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タイミング

『引きこもり』第一巻発売まであと3日!


 さて、俺はぐっすりと眠り始めたエミリア陛下の面倒を執事のトラクラさんへと任せ、一人王国へと戻ることにした。


 もう少し上手いことやれないかなと時空魔法のパーセプションを使い辺りの土地を把握しながらジョウントを使うと、行きよりかなり消費MPが節約できた。


 とにかく高地を取って低地で見渡せるギリギリに飛んでから移動、再び転移というのを繰り返していけばさほど体力を使うことなく王国から帝国に抜けるくらいの距離は稼ぐことができそうだ。


 移動にもある程度時間がかかることを考えると、ほとんど休みなく動けるようになる気がする。

 あと何回か辺りを回って土地勘を掴めば、問題なく皆を連れて行くことができそうだ。


 とまあそんな風に一人納得して王宮に入ってみると、アリシア陛下の顔つきが少し変わっていた。

 覚悟が決まっているというかなんというか……少しエミリア陛下みたいな威厳が出てきている気がする。


「アリシア、それじゃあまた後でね」


「うん、また後で」


「細かい打ち合わせは次にするから」


 あれ、詳しい話してないの?

 そもそも許可が出たから、次はクラスメイト達を輸送する話を詰めていくって感じじゃなかったっけ?


 アリシア王女殿下なんだか前より仲良くなっている気がする未玖に話を聞いてみると、流石にたまげた。

 まさかアリシア王女殿下が、俺達が密かに計画していた会談ののぞき見に参戦しようとするとはね!


 彼女はその場で、自分の父達のことを見定めるつもりらしい。

 場合によっては自分で王位簒奪する覚悟まで完了しているとのこと。


 未玖、一体何を何吹き込んだのさ?

 まるで別人みたいになってるじゃないか。


「でも勝もさ、このまま王国が魔族とか亜人の排斥をずっとするのは良くないと思うでしょ? もしアリシアが女王になれば、そういう思考誘導をする聖教ごとまるっと刷新できちゃうと思うんだよね」


「ん、それは確かに」


 王国の考え方は少し過激で、色んな人種が喧嘩しながらも仲良く暮らしている帝国からすると国是から何から色々なところでかち合う部分がある。


 仮に魔王を倒して全てが終わってから、人間同士が争うなんて事態は避けたい。

 そう考えると王様をすげ替えるというのは、わりと有用な手段なのかもしれない。


 アリシア王女殿下は今までまったく王位を期待されていなかったこともあり、後ろ盾やらしがらみが一切ない。

 彼女が女王になって王国をまとめれば、長いこと王国に救っていた害悪を一掃できるかもしれない。


「というか、もしアリシア王女殿下がそのまま王位を継ぐんなら、勇者の移動とかをする必要もなくなるんじゃない?」


「あ、でも一応帝国には連れて行った方がいいってことになったんだ。魔族が来るのも今すぐって話じゃないみたいだし、それなら少しでもイゼル二世達が変なことを思いつかないうちに移動しておいた方がいいって」


「実の娘からも信用がない、悲しい男だよ本当に」


 俺はアリシア王女殿下が王位を継ぐ前提で話をしているが、未玖にそれを訂正する様子は欠片もない。

 つまり会合で何かが起こってアリシア王女殿下がブチ切れるというのは、もはや俺達の共通認識ということだ。


 暗殺か毒殺かはわからないけど、あいつなら絶対に何かしてくるに違いない。

 負の方向に関してのイゼル二世の信頼は留まるところを知らない。


「となるとクラスメイトの皆の意思を確認したら、さっさと移送に移っちゃおうか。あ、ちなみに御津川君は帝国行きを希望とのこと」


「早速行ってきたんだね。次の問題は皆からどうやって諾否を聞くかなんだけど……」


「事前に全員に聞いて回るって言うのはやっぱり現実的じゃないよね」


「うん、アリスが直接話を聞くこともできるけど、数人が限界だって」


 何せ未玖の話では、そもそも異世界ハニートラップにひっかかって王国の騎士やメイド達と付き合っている人も何人もいるのだ。


 彼らにどうするかを聞こうものならそのまま流れるように密告、そしてそのまま警備態勢が厳しくなって一気に面倒にという展開も考えられる。


「となると当初の予定通りに行くしかないか」


 ちなみに当初の予定というのは、皆をなんとかして一箇所に集め、そこで数秒で意思確認を行い去る人と残る人を選別するというやりかただ。


 やっぱりなんやかんやでこのやり方が、一番後腐れがない気がするんだよね。


 もし残った人達が心変わりしたんだったら、俺が個人的に帝国に連れてきちゃえばいいし。

 闇魔法がLV10まで上がっている俺には、スニーキングミッションも余裕ですので。


 ということで俺達はアリシア王女殿下にお願いし、一年一組の皆の予定を横流ししてもらうことにした。


 魔族が来るのは今から半月ないくらいってことなので、そこまでになんとか皆が集まる機会があればいいんだけど……なんてことを思いながらエミリア陛下と一緒に受け入れのための準備なんかをしているとあっという間に月日は流れ、そのタイミングがやってきた。


 ダンジョン『騎士の聖骸』を攻略した功績を称え、和馬ハーレムと国王イゼル二世が謁見をする場が設けられることになり、その場に異界の勇者だからということで他のクラスメイト達も参加することになったのだ――。

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