レイス
第四階層へとやってきた。
まず進む前に、現状のステータスを確認しておく。
躊躇なく魔法を連発していたから、MPが結構減っていると思う。
鹿角勝
LV8
HP 190/190
MP 403/688
攻撃 39
防御 59
魔法攻撃力 105
魔法抵抗力 82
俊敏 33
ギフト
『自宅』LV3
スキル
光魔法LV10(MAX)
闇魔法LV5
火魔法LV7
風魔法LV8
水魔法LV9
土魔法LV2
雷魔法LV10(MAX)
氷魔法LV5
時空魔法LV10(MAX)
一応、俺のLVが8まで上がった。
でもオークを倒してればサクサク上がってた時と比べると、LVの上がるペースは明らかに鈍化しているように思える。
当然ながら自分より弱い魔物を狩り続けてれば、どんどんLVは上がりにくくなっていくようだ。
LVアップのために必要な経験値が増えていく、みたいな感じだろう。
あと特筆すべき点は、かなり魔法を使っていたからか魔法攻撃力が上がっているところと、一ヶ月引きこもってたことで下がった俊敏のステータスが1上がった(戻ったと言うべきかな?)ことくらいだろうか。
やっぱり実戦で魔法を使うと、自宅にいるより上がるスピードが速い。
俺の場合、ネックになるのはやっぱりMPの枯渇だ。
肉体的にはまだまだ余裕はあるんだけど、既にMPを三分の一以上消費してしまっている。
LVの高い魔法はその分高威力で使い勝手がいいが、消費するMPも高いからな。
なんやかんや結構な数の敵と出くわすから、自然回復に追いつくくらいにMPを節約するのも難しいし。
魔法使いのソロが厳しいと言われる理由を肌で実感しながら進んでいく。
すると第四階層になると出没するというレイスの魔物が現れた。
「オォォ……」
その見た目は、日本というより西洋的な幽霊だ。
女性型で、身体はどこか緑がかっていて、ばさっと無造作に広がっている髪の毛が謎の力でふよふよと浮いている。
足はなく目はうつろで、口角は明らかに人体では不可能な領域まで上がっていた。
どこか楽しそうに徘徊しているレイスがこちらを確認すると、その形相を怒りに変える。
「オオォッ!!」
何も悪いことをしたつもりはないんだが、どうやら大層ご立腹のようだ。
レイスは叫び声を上げながら、こちらにするすると移動してくる。
聞いてると胸の奥がちょっとざわつく、なんだか嫌な感じがしてくる。
……もしかして、この叫び声が状態異常攻撃なのか?
なんでもレイスの叫び声には相手を恐慌・狂乱の状態異常にさせる効果があるらしい。
俺に効かないのは……多分魔法抵抗力が高いからだろう。
レイスを始めとする霊体系の魔物には、通常の物理攻撃は通用しない。
倒すには魔法か、魔法のかかっている武器、魔法の籠もっている武器のいずれかで攻撃する必要がある。
なので前衛の人達が相手だと、かなり相性が悪いらしい。
俺との相性は、悪くはなさそうだけど。
「ライトニング」
「オオォ……」
ふよふよ近付いてくるレイスにライトニングを当てると、どうやら効いているようで苦悶の声を上げられる。
そして嘆きの鳴き声を残し、レイスの姿がその場からスッと消えた。
……霊体系の魔物は死体を残さないというから、多分これで倒した扱いになるんだろう。
拾ったりはしないんだけど、倒しても魔物の死体が残らないのはなんだかちょっと違和感だ。
俺もダンジョン探索というやつに染まってきているのかもしれない。
第四階層に出てくる魔物はレイスだけ。
そのためか歩いていても思わずえずいたり、曲がり道で突然腐臭が漂ってきて気分が悪くなるというようなこともない。
なのでするすると、今までにないほどサクサクと探索が進んでいく。
サーチ&デストロイをしながら数十分も経つと、すぐに第五階層への階段が見えてきた。
身体の疲れ的には……問題はない。
このまま行くかどうかはちょっと判断に悩むところだ。
第五階層にはこれまで出てきた魔物全てに加え、スケルトンの上位種であるスケルトンソルジャーが出現するらしい。
スケルトンソルジャーの核の破片はゴブリンの魔石くらいの値段で売れるらしいから、倒すのが楽しみではあるんだけど……スケルトンソルジャーの強さがわからないから、可能な限りLVを上げてから挑みたいという気持ちの方が強い。
「……よし、今日は第四階層に籠もろう」
ここは少し石橋を叩いて渡るつもりで、レイス狩りをしてLVを上げながら魔法の練習をしようかな。
LV上げや魔法の確認をするには、この階層が一番適しているのは間違いない。
何せ一番MPを食うリフレッシュを節約できるから、その分魔法の数もずいぶんと変わってくるはずだし。