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チェインライトニング


 雷魔法は、LV5になると覚える己の身体に雷を纏わせて移動速度を上げるアクセルを除くと、その全てが攻撃魔法になっている。


 中距離~遠距離のものが多いが、光と同様自分で名称設定が可能な魔法剣もある。

 今のところはあまり使うつもりもないけどね。


 さて、どの魔法を選ぶか……どうせなら一度でまとめてスケルトンを倒せるのがいいな。


「チェインライトニング」


 俺が選んだのは、LV4になって覚えることのできる雷魔法のチェインライトニングだ。

 こいつの特徴は、その名の通りライトニングがチェインしていくところにある。


「ガッ!?」


 まず最初に、俺が放ったチェインライトニングが右側のスケルトンに当たる。

 そしてピカッと瞬いたかと思うと……分裂。


「ギガッ!?」


 分かれた雷は近くにいたもう一体のスケルトンに飛んでいき、見事に命中した。

 両方とも一撃で核を壊すことができたようで、スケルトン達はそのまま動きを止めて地面に倒れ込む。


 チェインライトニングはこんな風に、一度放つと近くにいる敵に雷が連鎖して飛んでいく魔法だ。

 ライトアローレインと同じ、ゲーム的には全体攻撃に近い効果を持っている。


 ただあちらが全体に弱いライトアローを放出してまんべんなく広範囲に攻撃を加えるのに対し、こちらはある程度近くにいる魔物にしか雷が分裂して飛んでいかない。

 そして分裂していく度に雷の威力は弱まっていく。


 ただしその分、魔法の威力が高く、スピードも速い。

 分裂する前のチェインライトニングは、ライトニングよりはるかに高威力。

 今分裂した二つ目の雷も、ライトニングよりはるかに高火力だ。


 これまたゲーム的な言い方をするなら、大量の雑魚敵相手に放つならライトアローレインが、五匹くらいまでに放つならチェインライトニングの方が良さそうだ。


「とりあえずスケルトンだし、核の回収をしておくか……」


 この世界では、魔力がエネルギー源として使われている。

 そして王国で動力源として使われているのが、魔物がその身に宿している魔石である。


 これは基本的には心臓の中にあり、魔物の魔力を蓄えているため魔道具に入れればそのまま電池のように使うことができるということだ。


 基本的には使い切りで、魔石の需要は常に供給を上回っている。


 冒険者のようなならずものが街の一員として認められているのは、彼らが魔石という生活必需品を取ってきているという側面も非常に大きいのだ。


「これが核か……かなりバラバラになっちゃった。今度からちりとり使って集めるか」


 この『騎士の聖骸』に出てくる魔物……というかアンデッドは、とにかく魔石が小さい。

 ゾンビやゾンビドッグは爪の先程度の大きさしかないため、大量に集めてようやく買い取ってもらえるかどうか、という状態だという。


 少し離れた距離でも腐臭がわかるようなゾンビ達を腑分けして、血だの腐った体液だのを浴びながら、そんなものを集める酔狂なものはおらず……ゾンビの死体というのは基本的にそのまま放置される。


 ただ一応『騎士の聖骸』に出てくる魔物の中にも、換金できるようなものを持っているやつがいる。

 そいつこそが、今俺が倒したスケルトンだ。

 スケルトン系の魔物は、核という人間でいうところの臓器のようなものを持っている。


 この核が体内で果たしている役割が魔石に近いらしく、魔力を良く通すらしいので、核は一応売れるのだ。


 綺麗であれば魔石と同じくらいの単価で売ることができるらしい。

 けれどそもそもスケルトンの息の根を止めるためには核を破壊する必要がある。

 つまり倒しても、手に入るのは……


「ボロボロになった砕けた核ってことだ」


 俺が必死になって袋の中に集め終えたのは、チェインライトニングをくらいボロボロに砕け散った核の残骸だった。

 当然ながら砕け散った核は、とんでもなく買い叩かれる。


 これを上に持っていったらいくらになるかはわからないが……あまり期待はしない方がいいだろう。

 メリッサさんが持ってきてくれた依頼にも、核の欠片は量り売りって書いてあったし。


 核は売れるのに、核を壊さなくちゃ採集できない……なるほどたしかにこれはなかなかなストレスだ。


 また一つ、『騎士の聖骸』が不人気である理由を発見してしまった。

 俺的には金が稼げない以外は何も問題もないから、ありがたいけどね。

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