思い込みのスケール
リリリリリッ。
検知機が、長年待ちわびた音を鳴らした。
私は表示パネルに飛びつき、数値を舐めるように確認する。
「これは……すごい」
この宇宙探査船では積みきれないほどの純水と地下資源。その量は、故郷へ帰るために必要な航路を十分に確保できるものだった。私は迷わず、この小さな星へ座標を合わせた。
地表に近づくと、着陸地点に微かな光点が見えた。大気の揺らめきか、有機反応か。警戒しつつ、ゆっくりと降り立つ。
細かい黄色い砂が絶え間なく吹き荒れている。有機物らしいものは目視できない。手袋越しに砂を撫でると、小さな破片がパラパラと当たった。
よく目を凝らすと、砂の隙間で何かが蠢いているようにも見える。透明なのか、あまりに小さいのか……判別がつかない。
「まずは採掘だ」
掘削装置のスイッチを押す。振動とともに砂埃が舞い上がった。
そのとき、風の中に紛れて、かすかな――悲鳴のようなものが聞こえた気がした。
身を屈めて周囲を見渡す。しかし何も見えなかった。
ただ、どこかで小さな破片が跳ねては、わずかに軌道を変えてこちらへ飛んでくる。
「……もしかして、狙われている?」
気になって探査船へ戻り、有機体検知機を起動した。
するとモニターは──おびただしい数の反応を示した。
点のような有機体が不規則に動き、ひとつが先頭に立って隊列を組むように、この船へ近づいてくる。
「まさか……知的生命体、なのか?」
姿は一切見えない。透明か、極小か。
進化の過程で、こうした姿になったのだろうか。だが、私はもう採掘を始めてしまった。敵意を持たれていても仕方ない。
急いで離陸態勢に入ろうとした瞬間、通信パネルに信号が入った。
「…我々ノ資源ヲ返せ……侵略者め……」
言語を理解している。私は急いで離陸レバーを握りしめた。その手には力が入る。
ふと、その発信源の座標が視界に入った。
私は、離陸レバーからそっと手を離す。
そして、数値を眺めながら静かにうなずいた。
「なるほど。そういうことか。それなら、問題ない」
彼らの姿が、ようやく理解できた。
私は比較的巨大な惑星に生まれたようだ。
「悪いが、資源は持ち帰らせてもらう。こっちにも生活があるんでな。これでようやく、故郷に帰れる」
大量の資源を積んで探査船が舞い上がり、砂漠に突風が走る。無数の有機体の反応はそれを途方に暮れながら見届けるしかなかった。
突風が砂丘をえぐる。その下で、小さな影たちが転げ回った。
彼らにとっては大地震のような揺れだった。
──砂に埋もれた地球人たちは思った。
“宇宙人は人間と同じ大きさ”──その思い込みの、なんと小さかったことか。
生まれた星が大きければ、体も文明も、それに応じて巨大になる。ただそれだけのことだった。巨大な生命体に小さな武器では、無力すぎた。
そして、ひょっとすると自分たちも、知らず知らずのうちに誰かの小さな世界を踏み潰してきたのかもしれないと悟った。
『宇宙は広い』
その意味をようやく理解した。




