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第8話



 ガシャ


 ガシャガシャッ



 思うように動けないと思ったら、後ろにあるフェンスに手が縛られていた。


 力を入れると、手首が痛い。


 紐か何かが食い込んでくる。



 …一体、なんだ…?



 状況が飲み込めなかった。


 だいたい、俺はさっきまでコンビニにいた…よな…?


 ナイフで刺されて…



 それで…




 頭の中がキーーーンとした。


 まるで、冷たいもんでも口の中にぶっ込んだかのようだった。



 「夢」じゃない。



 咄嗟に感じたのは、目の前の出来事に対する感情だった。


 ありありと残ってた。


 さっきまでのこと。


 胸に残る感触。


 どうして目の前に天ヶ瀬がいるのか、その理由はわからなかった。


 わからないっていうより、「なんで?」って感じかな…


 それよりも、ナイフがどこにいったのか気がかりだった。


 体のどこも痛くないけど、ぶっ刺さってたのは間違いない。


 見間違いなんかじゃないはずだ…


 シャツが赤く染まってるのだって…




 「くそッ、天ヶ瀬…!これ、解いてくれない??」



 何で縛られてんだ…?


 動いてみたけどダメだった。


 びくともしない。


 …あの男の仕業か?


 だとしたら、やばくないか…?


 周りにいる気配はなさそうだった。


 コンビニの駐車場には、車の一台も停まってない。


 あるのは、原付バイク一台だけ。


 

 …警察



 天ヶ瀬にお願いしようとした。


 俺のポケットにスマホが入ってるはず。


 それを使って、早く助けを…



 「悪いけど、解くわけにはいかない」


 「…ん?」


 「キミがクラスメイトじゃなきゃ、そのまま森に捨てたんだけど」



 …何、言って…



 俺は訴えかけた。


 必死にだ。


 やばいやつが近くにいる。


 うまく呂律は回らなかったが、とにかく「やばい」って伝えた。


 早くここから逃げないと、また同じような目に…



 「変な男?」


 「そうだ!」


 「どんな感じの?」


 「…えっと、小太りの…」


 「スーツ姿のおじさん?」


 「そうそう!近くにいたのか??」


 「あの人ならもう帰ったよ。ここにはいない」



 …帰った?


 帰ったってどこに?



 どういうことなのか、いまいち理解できなかった。




 …そうか




 俺を縛ったのも、警察を呼ばれないためか?


 盗むもんだけ盗んでどっか行ったってことか?



 …じゃあ、ひとまず安心…なのか?



 「店員さんは…?!」


 「店員?」


 「中にいたんだ。男に脅されてて」


 「私のことでしょ」


 「へ??」


 「私、ここでバイトしてるの。見ればわかるでしょ」



 そう言って、彼女は制服を指差す。



 …そうか


 そういうことか



 帽子を被っててよくわかんなかった。


 見たことある子がいるなとは思った。


 ただ、ぶっちゃけそれどころじゃなかった。


 おっさんにばかり気を取られてて、よく見てなかったんだ。



 まさか、天ヶ瀬だとは…


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