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光魔法


 スキルで覚えた魔法というのは、なんとなく発動するまでのやり方はわかっても、実際に使ってみないとどんな効果を発揮するかはわからない。

 便利なようで、案外不便なのである。


 色々と考えた結果、とりあえず今の自分が使える全ての魔法を一回ずつ使ってみることにした。

 魔法はこれから長いこと付き合っていく、いわば俺の相棒だ。

 なので純粋な効率だけじゃなくて、使用感とかも大事になってくるだろう。


「まず最初は……光魔法から行くか」


 しばらくはここにいるつもりだから、順番的には『騎士の聖骸』で活躍するであろう光魔法が一番優先順位が高い。


 練習場所としては、第二階層を使うことにした。

 今のところ同業者とは誰一人遭ってないけど、少しでも遭遇する可能性は減らしておきたいからね。

 とりあえず単体で動いているゾンビを見つけ、テストを始めることに。


「バインド!」


 LV1で使えるようになる魔法は、ライトとバインド。

 前者は指先に明かりを灯し、後者は光の縄のようなもので相手を拘束する魔法だ。


 俺が放ったバインドはゾンビの腕の周りに巻き付き、しっかりと固定される。


「ウボ……アァッ!!」


 ただ拘束力自体はどうやらそこまで高いわけではないようで、ゾンビは数秒もすれば力技で解いてしまった。


「もいっちょバインド!」


 けどこの技は技の出が結構速い。

 感覚的にはライトアローを出すまでに一秒かかるとすれば、こっちはその半分くらいだ。


 放ったバインドが今度はゾンビの足へと飛んでいく。

 けれど足は動くため狙いがつけにくい。俺が放った魔法は、あっけなく回避されてしまった。


 着実に相手に魔法を当てられる場所に使わないと無駄打ちになりそうだが……一瞬の隙を作るのにはもってこいだ。

 相手に拘束を解くという無駄な動作を踏ませる間にもう一発魔法を叩き込めば、無防備なところに一撃を入れられる。


「バインド、からの……ライトアロー!」


 早速アイデアを試すべく、バインドで腕を拘束。

 そしてそれを解こうとゾンビがもがいているところに、ライトアローが命中した。

 ゾンビはそのまま息絶え、地面に倒れ込む。


 死んだ(この表現が正しいかはわからないけど)ゾンビの身体にバインドをかけていく。


 どうやらこの光の縄はものにくっつく特徴があるようで、四肢のそれぞれに放って床に縫い付ける、といった使い方もできることがわかる。


「次はLV2の魔法だけど……うむむ」


 LV2で覚えられる光魔法は二つ。

 散々お世話になっているライトアローと、傷を癒やすことができる光の回復魔法であるヒールだ。


 ヒールも使ってみたいが……今のところ怪我をしてこなかったから、使う機会がなかったんだよな。

 でもやると決めたからにはちゃんとやろう。


 アイテムボックスを使い、中から果物ナイフを取り出す。

 そして軽く振って、指先に小さく傷をつけた。


「思ってたより痛いな……」


 今まで暴力と無縁の生活を送ってきた俺には、ナイフの切り傷も普通に痛かった。


 慣れない痛みに顔をしかめながら魔法を使う。

 ヒールは発動までに五秒もかかった。


「ヒール」


 俺の指先にやわらかい白光が留まり、傷がたちどころに癒えていく。

 巻き戻し映像を見ているようで、なんだか少し気味が悪い。


 傷は跡すら残っておらず、痛みも完全に消えていた。

 けれど少し気になったことがあるので、もう一度ヒールを使う。


「ヒール」


 すると今度は、ライトアローと同じく一秒くらいで発動することができた。


 五秒もかかったさっきとの差は何か。

 ――多分だけど、集中力の差だ。


 魔法は発動させるために、精神を集中させる必要があるんだと思う。

 怪我を負ったりしている状態だったから、普段よりも発動までに時間がかかってしまったんだろう。


 となると、睡眠不足や空腹なんかも魔法発動に影響があるかもしれない。

 スマホアプリを使えば時間も計れるし、今度計測してみよう。


「よし、次はっと……」


 どんどんとLVの高い光魔法を使っていく。


 LV3で覚えるのは閃光弾のような感じで目映い光を発するフラッシュと、光の盾を出すシールド、そして味方に攻撃のバフをかけるストレングス。


 LV4で覚えるのはさっき使っていたライトアローレインと、ヒールより強力な回復効果を持っているハイヒール、味方に防御のバフをかけるフォーティファイ。


 LV5で覚えるのが状態異常を治すキュアと、光の鞭を放つライトウィップ、魔法を跳ね返す光の壁を生み出すリフレクション、味方に俊敏のバフをかけるクイック。


 LV6で覚えるのがハイヒールより強力な回復魔法のオールヒールと、継続的な回復効果をもたらすリジェネ、そしてより強固で大きな盾を生み出すハイシールド。


 LV7で覚えるのが光の剣を生み出したり、刀身に光魔法を宿らせたりすることができる光の魔法剣(これは魔法名が決まっていないようで、自分が好きな名前で呼ぶことができる)。


 LV8で使えるようになるのが魔物除けの光の結界を生み出すサンクチュアリ。


 LV9で使えるようになるのが光の回復魔法の中で最も高難易度で、同時に状態異常なども治せるラストヒール、そして魔法物理の全てを防げる守護の盾を呼び出すアイギス。


 LV10で覚えるのが光の柱を召喚するジャッジメントレイ。

 そしてもう一つ……今はまだ使えない、なんらかの魔法がある。


 なぜ使えないのかはわからない。実績解除が足りないのか、光魔法の練度が足りないのか……まあなんにせよ、使えないのだから一旦放置でいいだろう。


 こうして改めて全部の光魔法を使ってみて……俺は思わずつぶやいていた。


「いや……光魔法、強すぎじゃない?」

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