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潜入


 闇夜に潜むのは、闇魔法の最も得意とするところだ。

 闇をその身に纏わせ、同化し、影に飛び込み姿を隠す。


 この世界では闇魔法使いの扱いは、あまり良くない。

 たとえばギルドや魔法使いの界隈で闇属性が得意と言っても、たいていの場合あまりいい顔をされないのだ。


 闇と影に紛れる必要があるのは、後ろ暗いことをする時くらいに限られる。

 間諜や暗殺者、あとは……覗きとかか。


 闇魔法を使えるということは、今まで何か薄暗いことをしてきたんだろう。

 そんな道理が通っているようで通っていない論法を使われ、煙たがられることが多いのだ。


(こういう時には便利なんだけどね……)


 俺は現在一人、王都へと帰ってきている。


 一月半ほど時間が経ったからか、流石に既にダンジョン攻略のお祭りムードは消え、街は平穏を取り戻していた。

 検問を通らずジョウントを使って直に中に入った俺は、そのまま王城へと潜入を試みていた。


 未玖が話していた通り、巡回する兵士達は多いものの、魔力を感知する能力持ちや、魔力を使いウィンドサーチなどで偵察する魔導師もいないようだ。


 ウィンドサーチは動いているものしか捉えられないから、固まったり影に入ったりする練習もしてきたんだけど、無駄に終わりそうである。


 俺は使いまくっていたから知らなかったけれど、風魔法のLV6って使えるやつほとんどいないらしい。

 魔力感知もバリエッタさんが特殊だっただけで、持っている人間はほとんどいないらしいし。


(結構死角も多いし……警備、ザルだなぁ……)


 闇魔法が使えるなら、俺みたいな潜入の素人でも簡単に進むことができている。

 やっぱり有用だと思うんだけどなぁ、闇魔法。


 たしかに後ろぐらいことに使いやすいのはあると思うけど、戦いの時以外にもちゃんと役に立つ魔法って結構少ないし。


 どうやら闇魔法使いが脚光を浴びないのには、聖教の教典の影響もあるらしい。

 その影響で王国では、光魔法至上主義みたいなところがある。


 明るいところには影ができるからシャドウダイブを使い影に入る。

 そして暗いところではダークオブザムーンを使い闇に包まれる。

 この二刀流を使うと、恐ろしいほどにするすると中まで入ることができる。


 まず最初に目指すのは、とりあえず御津川君のいる部屋だ。

 勇者には王宮にそれぞれ個室が用意されているってことだから、間違えて和馬君の部屋に入ったりしないようにしなくちゃいけない。


 御津川君の後には本丸も控えていることだし。


(にしても……まさか未玖が第二王女と知り合いとはね)


 アリシア・フォン・グルスト……未玖がアリスと呼んでいる少女は、未玖の数少ない同性の友達らしい。


 聖女としてあがめられていた未玖と王族として崇拝されているアリシアは、すぐに意気投合したのだという。


 ちなみに彼女と話ができるよう、既に未玖は自宅の中で待機中だったりする。


(えっとたしか……ここが勇者達の私室だよね)


 教えてもらった間取りを思い浮かべながら中へと入っていく。

 そして中から聞こえる音を頼りに御津川君の部屋を割り出し、シャドウダイブを使いするりとドアの中へと入っていくことにした。



 中へ入ると、そこには腕を組みながら難しい顔をして座り込んでいる御津川君の姿がある。

 俺が入ってくると、彼の眉がぴくりと動く。


 そういえば前も影の中に入っていたら見破られたよね。

 もしかすると彼も、魔力感知みたいなスキルを持ってるのかもしれない。


「――誰だ? いや、この反応……鹿角か?」


「うん、久しぶりだね、御津川君」


 影の中から抜け出すと、立ち上がった御津川君と目と目が合う。

 どうやら彼にしては珍しく、緊張しているらしい。


 最初は実力差におののいてるのかと思うけど、どうやらそうではなかったみたいだ。


「未玖は……どうなった?」


 ……なるほど、たしかに結局バレるのを恐れて会いに来てなかったからね。

 未玖とは友人同士だったらしいし、心配するのも当然か。


 なので俺は安心させるように優しい声音を意識しながら、告げることにした。


「――大丈夫、生きてるよ。今は身分を隠して、俺と一緒に行動してる」


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