表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/124

変化


 頭に『自宅』の力を思い浮かべてみる。

 するとその中に、今までにない項目が追加されていた。


 えっとこれは……LV4になって新たに解放された力は、その名を増築というようだ。


 言葉を字面通りに捉えるなら屋敷の中を増築する力としか思えないが……これはあのリフレッシュより高LVで手に入る力なのだ。

 いやが上にも期待は高まるというものである。


「増築」


 実際に口に出して使ってみると、目の前に突然光の板が現れた。


『増築したい施設を選んでください』


 板にタッチしてみると、続いて増築できる施設が現れる。



・トレーニングルーム(ステータス向上)

・シミュレーションルーム(戦闘技能向上)



 現在増築可能な施設は、この二つだけのようだ。

 その他にも色々増築できるものはあるみたいだが、この二つの下のスペースには?????(使用不可)と書かれており、字の色が灰色になっている。


 恐らくこれも未だ使えていない光魔法のLV10の魔法と同様、なんらかのきっかけでアクティブになるものなんだろう。


 しかし……なるほど。

 家をリフォームして間取りを大きくしたりするのかと思ったけど、思ってたよりかなり実用的な力みたいだ。


 ステータスの向上と戦闘技能の向上は、どちらも今の俺に必要なものだ。


 何せ今のところ魔法によるごり押ししかしてないからな。

 発動速度自体は速くなってるけど……これが戦闘技術かと言われるとちょっと違う気もするし。


 俺はどちらにするか悩んだ結果、ステータス向上のトレーニングルームから増築をすることにした。

 結局それかよって思うかもしれないけど、俺的には大真面目だ。


 何せこの世界では、ステータスが正義だ。

 誰よりもステータスの恩恵を受けているだろう俺だからこそ、そう断言できる。


 ぶっちゃけ戦闘技術は長い時間をかけて培っていくものだろうし、多少上がったところで焼け石に水だろう。


 今からシミュレーションルームに一月籠もっても、騎士顔負けの剣術が使えるようになるかと言われると、そうじゃない気がするし。


 それなら今の俺に必要なのは、とにかく数値の暴力でゴリ押せるようにするためのステータスだ。


 ただ、増築ってどうすればいいんだろう。とりあえずこれをタップすればいいのか?


 タップしてみると、画面が進んだ。




『MPを注ぎ込んでください 充填MP 0/10000』


 え……MP10000も使うのっ!?


 思ってたより大分必要なんだな……トレーニングルームを作ろうとするなら、しばらくダンジョンの攻略は絞る必要がある。


 ダンジョンのLV上げか、『自宅』か……その二択なら、答えは決まっている。


「俺は迷わず『自宅』を選ぶ!」


 俺はこの『自宅』のギフトの可能性を信じている。


 外に出ることすら億劫だった俺に、食料や水を恵んで時間を与えてくれたのも『自宅』だ。


 魔法のスキルLVを上げて、俺にこの世界で生きていけるだけの力を身に付けさせてくれたのも『自宅』だ。


 『自宅』を疑う理由など、何もない。



 光の板に触れて念じれば、MPを流し込むことは簡単にできた。

 今使えるMPを全て使い込むと、急速に眠気がやってくる。

 これをあと五回か……攻略は少し遅れるけど、ここはなんとかするしかないだろう。











 それから俺はしばらくの間、迷宮攻略を一旦中止し、MPを注ぎ込み続けることにした。


 食っちゃ寝食っちゃ寝という生活を続けること早三日目、今日でようやく指定されていたMP10000に到達することができる。


「さて、どうなるかな……」


 MPを注ぎ込み、充電MPをマックスにする。

 すると……


『増築が完了しました』


 そんなメッセージが現れると同時、ガシャリと何か重たいものが落ちたような音がした。


 今はリビングにいるんだが、音は上から聞こえてきている。


 音源はどこだと思い向かってみると、俺の部屋だった。

 俺の部屋の中に……見たことのないドアができている。


「なんか……違和感がすごい」


 長いこと暮らしてきた、七畳の俺の部屋の隅。

 そこにまったく見慣れない遺物が紛れ込んでいる。


 外から見えないようカーテンで隠されていた、かつて窓があった一画。

 そこにあったはずの窓がカーテンごと取っ払われており……なぜかドアができている。


 ポスターや学習机がある室内にそぐわないマホガニー材のような光沢のあるドアが、あまりにも不自然に部屋に接合されていた。


 ドキドキしながらドアを開く。

 するとそこには……


「これ……どこからどう見てもジムだよね?」


 明らかに我が家よりも広いサイズのジムらしき空間が広がっていたのだった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ