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自虐ゲーム  作者: 鳴海歩
4/8

第三話 ゲームスタート

今回は早めに更新できました!

よかった〜


…始まってから五分が経つ。というのも、部屋の壁にはタイマーがあり、残り何分かわかるようになっている。だが、誰も動こうとしない。両手は自由になった。が、凶器を持つ素振りもしない。ずっと無言のままだ。当たり前だ。誰だって痛いのは嫌だ。しかも転んだとか、殴られるとかいう生ぬるいものじゃあない。「痛み」の最高点のようなものだ。


「ええい!このまま誰もやらないんだったら、俺がやる!どっちみちポイントを貯めなきゃ死ぬんだ!50万$はもらうぞ!」


右側の部屋の、姿が見えない男が言った。が、声には恐怖の色がはっきりと見えた。


「…!」


ジョンは口が利けなかった。あまりにも驚き、声を出すことが出来なかった。怖くないのか…?

その瞬間、


「ぐああああっ!」


何か柔らかい果実のようなものを潰すような音とともに、深紅の液体が透明な壁に大量に飛び散った。

ジョンは、その様子をただ見ていた。おそらく、自分を傷付ける場面を見えたなら、直視ができなかったろう。だが自分が見えるのは血だけ。それだけだと、何も感じない。そんな自分が、とても恐ろしくなった。


「あああっ…」


突然、血が更に吹き出した。聞いたことがある。刃物を刺した時、一番血が出るのは、刺した時ではなく、抜いた瞬間だということを。


「あああっ…あ…」


急に男の声が消え、血が壁に飛び散る音だけが聞こえた。


「…どうなったんだ?」


向こうの部屋の男が答えた。


「…痛みによる失神だ。包丁で腹を刺したようだ。あれじゃあ、少なくとも15分は気を失ってる。」


「なっ…!それじゃあ、あいつは、時間制限まで、気を失っているのか?」


「いや…その前に、出血多量で死ぬ。」


「…!」


じゃあ、どうすればいい?ジョンは不安になった。自分を傷付けねば殺される。が、自分を傷付けても死ぬ。しかし、もしかしたらこの20分の間に誰かが助けてくれるかもしれない。ジョンは可能性に賭け、凶器には手を出さなかった。


男が失神し、三分ほどがたった。


「いきなり包丁で刺すから悪いんだ…カッターで少しずつやって行けば…」


左の部屋の、顔いきなり、の見えない男が言った。台に置いた手にカッターを叩きつけたのだろう。カン!という音が聞こえた。


「うっ…」


そして叫び声が…響かなかった。


「へ?」


「…痛くない。痛くないぞ!」


「何だって?!」


「痛くない!」


何度もカン!カン!という音が響く。


「痛くない!痛くない!いちゃくにゃいぞう!」


「呂律が…回ってない?」


「俺たちもだ。」


前の部屋の男が言った。


「さっきより…呂律が回らなくなっているはずだ。」


前の男がさっきより少し遅く言った。ジョンは唇を滑らせるが、感覚が鈍いのを感じた。


「…確かに…」


「恐らくこれは、遅効性の麻酔だ。だから、痛みがない、呂律も回らない。」


ジョンは驚いた。ならば、もう少し遅く、あの失神した男が自傷すれば、死ななかったかも知れなかった。と思った途端に、急に、憤りをかんじた。


「…くそ!」


ジョンは、自分の怒りを元凶である、声にぶちまけた。


「この糞野郎!」















「一人死亡…と。」


どこかわからぬ暗い場所でモニターを見ながら男は言った。


「次は誰かな?…フハハハハハハ!」


笑い声は、消える事なく続いた。


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