第四話 狂った神経
今回は時間がかかった割に短めです。
「早くやったほうがいい。麻酔で眠ってしまうぞ。」
のこり十一分になった時、前の部屋の男が言った。ジョンは、多少の不安を感じながら、包丁を手に取った。
そして、自分の手に包丁を落とした。
…痛みが無かった。まるで自分視点の映画を見ているようだ。
「…まずは10pt。」
余裕。ジョンの頭の中にその二文字が浮かび上がった。痛みがないなら、いくらやっても…
「おらあっ!」
20、30pt。続いて…とその時、一瞬の不安がジョンの脳裏によぎった。ジョンは思わず手を止めた。ジョンの左手は、血を吹き出しながら、痙攣していた。
「な…」
「50pt到達!」
隣の部屋の男が叫んだ。その言葉にジョンは少し喜びを感じた。少なくとも、一人助かった…。
「じゃあ、加点といきょうかぁ!」
「え?」
「金のためぇ!痛きゅないいまならぁ!」
「やめ…」
ブシュッ!
さっきとは比べ物にならい音と血が出た。包丁で腹を刺したのか?おそらくそうだろう。壁一面に紅が染まっていた。何度も嫌な音と狂ったような笑い声がひびく。が…
「はははは…は…」
突然、笑い声と嫌な音が止まった。
「なんだ?」
「俺もよく見えないからわからないが…多分、止血をしていなかったから、出血多量による失神だ…これじゃ、もう何もできないな。」
それを聞き、恐怖を感じたジョンは、すぐに包帯を手に取り、止血した。危なかった。もう少しで、死んでいた。
ジョンは、去った、表現できなかった危機にひとまず安堵した。
「だけど、まだ30ptしか貯まってない。やらないと…!」
「ああ、急げ。のこり十分を切った。」
その言葉を聞いたジョンは、手にした包丁を置いた。
「思うんだが、なぜあんたはやらないんだ?」
「…もしかしたら警察が来るかもしれない。そう思っているだけさ。心配するな、残り五分になったらするよ。」
ジョンは、不安を感じながらも、包丁を手に取り、左腕の二の腕を刺した。