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ワイバーン


 俺と未玖は冒険者ギルドの資料閲覧室へ向かい、ワイバーンの情報を確認することにした。


 ランクによる閲覧制限なんてものもあるらしいけれど、幸いワイバーンはかなり有名らしく難儀することもなく閲覧ができた。


「なるほど、これが飛竜か……」


 ワイバーンはBランクの魔物である。

 鋼鉄を引き裂くほどに強靱な爪を持ち、その針のような尾には強力な毒を持っている。


 口から己の属性のブレスを吐き出すことまでできて、ある程度知能も高い。


 何より凶悪なのは、空を飛んだ状態で空中から一方的に攻撃ができること。

 王国の騎士団が小隊二つ以上で当たって、なんとか倒せるという強さらしい。


 ただぶっちゃけ……俺なら問題なく討伐することができる。

 Bランクというのは、『騎士の聖骸』の魔物でたとえるならリッチに相当する。


 エルダーリッチを鎧袖一触で倒せるようになっている今の俺が、ワイバーンの群れ程度に苦戦するはずもない。


「問題は……国境に騎士団が張り付いているってところか……」


 現況戦力では討伐ができないと判断したヴェーロ騎士団は、急ぎ領都へ遣いを出し援軍を要請している最中だという。


 騎士団はワイバーンがヴェーロの街へやってくることを想定し監視のための戦力を置いており、ワイバーン達をいたずらに刺激しないよう、現在国境付近は彼らによって封鎖されていた。


 どうやら帝国の方も兵を出しているらしく、お互いワイバーンがあっちの領土に行ってくれればいいなぁと願いながら警戒をしているようだ。


「ワイバーンと騎士団の戦いは放置して、そのまま帝国へ出るって手もあるよ」


 たしかに未玖の言う通り、彼らの目をかいくぐって帝国へ行くということは可能だ。

 闇魔法を使い闇夜に紛れれば、騎士団とワイバーンから見つかることもないだろう。


「できればそれは最終手段にしたいな……ワイバーンが陣取っているせいで色々と物流も滞ってるっていうし。俺は王国は嫌いだけど、王国に住んでいる人達に罪はないもの」


 けど未玖さんの言った通りにした場合、このヴェーロの街に被害が出る可能性がある。

 もし神聖エルモア帝国についてからワイバーンが暴れてヴェーロの街が壊滅していた……なんて報を聞けば、俺は多分平常ではいられないだろう。


 それに放置していたらワイバーン達が神聖エルモア帝国の方へと向かう可能性だってある。


 力があるんだから助けてあげたい。

 できればあんまり目立たないような形で……。


「それならとりあえず……闇夜に紛れてなんとかしてみよう。未玖は宿で待っててくれるかな?」


「……うん、わかった」


 未玖は俺と一緒に宿に泊まっていたというアリバイ作りをしてもらう。

 もし何かあっても言い逃れできるようにしておかないとね。


 少しだけ悔しそうな未玖を見て、頭を撫でる。

 撫でているうちに上機嫌になった彼女ににこやかに別れを告げ、俺はワイバーン退治としゃれ込むことにした。



 



 日が暮れてから、宿屋に未玖を置いたまま街を抜ける。

 世界が夜の帳に包まれれば、闇魔法の有用性は一気に跳ね上がる。


 俺が使うのは闇と一体化する魔法であるダークオブザムーンだ。


 こいつはシャドウダイブとは違い影に入るのではなく、闇と一体化する魔法である。


 自身の周囲に黒い煙幕を展開するスモークカーテンとはまた違い、何を出すのでもなく闇に溶け込むことのできる魔法だ。


 暗い場所でしか発動できないという制約があるものの、夜に動く分にはなんの支障もない。

 俺はウィンドサーチとダークオブザムーンを使いながら、影の中に潜んでワイバーンと騎士団達のいる国境地帯へと向かうことにした。


 LV2まで闇魔法を覚えるナイトヴィジョンを使えば、暗がりに怯える必要もない。

 俺は潜入ミッションをしているス○ークの気分を味わいながら、騎士団達の警戒網を抜けていく。


 念のためにウィンドサーチを切ってから野営地を抜けていくが……警報装置が発動するようなこともなく、するりと抜けることができた。


 そのまま更に先へと進んでいくと――居た。

 合わせて八体ほどのワイバーンが、口からチラチラと炎を漏れ出しながら食事をしている。


 少し距離を置いて夜営をしている騎士団にバレないよう、極力音と光を出さずに倒したい。


 というわけで今回は……LV上げの終わった闇魔法を使って、仕留めさせてもらおう。


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