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やり方


 ヌルゾンビの動きはかなり速い。

 穴から這い出してくるまでも体感二秒ぐらいしかかかっていないような気がするから、多分腕力もかなりあるんだろう。


 おまけに倒してもしばらく動くくせに魔法まで効かないとか……どう考えても完全にクソモンスターだ。


「ウボァ……」


「ウボォ……」


 おまけにさっきのあれは咆哮にカウントされていたらしく、既に周囲に三つほど新たな穴が空き、中からヌルゾンビが現れようとしている。


 ちゃっちゃと片付けないと、相当きつそうだな。


「ライトニングボルト」


 いつものように自宅に逃げ込める準備をしてから、とりあえずライトニングボルトを放つ。


 百聞は一見にしかずということで、一度ヌルゾンビに魔法を当ててみることにした。


 するとバリバリと音を鳴らして向かっていった雷が、ヌルゾンビに当たる直前にフッと音もなく消える。


 なるほど……魔法そのものを無効化して消し去るタイプか。

 これならいけるかな。


 こちらに向かってやってくるヌルゾンビ達。

 ずるずると足を引きずりながらも、そのスピードはグリムリーパーに少し劣る程度。


 立ち止まったままだと、何度も魔法を使えるほどの余裕はなさそうだ。


「それじゃあいっちょやりますかね」


 俺は発動させる魔法は――アイテムボックス。

 そして中から取り出すのは、スケルトンソルジャーが使っていた鉄の盾だ。

 今回はこいつを使わせてもらう。


「レールガン」


 俺がこのアリステラにやってきてから、最も使った魔法。

 今では魔法発動のために準備にもほとんど時間はかからない。

 魔力を練って相手にラインを引いてから発動するまでをほぼシームレスに行うことができる。


 俺がラインに乗せて、取り出したばかりの鉄の盾を放った。

 レールガンによる電磁加速を受け、高速で回転しながら飛翔する盾。


 表面が融解し始めたところで、こちらに向かってくるヌルゾンビへ接近。

 距離が近付いていく、10メートル、5メートル……ごくりと唾を飲み込む。

 緊張しながら見守っていると……鉄の盾は見事、ヌルゾンビに命中した。


「――ぃよしっ!」


 メキョッという聞いたことのない音を立てながら盾はヌルゾンビにぶつかっていき、多少の減速はしながらもそのまま飛び続け、墓石へ激突する。

 その間にサンドイッチにされたヌルゾンビは上下がバラバラに分かれる。


 死後どれくらい動けるのかを見ている余裕はない。

 再度アイテムボックスを使い、鉄の盾を二つ取り出す。

 今度はスケルトンナイトが使っていた、さっきのより一回り大きな大盾だ。


 ラインを引き……発射。

 つづけてもう一体にもラインを引き……発射。


 レールガンのラインに乗った大盾は、最初ゆっくりと転がるように動き出した。

 そのゆったりとした動きと、こちらにぐんぐんと近付いてくるヌルゾンビとの対比に、ちょっと不安になってくる。


 けれどラインに従いくるくると回転しながら、大盾は加速していった。

 そして周囲にある雷を味方につけながら加速を続け、その運動速度がぐんぐんと上昇していく。


 そして……激突。

 メリメリメリッと嫌な音を響かせながら、ヌルゾンビの身体をバキバキに折りながら吹き飛ばしていった。

 なるほど、大盾だと衝撃がデカすぎるせいで相手を吹き飛ばしてしまうんだな。


 身体の前半分をぐちゃぐちゃにされながらかなり後方まで吹っ飛んでいくヌルゾンビ達。

 墓石にぶつかって上半身と下半身が泣き別れしたのと合わせて三体を観察する。


 上半身が分かれているゾンビは、既に動きを止めていた。

 前半分をぐちゃぐちゃにされたヌルゾンビ達は、とりあえず自分の周囲に向けてしっちゃかめっちゃかに攻撃を繰り返していた。


 攻撃をかすらせた墓石は大きく抉れ、モロに食らった墓石は大きく吹き飛んでいた。


 とんでもないパワーだ。

 あれに麻痺まで乗ってるとなると……近距離戦で戦うとなると、難易度が一気に跳ね上がりそうだ。


「とりあえず、一応なんとかなりそうで良かった……」


 一分ほど動き回ってからぱたりと倒れたヌルゾンビを見て、ほっと一息つく。

 どうやらヌルゾンビとの戦闘も、問題なくこなすことができそうで一安心だ。



 ――俺の考えた作戦は単純だ。

 名付けて、『魔法が効かないなら、物理的な力で吹き飛ばしてしまえばいいじゃない』作戦だ。


 ネーミングセンスについては触れないでほしい。

 センスがないという自覚くらいはあるから。


 バリエッタさんにヌルゾンビの攻略法を聞いた際、彼はこんな風に言っていた。


『ストレングスをかけてもらって攻撃を強化して、なんとか倒すことができたといった感じじゃったな』


 それを聞いた俺はこう思ったのだ。

 魔法は効かなくても、魔法で強化した剣は効くんだ。


 そこまでいけば、後は簡単だ。

 それなら魔法によって加速をした物で物理的に攻撃をすれば……問題なくダメージを通せるんじゃないか?


 レールガンを使いまくっている俺からすると、この結論に帰結するのは当然だった。


 そして結果はどうだったかというと……問題なく戦えることがわかった。


 ヌルゾンビもゾンビとどうよう装備を腐食させる特徴があるみたいだけど、レールガンで打ち出して原型がなくなってるからあまり関係はないし。


 よしんば使えなくなっても、盾にはまだまだストックがある。

 足りなくなったら、第七階層で補充すればいいしね。


 しかしこの第八階層……移動するのも一苦労だけど、レベル上げにはもってこいだな。

 ステータスを確認すると、今の戦闘でLVが2上がっていた。


 とりあえず第九階層に近い場所にドアを設置したら、後はヌルゾンビ狩りだな。


 雄叫びをしてくれるまで待ってれば勝手にやってきてくれるという親切設計だから、ずっと戦い続けることができる。


 じゃんじゃんレベルが上がるってわかったからか、この饐えた匂いも全然気にならないぞ。


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