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プロローグ
新連載です!
「ぐっ…ああああああっ!!」
灰色と透明の壁に血飛沫が上がる。椅子に座ったまま、刺さった包丁を更に深くえぐりこむ。血が一時的に弱まった。包丁が蓋の役目を果たしたか?
「っ…ううっ…」
だが、これで終わりではない。次に包丁を抜いた。そして止血を…のはずだった。だが、抜いた瞬間に出た大量の血によって、意識が遠のく。
「あ…」
男は気を失った。椅子で項垂れ、血がなくなるのに、そう時間はかからなかった。
しばらくの間、静寂が場を支配した。不意にノイズの音がする。ボイスチェンジャーで変えたような甲高い声が響く。
『ジョージ・リーさんの死亡が確認されました。ゲームオーバーで〜す。アハハハハ…』
しばらく気味が悪いほどに高い笑い声が響く。時間がたてばたつほど、笑いは激しくなる。そしてプツンという音が聞こえ、また静寂が場を支配した。