが、魔力の量は国内トップで、その地位は飾りではないとのこと。


「まずはステータスについて、ですね。HPたいりょくMPまりょくATKちからDEFぼうぎょAGLすばやさINTかしこさLUKうんの7つで表示され、それぞれが戦闘において非常に重要な物です。トレーニング等でも微量に上がりますが、一番早い上げ方はレベルを上げる事でしょう。そして、レベルを上げる最も重要なことが戦闘です。それも、魔物との戦闘が重要です」

「はいはいアルちゃん!ステータスってどうやって分かるのさ?」

「今から配るこの板に血液を付着させる事で個人用に登録させます。霊樹の樹皮から作られていますので結構高いです。ですので紛失しないよう注意してくださいね」


 足を組みながら質問する女子高生の質問に丁寧に答える少女。血を使うと聞いた瞬間、一部の人たちの表情が若干青くなる。


「血、使うの?痛いのやなんだけどー」

「そこは我慢してください。ナイフをお渡ししますので、指をちょっと切って付けるだけで大丈夫ですよ」

「ちぇー…」

「…これで良いのか?そしてこのステータスは一体どうなんだろうか?」

「あれ、もうやったんですか?えっと、どれどれ…!?」


イワオ・オニヅカ

Lv:1

HP:50/50

MP:100/100

ATK:25

DEF:15

AGL:20

INT:20

LUK:15


「これは多いのかな?それとも少ないのか?」

「…軒並み2倍、MPはLv1の平均MPの四倍…オニヅカさんは凄いです!」

「…さすが先輩。MPと賢さ、運以外は完敗。あ、リリエットさん、私のはこうだった」


モモカ・シラヌイ

Lv:1

HP:20/20

MP:150/150

ATK:10

DEF:8

AGL:12

INT:30

LUK:20


「…私のLv1だった頃のMPより多いです…成長すれば世界でも上位の魔力を持てるかもしれませんよ」

「そう?これで、先輩の隣に居ても迷惑をかけない、はず…」

「ん、不知火、何か言ったか?俺がどうのこうの…」

「独り言。先輩は気にしないでください…」

「そうか…何か悩み事だったら相談に乗るからな?」

「…ありがとう、先輩」

「コホン、さて、皆さんステータスは表示された様ですね。では、次は適正魔法の検査です、が…スキルの検査も一緒にやってしまいましょう。1人1人、私と2人っきりで検査をしますからね。理由として、魔法とスキルは個人で差が激しく、周りに知られると困るものも多いのです。1つだけ私の残念なスキルを挙げますが、『成長停止:少女』と言います。効果は名前の通り、少女のような体型で成長が止まってしまう残念なスキルです。なんで覚えたかは覚えてないので、恐らく生まれつきでしょう。とまぁ、こんな感じでマイナスなスキルもあるので、1人1人調べます。ではオニヅカさんから」


 個室に案内される。白い机と2個の椅子が置かれた小さめな部屋である。水晶球が置かれている以外は特におかしな物は無い。


「では、どちらから調べますか?」

「ではまずは魔法から。少々興味がありまして」

「あ、あの…敬語を使われると変な感じがするので…」

「…そうか、わかった」

「有難う御座います。では、魔法から調べますね…『魔法鑑定』」


 水晶球が光り始める。眩しくて目が開けていられないほどの光に、巌は腕で視界を遮り収まるのを待つ。1分ほど待った後、光が収まる。そして、水晶を覗くと、透明な球が3つと黄色い球が1つ浮かんでいた。リリエッタは驚いた表情を浮かべ固まっている。


「おーい、これはどう言う結果なんだ?」

「…オニヅカさん、貴方は、本当に何者ですか…?」

「…目つきが悪い一般人だろ?」

「はぁ…ユニーク魔法3種類、雷魔法の適正です……」

「なるほどなるほど、ユニークが3種類と雷…ん?」

「異常です。ユニーク魔法を3種類も覚えているなんて数多の歴史書にも無い異例の事態です。世界中を探しても3種どころか2種ユニークを覚えている生物すら存在しません」

「…実感が湧かないな。で、どうやったらユニーク魔法の詳細は分かるんだ?」

「魔力の操作を覚えたら分かるようになると思います…オニヅカさん、1つ約束してください。この事は自分が完全に信頼できる人以外誰にも言わないでください。危険人物として世界が貴方の敵になる可能性すらあります。良いですね?」

「あ、あぁ…さて、スキルを見よう」

「そ、そうですね…では、『スキル鑑定』」


 そう呟くと、水晶球に紙を押し付けるリリエッタ。今度は光ったりせず、待つこと数分。


「はい、これで一覧が出来たかと。あ、文字はまだ分からないんでしたっけ?」

「…いや、意味だけ分かる。書き方も読み方もサッパリ分からないが、頭の中でこれがこれ、あれがあれ、と判断出来る。で、これだと…」


勇者補正:勇者として召喚されたボーナス。ステータス成長が大幅に伸びる。

自動翻訳:言葉や文字の意味を理解出来る。但し意味を理解出来るだけで、実際の発音や書き方等は分からない。また、会話している相手に対してのみ自分の言葉が通じるようになる。

超健康体:正常な状態であり続ける。状態異常、状態変化を完全に無効化する。

威圧:自分が相手に何らかの要素で優位に立っている時、相手の戦意を大幅に削ぐ。

両利き:左右どちらの手を使っても同じ作業が可能になる。

不屈:心が折れない。常に冷静さを保てる。


「凄い…『勇者補正』は勇者候補の方だから良いとして、とても希少な『超健康体』と『不屈』を持ってるなんて…本当にオニヅカさんは凄いです!」

「そうか?まぁ確かに病気には一度もなった事は無いが…不屈?分からないなそれは…」

「自分でも覚えていないスキルって結構あるんですよ?『世界の声』が教えてくれたはずなのに…って言うのが結構あるんです」

「なるほど…これも、言わないほうが?」

「そうですね…スキルは大丈夫かと。問題はユニーク魔法3種類ですね…」

「まぁ、不知火位ですかね、言うとしたら。あと陛下?」

「陛下、は…どうでしょう?私にはわかりません。陛下に言うかどうかはご自身で判断してください。不知火さんは?」

「基本無口だから。あと、勇者候補の中で一番信頼出来るから。と言うか、あっちの世界でもかなり信用できる奴だったからな」

「そうなんですか…良いなぁ…私、見た目がこれなので、どうしても虐められてばっかりで…って、勇者候補の方に何を話してるんだか。忘れてください、今の!そ、それでは次の人を呼んでくれませんか!?」

「…分かったよ。でも、愚痴りたくなったら俺の所に来い。愚痴に付き合ってやるさ」

「…有難う御座います」

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