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回復魔法


 一体どれだけレイスを倒しただろう。

 途中から数えるのはやめたけど、確実に数百体は倒しているはずだ。


 行き止まりで溜まっているレイスをまとめてチェインライトニングで倒したり、稲妻のようなジグザグな軌道を描くライトニングの上位の魔法――ライトニングボルトを上手く制御して一発で複数のレイスを倒せるように位置取りを調整する練習をしたり……そんなことをしながら数多のレイスを屠っていく。


 最初は細かくステータスを見て魔力消費を数えていたが、途中から完全に無心になってレイス絶対殺すマシーンとして魔法を使い続けていた。


 疲れからようやく自我を取り戻した俺が、ハッと気付いて時刻を確認すると、既に探索を開始してから五時間が経過していた。


 控えめに言っても俺はこの第四階層で、見敵必殺の勢いで魔法を使いまくっていた俺が未だにMPが切れていないのには、当然理由がある。





鹿角勝


LV15


HP 260/260

MP 203/760

攻撃 53

防御 73

魔法攻撃力 128

魔法抵抗力 103

俊敏 57


ギフト

『自宅』LV3


スキル

光魔法LV10(MAX)

闇魔法LV5

火魔法LV7

風魔法LV8

水魔法LV9

土魔法LV2

雷魔法LV10(MAX)

氷魔法LV5

時空魔法LV10(MAX)

魔力回復LV2



 俺のスキルに、新たに魔力回復が足されたのだ。

 これは単純に魔力の自然回復を強化してくれるスキルのようで、これのおかげでライトニングやライトアローをちょこちょこ放っているくらいでは、あまりMPの消耗を気にしなくても良くなった。


 さっきはLV1で、10分で今までの倍である2MPが回復するようになっていた。

 けど気付けばLVが2に上がっている。

 これの回復量がどうなのかは、後で見ればいい。


「――よしっ!」


 ということで俺はサンクチュアリを張ってレイス除けをしてから、アイテムボックスの果物ナイフを取り出す。


 そして勇気を振り絞り――それを自分の腕に突き入れた。


「い……痛たたたたたたたた!!」


 初めて味わう衝撃に、頭の中が真っ白になる。

 なんだこれ、とてつもなく痛い。

 けれど痛みはすぐに消えた。代わりにやってきたのは熱さ。

 腕の中にある血管がドクドクと脈打ち、患部がとにかく熱くてたまらない。


「ラストヒー……って、違う!ダメだダメだ!」


 すぐにでも回復魔法を使おうとする自分に喝を入れる。

 ナイフを刺したまま回復して、完全に肉と癒着されたりすると困る。


 痛みに慣れてないからって、いくらなんでも頭が回ってなさ過ぎるぞ俺。

 落ち着け、別に命の危機ってわけじゃない。

 ただ果物ナイフが、腕に刺さってるだけだ。


「ふうーっ、ふうーっ……」


 荒い息を吸って、吐いてを繰り返す。

 熱さが消え代わりに再び痛みがぶり返してきているのがわかるくらいには、思考能力も戻ってきた。


 ステータスを確認する。

 HPは12減っていた。

 マジ、この痛みで12なの!?

 なかなか死ななそうなのは助かるから、HPが高い分には文句は言わないけどさ!


「よし、いくぞ……一、二の……三ッ!」


 自分で発したかけ声と同時に、グッとグリップに力を入れ、そのまま一息に引き抜く。

 開いたままのステータスを見ると、更にHPが3減っていた。


「……ああもうっ、全然使えないじゃんか!」


 一刻も早くこの痛みを消し去りたかったので、最上位回復魔法であるラストヒールを使ったのだが……まったく魔法発動の準備が整わない。


 痛みから意識が患部にいったりステータスにいったり、遠くに見えるレイスにいったりと、自分でもわかるくらいに注意力が散漫になっている。

 こんな状態では、魔法を使うのにも一苦労するのは当然のこと。


 結局LVが高い魔法であることもあり、ラストヒールを使うまでには永遠にも思えるほど長い時間がかかってしまった。


「――ラストヒール!」


 閃光弾ばりのルクスがありそうなフラッシュより明るいにもかかわらず、なぜか目を開けていることができる不思議な光がこの場を満たす。


 そしてビデオを逆再生するかのようにもこもこと肉が盛り上がると、あっという間に傷が消えてしまった。


「……なんかちょっとグロいかも」


 そんなどこかズレた感想をいいながら、余っているMPを使うべく魔法の使用感の確認に移る。


 にしても……はぁ、疲れた。

 こんなことを後何回もやらなくちゃいけないと思うと気が滅入りそうになってくるよ。


 なんか貧血気味な気がするし、今日はもりもりご飯を食べよう。


 解凍が面倒だったから手をつけてなかったけど、冷凍している神戸牛のステーキを食べて精をつけることにしよっと。

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