表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/124

ヌルゾンビ


 一度地上に戻ってから、再度のレベル上げに挑む。 

 リッチ狩りを何日か繰り返していると、アイテムが溜まる溜まる。


 売ることができないのが残念だが、とりあえず素っ裸の騎士団がいたら彼らに武器を支給するくらいの量は集めることができた。


 そんな騎士団がどこにいるんだよという質問は、野暮なのでやめてもらいたい。


 とりあえずアンデッドが残した武具は全部アイテムボックスにぶちこんでいるけど、今のところ限界は来ていない。


 相当な量の武具を入れているはずだから総重量はかなりのものになるはずだけど……どうやらアイテムボックスの容量は、俺が想像していたよりはるかに多いらしい。


 どれくらいの量が入るかは未知数なので、とりあえず入れられるだけ入れていって限界量を知っておこうと思う。


 第八階層に出てくる魔物は、その名をヌルゾンビという。

 見た目上はただ体色が緑色になっただけのゾンビである。

 けれどこいつにはある別名がついている。

 ――魔法使い殺し。


 このヌルゾンビは、一切の魔法を無効化するという非常に珍しい特徴を持つゾンビなのだ。


 更に言うと普通のゾンビとは違いかなり動きも速く、頭を潰して倒されてもしばらくの間は動き続けるという。

 そしてその牙だけではなく爪も使って麻痺の状態異常攻撃をしてくるらしい(当然ながらゾンビのものより強力なようだ)。


 おまけにヌルゾンビは雄叫びを上げると、近くにいるヌルゾンビを呼び出すらしい。


 最初に接敵したヌルゾンビを倒さないと、また新たなヌルゾンビが現れ、そいつも早く倒さないとヌルゾンビが……という感じでねずみ算式に増えていくんだって。

 そして気付けばヌルゾンビに囲まれてしまうと。


 そのくせ魔法無効で全体攻撃が効かないというんだから、厄介なことこの上ない。

 マドハン○もびっくりなクソゲー感漂う敵である。


 このヌルゾンビは、今までに出てきたやつらとは少々毛色が違う。

 なので念入りに戦いの訓練を重ねていくことにする。


 もちろん、対策は既に考えついているが、それが絶対に利くとは限らない。


 なので念のために第七階層の魔物ではまったくLVが上がらない状態になってから、第八階層に挑むことにした。


 どれだけLVが上がっても、『いのちだいじに』は変わらずにいこうと思う。




鹿角勝


LV 80


HP 910/910

MP 1483/1483

攻撃 183

防御 203

魔法攻撃力 325

魔法抵抗力 303

俊敏 189


ギフト

『自宅』LV3


スキル

光魔法LV10(MAX)

闇魔法LV6

火魔法LV7

風魔法LV9

水魔法LV9

土魔法LV4

雷魔法LV10(MAX)

氷魔法LV6

時空魔法LV10(MAX)

魔力回復LV7




 自分で言うのもなんだが、どんどんと人間をやめているような気がしてならない。


 バリエッタさんの話ではグリムリーパーの一撃は騎士でも致命傷を受けるくらいに危険で、リッチ率いるアンデッド軍団は小隊規模であたらなければ勝てない相手らしいが、今の俺なら一撃だ。


 全部ジャッジメントレイ一撃では威力がわからないため色々と試した結果、リッチ以外はチェインライトニング、リッチはライトニングボルトで倒せることがわかっている。


 魔法を使う分こっちの方が手間だけど、その分使うMPは少なくて済む。


 魔力回復のスキルLVも上がってるので、これだと俺の集中に限界が来るまでは戦い続けることが可能になった。


 肉体LVが上がって集中力や持続力も明らかに向上していて、今の俺はぶっ続けで戦い続けても疲れをほとんど感じなくなっていた。


 全力戦闘をするならまた話は別だろうけど、少なくとも魔法を一、二発放つくらいなら余裕で徹夜しながらでもぶっ続けていける。


 自分の体力の限界がどこにあるかわからなくて、自分でも怖くなってくるくらいだからな。


 ただそのせいでLV上げに集中しすぎてしまって、想定より長い時間が経ってしまっていたのは完全に俺のミスだ。


 気付いた時は日付をまたいで丸一日以上リッチ狩りをしてた時は、流石に自分でも苦笑してしまった。


 元からあった過集中が、完全に悪い方に働いてるな……。

 ま、まあLVは順調に上がってるからよしとしよう。

 気を取り直して、第八階層へ向かっていこう。






 第八階層へ下る階段の左右を囲う壁に、今までになかった変化があった。


 途中までは触れば手が汚れるくらいの土でできていたというのに、半分を過ぎたところでつるつるとした白い石に変わったのだ。


 鍾乳石のような光沢のある石に触ってみると、ひんやりと冷たい感触がした。


 そして下っていくと、少し前に嗅いだことのある腐臭が漂ってくる。


 生ゴミを熟成させたような香りに、俺は一旦立ち止まり、事前に用意していたティッシュを取り出す。


 そして鼻をティッシュでしっかりと塞いでから、階段を下りていくことにした。

 匂い対策もしっかりしておく。

 鹿角勝は、できる男なのだ。



 階段を下れば、底から先に広がっているのは、墓地エリア。

 霊園かよと思うくらいの広さの墓地が見渡す限りに広がっている。


 お爺ちゃんの十三回忌に行った時に見たのは田舎にあるかなり大きめな墓地だったけど、あれよりもずっと広い。


 一体どれだけ沢山の遺体が埋まっているんだろう……いや、ダンジョンだから遺体はないのかな。

 もしかしてこの墓全部に、ヌルゾンビがいたり?


 ちょっと知的好奇心がそそられるけれど、流石に戦いに集中しなければ。

 ウィンドサーチを使うと……かなり数が少ないな。


 見渡せないくらいに広い場所なのに魔物がほとんどいない。

 となるとやっぱり、事前の情報通りか。


 俺はとりあえずクイックとアクセルを併用し、人間をやめた速度を更に加速させてどうなっても反応できる状況を整えながら、ゆっくりと歩き出す。

 すると……ボコボコッ!


 墓の目の前の土が盛り上がり始めた。

 そして大きく陥没し、できた穴から緑色の手が出てくる。


 早送りを見ているようなハイペースで現れたのは、全身緑色の、ゾンビの2Pカラーかよと突っ込みたくなるようなゾンビだった。


「ウゴオアアアアアアアアァァッ!!」


 こいつが……ヌルゾンビ。

 さて、事前に考えたとおりにいってくれるといいんだけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ