エピローグ
今回はあげれました!よかった。
ありがとうごさいました!
「被告人。前へ。」
裁判官が言うと、無精髭を生やした痩せた男が証言台に立った。
「被告は、ジョン・ワグナー、スティーブン・ファウスト、マイケル・ジョーンズ、デヴィット・チェンバース、以上四名を拉致し、監禁。自傷行為を強要したあげく、従わないものを殺害した。この事は、紛れもない事実である。これらのことから、被告人、ジョーイ・トラビスを誘拐罪、監禁罪、殺人罪により有罪とし、終身刑とする。」
「わかりました。」
男は、やけにあっさりと認めた。そこに、検察官は立ち上がり、一つの質問をした。
「最後に一つ訊きたい。なぜあなたは、あの有名な大企業の支部長でありながら、こんな残酷なことをしたんです?」
男は答えた。
「今回はたまたま私だっただけです。」
「は?」
そのまま、男は連れていかれた。法廷内には、異様な雰囲気が漂っていた。
「あいつは初めての“仕事”で、ヘマしたのか?おかしいだろう。」
どこかの地下室の一室で、六、七人の男たちが、パイプ椅子に座りながら話をしていた。
「そうだよな。せっかく“誘導”から昇進したのに。普通、初仕事は慎重にやるものだろう。」
「あいつ、本業の方のストレスで、最近ノイローゼになっていたからな。おおかた、初仕事で浮かれたんだろう。」
「まったく…あれほど証拠を残すなと言ったのに…」
「まあ、この“仕事”の存在が気付かれなかったのが、不幸中の幸いだがな。」
「スタンブ。トラビスの代わりだ。お前が“仕事”をしろ。」
「はい。」
ライト・スタンブ、またの名をトム・トーマスは、厳かに、かつ陰険に言った。
「大出世だな。お前は初めての“誘導”から、初めての“仕事”だ。羨ましいぜ。」
「で、どうよ。」
「何がです?」
「この仕事だよ。拉致した奴らを拷問紛いのものにかけて、それを録画、ダビングして酔狂な金持ちに売る。随分な儲けだ。やっぱり金か?」
「金なんかどうでもいい。ただ俺は、人が自分で死を選ぶ様を見て、笑っていたいだけですよ。」
ライトは、ここで狂ったように、暗く笑った。それを見た男たちも、突然笑いだした。
「はっはっは!狂ってんなお前!」
「天職だな!」
「恐縮です。」
男たちはひとしきり笑うと、それぞれ部屋を出て行った。ライトだけが残り、独り言を呟いた。
「自分を傷付けるのが怖い…か。ああ怖いさ。でも、他人を傷付けるのは…快感だよ。」
その後、ジョーイ・トラビスは牢獄の中で、喉を切って死んだのが見つかった。壁には、『永遠とも思える痛みより、刹那の死を望む。』とあった。
かなり微妙な終わりですが、これで完結です。
長い間、ありがとうごさいました!