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「はあっ、はあっ、やった……のか……?」


 何度も攻撃を食らい全身は傷だらけ。

 失血と回復を繰り返し続けてきたせいで身体は冷たくなっており、感覚もなくなりつつある。


 だが、ドクドクと心臓は脈打っていた。

 そして俺は今こうして立っている。


「そうか、俺は……勝ったのか」


 口にすると、現実味のなかった光景が実感に変わる。

 緊張の糸が切れ、思わず膝から崩れ落ちた。


 と同時に感じる、内側から何かがこみ上げてくるような感覚。

 レベルアップの時に感じる感覚に似ている……が、今まで感じたものとはレベルが違う。


「ステータス、オープン」



鹿角勝


LV 242


HP 2530/2530

MP 125/3485

攻撃 569 

防御 527

魔法攻撃力 825

魔法抵抗力 792

俊敏 1051(限界突破) 


ギフト

『自宅』LV4

『聖魔反転』(劣化)LV1


スキル

光魔法LV10(MAX)

闇魔法LV8

火魔法LV9

風魔法LV10(MAX)

水魔法LV10(MAX)

土魔法LV5

雷魔法LV10(MAX)

氷魔法LV8

時空魔法LV10(MAX)

魔力回復LV10(MAX)

魔力感知LV10(MAX)

剣術LV10(MAX)

双剣術LV6

抜刀術LV9

範囲詠唱LV1

身体強化LV10(MAX)


《解放》

聖骸の騎士


 たしか以前確認した時、俺のレベルは223だった。

 今のたった一回の戦闘で、レベルが一気に二十近く上がった計算になる。

 けれどそれよりも気になることが。


「ギフトが……増えてる……?」


 聖骸の騎士が使っていた聖魔反転が俺のギフト欄に追加され、さらにスキルの下には謎の《解放》という欄ができていた。


 ボスを倒すと、ギフトがもらえる……ってことだよな、多分。

 でもそんな大切な情報が、どうして冒険者の間で共有されていないんだろう。


 無謀にボスに突撃するやつを防ぐため、とか色々と理由はあるのかもしれないけど……ああ、そんなことを考えてる場合じゃない。

 とにかくダンジョンコアを破壊しなきゃ……ってダメだ。

 ちょっと疲れすぎてまともに頭が働く状態にない。


 回復魔法を使いすぎたせいで、身体が燃えるように熱い。

 内側がジンジンしていて、とにかく今すぐにでも地面に寝転がって惰眠をむさぼりたい。


 俺はとりあえず全てを一旦無視して『自宅』のギフトを使い、死んだように眠ったのだった。






 とりあえず目が覚めたので、一旦状況を整理する。


「まずはダンジョンコアを探さないと」


 そもそも俺がここにやってきた目標は、ダンジョンコアを壊してこのダンジョンの活動を停止させること。

 その目的を果たすためにも、戻らなければ。


 恐る恐る第十二階層に戻ると、激闘の痕はしっかりと残っており、棺も開いたままになっていた。


 既に聖骸の騎士の姿は消えていたが、彼が使っていた一振りの真っ白な剣だけが、見事な装飾付きの鞘に入っているのがわかる。


 とりあえず抜いてみると、美しい刀身が姿を現した。

 俺と死ぬほど打ち合ったにもかかわらず、剣にはヒビ一つ入っていない。

 俺の方は何十本変えたかわからないのに……とりあえず呪いなんかもなさそうなので回収して腰に提げる。

 そのままあたりにある無事そうな副葬品を回収してから、魔力感知を使う。


 すると反応が二つあった。

 棺の中と、棺の奥にある小さなスペースだ。


 まず手前の棺から確認してみる。

 するとその中に、赤く光りながらドクドクと脈動している石があった。

 人間の頭ほどのサイズがあるその石からは何本も動脈のような管が広がっており、棺の中に張り巡らされている。


 どうやら魔力が、棺を通してダンジョン全体に流れる仕組みになっているようだ。

 多分……というか間違いなく、こいつがダンジョンコアだろう。


「ジャッジメントレイ」


 壊したら爆発するかもと思い、少し距離を取ってからジャッジメントレイを使って攻撃する。

 すると薄いガラスが割れるような音がパリンと鳴った。

 再度確認するとダンジョンコアは見事に割れ、破片が棺中に飛び散っていた。


 何かに使えるかと思い、コアの欠片を回収。

 面倒だったので、管が静脈のように青色に変色している棺ごと持っていくことにする。


 続いてその先に視線を向けると……先ほどまでは何もなかったはずの場所に、複雑な模様の描かれた魔法陣がある。さっき魔力を感じ取れた場所だ。

 ダンジョンローグとかのゲームだと、帰還のための転移魔法陣だったりするよな。


 最悪どこかに飛ばされても『自宅』を使えばいいだろうと、軽い気持ちで開いてみる。

 するとそこには――視界いっぱいに広がる、花畑があった。

 どうにも見覚えがあると思ったら、そこにあるのは棺の前のあの花束に使われていた花達だ。


「花は……好きかい?」


 後ろから聞こえてきた音に、慌てて警戒態勢を整えながら振り返る。

 するとそこには……


「安心してくれていい。僕を解放してくれた君に無体を働くつもりはないからさ」


 俺が倒したはずの聖骸の騎士が、うっすらと透けた幽霊になって、ニコニコと笑って立っていたのだった――。

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