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本番


 レブナント形態に切り替わった聖骸の騎士は、こちらを確認してから腰に下げている剣に手をかける。


 聖骸の騎士が着用している鎧は、既に俺の魔法攻撃を食らうことでボロボロになっていたはずだ。

 鎧の強度は大して強くなかったから、最初のジャッジメントレイ三発で壊れてたくらいだし。


 けれど形態が変わったからか、鎧は新品同様にキラキラとしたものに変わっていた。

 よく見ると意匠も全然違う。


 スケルトン形態で着けていたのは青みがかった全身鎧で、その意匠は非常にシンプルだった。


 けれど今着ている鎧は白っぽい金属でできており、動いても金属の擦れ合う音が鳴っていない。

 そして感じ取れる魔力量は、スケルトン状態で着けていた鎧よりもはるかに強力だ。


(あれは、なんだろう……?)


 目を凝らしてみると薄く、鎧からは白い光が立ち上っていた。 

 あれは……多分なんらかの光魔法がかかってるんだと思う。


 すらりと鞘から抜き放った剣は、先ほどまでとは全くの別物に変わっている。

 その神々しく、可視化できるほどの魔力を迸らせているその剣から感じる魔力は、鎧とは比べものにならない。


「となると……想定通りか」


 俺は以前の戦いで食らった聖魔反転の能力にあたりをつけていた。

 恐らくあの力は、この聖骸の騎士が本来持っている闇魔法の力を光魔法のものへと反転させるもの。


 であれば現在の聖骸の騎士は、本来アンデッド特攻がついているはずの光魔法が効きづらくなっている状態になっているはずだ。

 使う魔法を切り替える必要がある。


「グングニル!」


 現在LV10の魔法を起動するのにかかる時間は一秒を切っている。


 そして普通に二重起動をしようとすればその二倍、更に剣を振りながらであればおよそ三倍の時間が必要になる。

 なのでこうしてある程度遠距離の地点に立つことができていれば、LV10魔法を放つのにほとんど時間はかからない。


 俺が即座に発動させるのは光魔法のジャッジメントレイではなく、雷魔法のグングニルだ。

 雷の槍が飛翔し、騎士に真っ正面から襲いかかる。


 騎士は避けるのではなく、剣を正眼に構えて真っ正面から高速で飛びかかってくる雷槍を見据えた。


「青竜剣」


 騎士は正眼に構えた剣を……振り下ろす。

 そして剣とグングニルがぶつかり合い――真っ二つに切り裂いてみせた。


 はっ、と思わず乾いた笑いが出てきてしまう。

 劣化版だと高LV魔法は避けていたけど、やっぱり本物はLV10魔法ですら軽く斬ってくるってわけか。


 けど魔法を裂けることくらい、こっちだって想定済み!


 俺は既にグングニルの影に対しシャドウダイブを使い、影の中に潜んだ。

 そして途中で飛び出してから、右側から影を通って騎士の背後へ回っていた。


 俊敏を上げに上げまくったおかげで、現在ではグングニルとほぼ同じ速さで移動することが可能になっている。


 そして聖骸の騎士がグングニルを切り伏せた瞬間に合わせて、俺は影から飛び出しながら剣を振るった。


「断罪の剣!」


「玄武甲」


 グングニルに対して剣を振るった瞬間を狙ったため、攻撃は確実に聖骸の騎士に当てられる。

 そんな俺の予想は半分的中し、半分外れた。


 聖骸の騎士がなんらかのスキルを使うと同時、騎士の鎧が緑色に変色する。


 そして俺の一撃は鎧を貫通し……肉体にわずかに傷をつけたところでその動きが止まる。


 血が流れ出す程度の切り傷はできたが、どれだけ押し込んでもそれ以上剣が突き立つことはなかった。


「――っ! ジョウント!」


 寒気を感じると同時に、ジョウントを使いショートワープを行う。

 すると先ほどまで俺がいたところに剣が襲いかかり、空を切っている様子が見えた。


 防御系のスキルや魔法もそりゃあ当然あるとは思ってたとは……思ってたよりずっと硬い。

 攻防共に隙がないとか、冗談勘弁してくれって……。

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