第一話 状況把握
ついにゲームが始まります!
「う…ん。」
やたらベッドが固い。まるで床に寝ているようだ。いや、床に寝ているのか?寝惚けて落ちたのだろうか。だが、ベッドの下には絨毯を敷いていたはず。ジョン・ワグナーは静かに目をあけた。
「ここは…?」
自分が寝ていた部屋ではない。まるで地下室のような部屋。だが一つだけ地下室らしくないのは、一方の壁が透明であること。透明な壁の向こうに何かがあるのはわかった。だが暗くてよく見えない。
とりあえず立とうと思い、まずは腹に力を入れた。が、起きれない。というより、全身を縛られている。
「!?」
自分が覚えのない部屋に居ると知ったときから潜んでいた不安が一気に爆発した。縛られているなんて、普通じゃない。
「誰か!誰かいないのか!誰か!」
恐怖のあまり、無意識に助けを求めていた。だが、何も答えはない。自分の虚しい助けだけがこだまする。
その時、部屋がいきなり明るくなった。驚いて辺りを見渡すと、自分が台の上に縛られている事がわかる。そして台の隣には、鉛筆、カッター、包丁、小型チェーンソーが台の上にある。そして頭の上にはギロチンが待ち構えている。ちょうど落ちたら首に来る位置だ。
瞬時の直感。俺は死ぬ。おそらくこれらでいたぶられて…
『ピンポンパンポーン』
どこからか間抜けな音が聞こえる。
『ミナサーン。オハヨーゴザイマース。』
ボイスチェンジャーで変えたような、甲高い声が響く。
「皆さん?」
ジョンは、透明な壁の向こうを見た。目の前に二つ、一つの空間を隔て、自分と同じような状況で部屋に入っている人がいる。
視界の端の方に二つ部屋があるのがわかる。おそらく自分と同じ状況だろう。
『コレヨリルールセツメイヲオコナイマース。』
「ルール説明?」
『アナタタチニハコレカラ、「自分」ヲコロシアッテモライマース。』
…は?「自分」を殺しあう?
「何いってんだ?!ふざけてんのか?!俺を変なところに閉じ込めやがって!ただですむと思うなよ!」
違う部屋にいた一人の中年の男が言った。透明な壁に面会時の時のような小さな穴が無数にある。
『ウルサイナァ。シズカニシテクダサイ。チャントキコエテマスヨ。コレカラルールセツメイシマスカラ、ダマッテテクダサイ。』
「はぁ?!ふざけんな!出せってんだよ!」
男は相変わらず喚く。こちらも少しうるさく思えてくる。
声が何も言わなくなった。諦めたのか?
『アーウルサイ。』
と言った瞬間。男の頭の上にあるギロチンが動き出した。
ガシャン!
『…シズカニナリマシタネ。』
ジョンは震えた。声がうまく出ない。目の前にある部屋には、大きめの玉と、首がない体。下に落ちたギロチン。そして、未だ溢れる血…
「…よく聴いとけ。」
「え?」
「ルール説明、始まるぞ。」
前にあるもう一つの部屋にいる人が言った。
『ソレデハ、ルールセツメイヲオコナイマス。』
ジョンは唾を呑み込んだ。こいつは…本気だ。
ルールは結構ややこしいんであとあとまとめます。