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能力者たちの日常  作者: 中町直樹
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プロローグ2

「行ってきまーす」


 いつもであれば返事をくれるはずの祖父からなんの応答もない。昨晩の夕飯後から部屋に閉じ籠り出てこない。ドアには『侵入禁止』と書かれた紙が貼ってあったため入ってはいないが部屋からは声が聞こえたため生きていることは確実であるため不安に思いながらも家を出た。


(昨日からなんか変だったし気になるけど、詮索しても余計なことをするなって怒られそうだし)


 自転車を漕ぎながらそんなことを考えていると目の前の信号が赤になる。


(うわ最悪。この信号青になるまで長いん)


 ドゴッという鈍い音が周りに響き渡る。程なくして信号待ちで止まっていた車から続々と人が出てくる。


「おい!俺が救急車呼ぶから誰か警察に連絡しろ!」

(顔の近くで叫ぶなようるせぇな)

「やばくない?足とか腕なんか変な形してるし血もかなり出てるし。」

(誰か事故ったのかよ。可哀想だな)

「ありゃーもう助からねぇだろ」

(そんなに酷いのかよ。てかなんで俺喋れねぇんだ)

「君大丈夫だぞ。すぐ救急車が来るからな」

(体の感覚が無いし、動かせねぇ。なんか視界も変だし。おいもしかして、、、)


 浅葉優也はそこで初めて自覚した。事故に巻き込まれたのも、もう助からない程の大怪我を負ったのも自分自身だと。


(冗談じゃねぇ。こんな若いのに死ぬのかよ。まだ、、、やって、、ないこ、、と、、、もあん、、のに、、、)


 自覚した途端に徐々に意識が遠のく。最後に聞こえたサイレンが頭に響き渡りながら彼の意識は彼方へと消え。





「うわ凄いね。少しずつだけど傷が治ってく」

「生存本能が能力をフル稼働させてんのかね。にしてもこんな状態からでも生き返らんだから便利な能力だな」

「ねー。私のと交換できないかな?」

「残念ながらそんな技術は確立されてない」


 重症な優也を見ながら余裕そうに言葉を交わす2人の男女。僅かながら意識が戻った優也の耳にもその声は届いていた。


(だ、、で、、、か?)

「あ、なんか喋った」

「無理して喋んなよ。今は寝てた方が互いのためだからな」


 その言葉を最後に優也の意識は再び闇へと消えた。


「あ、寝ちゃった。寝言みたいなもんだったのかな?」

「だろうな。それはそうとそろそろ着く頃だから運び出すの手伝えよ」

「りょーかい」

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