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女子高生(500文字掌編)

作者: 吉田定理

挿絵(By みてみん)


 本当は俺は、女子高生として現場に立ち続けたい。だが、それはできない。


 なぜなら、別の部署に行くように、と命令されてしまったからだ。


 憧れの女子高生になってもうすぐ三年。最初は俺みたいな三十過ぎのおじさんが女子高生としてやっていけるか、不安でたまらなかった。未経験ながら奮闘し、中堅の女子高生になり、ようやくコツもつかめてきたと思っていたのに。


 異動命令を受け入れれば、女子高生として現場に立つ機会はなくなるだろう。かといって拒否すれば、社長の怒りを買ってしまう。俺はどうすればいいんだ。せっかく女子高生検定試験にも合格して、自信がついてきたのに。


「田中、どうした? 最近、元気ないな」


 ベテラン女子高生に気遣われ、俺は心境を打ち明けた。


「女子高生になりたくてこの会社に入ったのに、もう、ここにいる意味があるとは思えないんです」


「悲しいが、女子高生の理想と現実の違いを知って辞めていく人も多い。お前はよく頑張ってるよ」


 俺は決心して、社長室のドアを叩いた。


「退職してフリーの女子高生になります」


「バカ野郎。それで食っていけると思ってるのか」


「分かりません。でも、女子高生っていうのは、夢を見せなきゃいけないんです」

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― 新着の感想 ―
[一言]  「いつも感想ありがとうございます」……ん? この人の初めて読んだけどなあ?→作者マイページを見る  なんと、火凛さまだったとは! 驚きました(笑) しかし作者名変えて投稿しても、マイペー…
[一言]  面白かったです。  訳分からん! と確かに最初は思いましたよ(笑) でもこの「訳分からん!」「ナンジャコリャ!?」を狙って作られた物語ですよね?  説明を求めるのは野暮ですね。  「…
[良い点] 30過ぎの男が女子高生をやり、フリーの女子高生を目指す。 シュールさはありますが哀愁も漂う作品でした。 茨の道でしょうが、主人公には頑張って欲しいと思います。
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