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探し求めていたモノ

※皆様へのお知らせ



今回のあとがきに非常に大切なお知らせがありますので、ぜひ最後まで目を通してくださると幸いです!



よろしくお願いします!



「……」


 俺は思わず、目の前の光景に言葉を失っていた。

 色とりどりの大量の花束は、この世界にやってきてからは見たこともないようなカラーリングをしている。

 青いバラのような花があれば、虹色のタンポポのような花もある。


 そして花の手前には、今までダンジョンの中で見てきた石の剣や鏡がおもちゃに見えるような精巧な武器や装飾品がいくつも置かれていた。


 薄く水晶のように透明な剣や、いかにも神々しい薄く虹色の光を発光するローブ。

 魔力感知を使うと、その全てから高の反応。


 なるほど……魔力感知は魔道具にも反応するのか。


 そこにある宝石のように輝く宝飾品に魅入られながらも、俺は後ろにある棺からも魔力を感じることを見逃さなかった。


 そして、これは魔力感知じゃない純粋な第六感なんだけど……あの棺からは、今までに感じたことのないプレッシャーを感じた。


 ――棺はよく観察してみると、真っ白ではなかった。

 まるで身体にできているほくろのように、いびつな黒い斑点がいくつも浮いている。

 経年劣化……なんだろうか?


 ズズ……。


「――っ!?」

 

 先ほどまで微動だにしていなかったはずの棺に、異変が生じた。

 上蓋がゆっくりと、横にスライドし始める。

 まるで足下の邪魔な物を除けるかのように、装飾品達がひとりでに左右にはけていった。


 上蓋が動いていき……完全に外れる。

 ドスッと重たい音を鳴らしながら、蓋が地面に落ちる。


 そして中からゆっくりと……それ(・・)は姿を現した。


「……」


 縁に手をかけ上がってきたのは、一体のスケルトン。

 全身には青みがかった金属鎧を身につけており、腰には剣を佩いている。


 見た目的には、装備がグレードアップしただけのスケルトンナイトにしか思えない。

 けれど俺は、とてつもない違和感に襲われていた。

 なんだこのスケルトン、魔力をまったく……感じない?


『ま、マサルッ!? 生きておったのか!?』


 脳内に蘇るバリエッタさんの声。

 ……そうだ、彼はなんと言っていた?


 魔力感知のスキルで魔力を感じ取れない場合、考えられる可能性は二つ。

 そもそも魔力を持っていないか、それとも……


「魔力を持ちすぎていて計測が不可能な場合――っ!」


 スケルトンの周囲の風景が歪んでいく。

 骨骸を囲うようにぐにゃりと景色が曲がるのは、その圧倒的な魔力故か。

 それとも圧倒的な実力差に、俺の視界が歪んだのか。


 スケルトンがこちらを確認しわずかに腰を下げる。

 戦闘体勢に入ったと同時、その全身から真っ黒なオーラが噴き出した。


 禍々しい闇の魔力。


(なんだあれ、魔法を使っているわけでもないのに……魔力そのものが目で見えるなんてことが、あり得るのか?)


 感じたことのないプレッシャーと、見たことのない現象。

 理解を拒否して思考を停止させようとする頭に鞭を打ちながら、なんとか動きを止めることなく後ろに下がる。


「――『自宅』ッ!」


 そいつは未だ腰に提げた剣に、未だ手をかけてすらいない。

 けれど俺は即座に『自宅』を発動させた。


 幸い、ボスだからギフトが禁止されるようなこともなく、ドアノブの感触が左手にやってくる。

 それと同時スケルトンは剣を手に持ち、時計回りにぐるりと回転させた。


「聖魔反転……」


 途端にスケルトンの持っていた禍々しい気配が消える。

 身体の周囲に纏っていた漆黒の魔力が消え、それと代わるように現れるのは、神々しい光の魔力だ。


 見れば先ほどまでスケルトンだったはずのそれは、今では青白い肉体を持っていた。

 あれは……レブナントにもなれるってことか?


「ライトニングボルトッ!」


 俺はそのままドアを引き、振り向きざまに魔法を発動させる。

 ドアを閉めようとすると、生前の肉体を取り戻しているらしい魔物が、しゃらりと音を立てて剣を抜く。


 そして軽く飛び上がりながら、十字に斬撃を放つ。

 斬撃はそのまま空中に光の線として残り続けた。

 そして魔物は着地すると、それを押し出すように突きを放つ。


「グランドクロス!」


 俺が横目で見たのは、滞空していた斬撃から発されこちらへ飛んでくる、極太の光線だった。

 その太さ自体はジャッジメントレイほどではないが、その分より圧縮されているからか、放つ光は目を開けていられないほどに強い。


 俺はドアを閉めたその瞬間、その場に伏せた。


 ドッゴオオオオオオオオオッッ!!


 あの魔物が放った技が、俺の『自宅』のドアを吹き飛ばした。


 衝撃から思わず倒れ込みながらも、なんとかして玄関に残る。

 あれだけの一撃、ドアを壊されるのは織り込み済みだ。

 吹き飛ばされたドアの壊れたちょうつがいに触れながら、一心に叫ぶ。


「リフレッシュ!」


 壊れたドアが、一瞬で修復されていく。

 ごっそりととんでもない量のMPが吸われていくのがわかった。

 ドアを直すのは初めてだけど……ほとんど全部のMPを使い切ってしまった。


「はあっ、はあっ、はあっ……」


 家の中に、俺の荒い息だけが反響している。

 それからしばらくの間、ドアを見つめる。


「……なんとか、逃げ切れたか」


 先ほど相対した魔物を思い出し、俺は震えた。

 理由の大部分は恐怖だけど、その中にわずかに喜びがあるのも事実だった。


 どこからどう見ても墓にしか見えないあの光景と、圧倒的な強さを誇る魔物。

 間違いない、あの場所が……俺が探していた場所。


「この『騎士の聖骸』の、最深部だ――」



【大切なお知らせ】


読んでくださりありがとうございます!



なんとこの度……今作『クラス転移したら、なぜか引きこもりの俺まで異世界に連れてかれたんだが ~『自宅』のギフトが最強だったので、快適な異世界ライフを送ろうと思います~』の書籍化・コミカライズが決定致しました!



これも皆様の応援のおかげです、本当にありがとうございます!



今作を読んで、



「面白い!」

「書籍化おめでとう!」

「コミックも楽しみにしてるよ!」



と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して『評価』・『ブックマーク』でお祝いしてくれると嬉しいです!



『評価』と『ブックマーク』は作者の更新の何よりの原動力になります!

よろしくお願いします!

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