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第1章 5話 「後継者」

「お嬢さん。1人で夜道を歩くのは危ないよ」


「……?」


突然声かけられた。

この声はのら猫でもバルザでもない。

じゃあ、一体誰だ?

私が振り返ると暗闇から1人の男が歩いてきた。


「こんばんはお嬢さん。俺の名前はこめ。ただの平凡な村人だよ」


「はぁ……」


なんだかやけに爽やかな男だ。

さぞかし女にモテそうな整った顔立ちにパーマをかけた髪の毛。そしてスラリとした体つきをしており、まさにスポーツ万能オーラが漂っている。


「君はどうして夜道を1人で歩いてるのかな?連れはいないのかい?まさか…家出少女とかじゃあないよね?」


「いや…家出をした訳じゃなく…むしろその逆で今から家に帰ろうしてるとこなんです」


「おぉ!そうなのかい!安心したよ。だけど夜道を1人歩くのはやはり危険だ。近頃は盗賊団出没の情報もあるからね」


こめと名乗った男はやけに親切に接してくれる。

私のことを心配してくれるのは有難いが、夜道を1人で歩く私に話しかけてくるこの男こそ危険な気がする。


「そうだな……よし!僕が君を家まで送ってあげよう」


こめは両手を広げ私に笑顔で言葉を言い放つ。

しかしなんだろう……この男に送ってもらうのだけは駄目だと本能が訴えてくる。


「心配して貰ってるとこ申し訳ないですが…私は大丈夫ですので…」


「そんな!僕は君を心配してあげてるのに!!別に怖がる必要は無いんだよ。やましいことなんて1つもない。約束するよ」


こめは再び私に笑顔を向けてくる。

やっぱり…この男は危険だ。

間違いない。


「いえ!本当に大丈夫ですから!それじゃあ私はこれで!!」


私は急いで歩き出す。

あの男に背中を向けるのは怖いが、今はそんなこと気にしてられない。


「そうつれないこと言うなよ」


パシッとこめは私の右腕を掴んできた。

私は恐怖で一気に鳥肌が立つ。


「ほ、本当に大丈夫ですから!!離してください!!」


「何が大丈夫なの。君の右腕には俺を振りほどけるほどの力も入っていない。こんなんじゃあ屈強な男にはあっさりやられてしまうね」


「ッ!!!」


「そう怖い顔をしないで。ほら行こうよ」


こめは右腕を掴んだまま歩き出す。

このままだと本当に危ない。


「ウィンドショット!!」


私は左手で風の攻撃魔法を放ちこめの手を振りほどく。


「へぇ……ちゃんと魔法を習得してるのか。なかなかやるね」


男は私の魔法を受けても不敵に笑っている。


「女の子に手を出すのは好きじゃないんだけどね。その態度なら仕方がない」


私はすぐに警戒態勢に入る。

どうやらこの男は私を攻撃して屈服させる算段のようだ。

最悪だ。

なんでこの街に来てそうそうこんな厄介事に巻き込まれなくちゃならないんだ。


「君に1つ質問だ。君は魔法を手にした時どう思った?」


「?」


「俺は思ったよ。きっと俺は神からの祝福を受けてるんだって。だから俺はどんな悪さをしても天罰を下されない。」


「まさか…街で噂の盗賊団ってのは…」


「おやぁ?もしかして君は勘づいてしまったのか?まぁいいや!君にバレたところで!君の思ってる通り、俺が盗賊団で間違いないよ」


「どうして…盗賊なんかを…」


「理由なんてどうだっていいだろ。俺には天罰が下されないんだから何をしたって問題ない」


「ッ!!そんな理由のために…相手の気持ちを考えたことはないんですか!?」


「はぁ…めんどくさい…これ以上は会話したって無駄そうだな」


この男を取り逃したら被害は拡大する一方だ。

なんとしてでも捕まえなくてはならない。

でも…ここにはのら猫もバルザもいない。

私1人でどうやって勝てばいいのだろうか?


「一応名前を聞いてもいいかな?」


「……レイナです」


「レイナか…記憶力は良くないから寝たら忘れるだろうけど。頑張って覚えるとしようか!」


のら猫やバルザと同様。こめも魔法名を紡ぎ出す。


「疾風怒濤たる神々よ!駿足の風で俺を導け!」


こめは一体どんな魔法を使うのだろうか。

まずは魔法の種類を見極めなければ。


「一つレイナに忠告しておく。ただ目で追うだけじゃあ俺の攻撃を避けきれないよ!」


どういうことだ?

そう思った直後だった。

何かが高速で横切ったような音がした。

そう認知するや否や私の左袖の布が大きく破ける。


「なっ…」


「ヒュ〜」


こめは愉快そうに口笛を吹く。


「これじゃあ一方的に勝負がつきそうだな」


「今のは一体…」


速すぎて何が起きたのか全く理解できなかった。

何かが横切ったような音がしたのは分かったのだが…

でもそれだけじゃ情報が少なすぎる。

今の一瞬でどんな高速の攻撃をしてきた?


「降参するなら今のうちだよ。じゃなきゃ!あられもない姿になってしまうからね!」


こめ何かを投げるような仕草をする。

その直後、またしても高速で何かが横切る音がした。

そして先程と同様に右袖の布が大きく裂ける。


「くッ…」


「ハハハ!馬鹿みたいだけどやっぱり一方的な勝負は嫌いじゃない!」


まずい状況だ。

まだ傷らしいものは負っていないとはいえ、このままでは反撃の余地もなく勝負がついてしまう。

相手の魔法が分からなくてもいい!とりあえず反撃しなければ!

そう危機感を覚えた私は急いで魔法を発動する。


「錬成せよ!鋼鉄の剣〈スチールソード〉!」


私は急いで剣を錬成しそれを持つ。


「へぇ…錬成の魔法を使えるのか…でもそれで勝てるなんて保証はどこにも無いけどね!」


こめは再び何かを投げる動作をした。

その投げる動作から、攻撃が私の体のどこを狙っているのか予測する。


「ッ!!!!そこか!!」


私は攻撃を防ぐべく剣を使い防御を取る。

するとキインッ!と甲高い音が辺りに鳴り響く。

やはり予測通りだ。

こめは私の胸辺りを狙って攻撃していた。


「今の間に俺の攻撃を見切ったのか…残念。せっかくサービスショットと行こうと思ったのになぁ」


さっき私が攻撃を防いだ時、何かが剣にぶち当たったのが分かった。

何が当たってきたのか。

私はそれが落ちたであろう地面を見る。


「木の…ナイフ?」


「あーあーバレちまったか…」


なんと地面に落ちてきていたのは木のナイフだった。

私の予測が正しければ、これを目に見えないほど高速で投げ攻撃していたことになる。


「まぁ考えてる通りだよ。レイナちゃん」


「……」


「僕の魔法は運動魔法だ。魔法の力を使うことで目に見えないほどのスピードで走ることが出来るし、常人では越えられないような高い壁も、俺なら1回のジャンプで飛び越えられるんだ」


「そういうことですか…」


厄介な状況になってきた。

運動魔法がそれほど便利なものならば、相手に何が起きたのか分からないまま屈服させることが出来るだろう。

それに投げていたのは木のナイフと来た。

木製と言えども凶器であることに変わりは無い。

辺りどころが悪ければ絶命は避けられないだろう。


「種がバレてしまった以上。俺も本気で相手をしなくちゃならないみたいだな」


攻撃が来る!

おそらく今よりも厄介なものが…


「恨むなら自分を恨みなよ」


こめがそう言葉を言い放った直後、突然こめの姿が消えた。

私は急いで周囲を見渡すが見つからない。


「言ったはずだよレイナ。目で追うだけじゃ俺の攻撃は避けきれないって」


どこから響いてるのか分からないこめの声が聞こえる。

一体どこにいる?

そう思った直後だった。


パァン!と盛大に布の破ける音がした。

音の出処は私の左太もも辺り。

そこに先程の攻撃が当たり、布が派手に裂けたのだ。


「ちょっと威力が強大すぎるな。ま、俺の魔法が強すぎるだけだし。仕方ないか!アハハハ!!!」


パァン!と再び布の裂ける音がする。

次に攻撃が当たったのは右肩。

やってることは同じく凶器を高速投げているのだろうが、それにしても先程とは威力が桁違いだ。

きっと先の攻撃に+αで追加の魔法を放っているのだろう。

それはなんの魔法だ?

先程のこめの言葉を思い返せば分かるはずだ。


『僕の魔法は運動魔法だ。魔法の力を使うことで目に見えないほどのスピードで走ることが出来るんだ』


これがヒントで間違いない。

この言葉から予測出来ることは……


「目に見えないほどの速度で助走をつけ、投げているわけですか…」


「おやぁ。正解だよレイナ。流石と言うべきかな。でもタネが分かったところで君に攻撃を防ぐすべはないんだけどね」


パァン!と再び盛大に音が鳴る。

今度はお腹辺りの布が裂ける。


「うっ…」


こめの言う通りだ。

タネが分かったところで相手の攻撃を予測できない以上、意味が無い。

再び盛大に布のやぶける音がする。

私は相手がどこにいるのか分からないままただ一方的に攻撃を受ける。

右裾……左太もも…背中…

次々と攻撃が私の体に当たりその度に布が盛大に裂けていく。


「ヒャハハハッ!!!こりゃ傑作だ!俺はプロダーツプレイヤーにでもなるべきだったかなぁ!?!?」


だめだ…

こんなの勝ち目がない。

私はもはや抵抗を諦めただ攻撃を受けるだけとなる。

きっともう何も出来ない。

攻撃の手段が分かったんだもういいじゃないか。

しばらく待てばのら猫やバルザが助けに来てくれるかもしれない。

だったらそれまで待てばいいだろう。

そんな淡い希望を抱いた直後だった。

いつも通り高速で攻撃が横切る音が聞こえる。

その直後だった。

ザクッと右腕に凶器が突き刺さったのが見えた。



そこから赤い鮮血が勢いよく噴き出す。



そして全身へ…



強烈な激痛が…



「は…あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああたあああ!!!!!!!!!!!」


「あちゃー…やっちまったか。俺もまだまだだな」


痛い!痛い!痛い!

なんで?どうして!?

今まで攻撃は布にしか当てて来なかったのに!

なんで急に直に右腕へ攻撃してきたんだ!?

あまりの激痛に視界が明滅する。

そんな視界から唯一分かるのは…

右腕から吹き出す真っ赤な鮮血だけ。


「う、うううぅぅぅ…」


痛い…

すごく痛い…

全身を駆け巡る激痛に私はただ悶えることしか出来ない。


「なんで…」


なんで…なんで…

どうして…

どうして……?

どうして私がこんな目に合ってるのだろうか…?

この街に来たのものら猫が案内してきてそれでなんとなくついてきたからで…

私が魔法が使えると分かって…そしてバルザは自分のことのように喜んでくれた…

私が亡き魔女の跡を継ぐ後継人らしくて…それをのら猫やバルザは祝福してくれた…

でも…こんな目に遭うなら魔女の後継人じゃなくても良かった…魔法なんて使えなくても良かった………この街に来なけりゃ良かった…

そんな悲愴的な考えが次々と頭に思い浮かんでくる。

この状況に置かれてもただ嘆くことしか出来ない自分に嫌気がさす。


やっぱり…


やっぱり私ってダメな子なんだな…


『レイナは本当にそう思ってるの?』


なんだろうか。

唐突に声が聞こえてくる。

この声は…こめでものら猫でもバルザでもない…

柔らかい口調で女の子の声だ。

一体誰の声なのだろうか?

声の招待は分からない。分からないんだけど記憶の奥底で聞いたことのある声だ。そして…私を優しさで包み込んでくれるような声。


『レイナは自分が思ってるよりもすごい人なんだよ』


声は続ける。


『あの時、レイナは私のことを守ってくれたよね?レイナは勇気があってとっても強いんだよ』


声は…私のことを励ましてくれてるらしい。

この声の主は一体誰なのか?

私のことを知っている人なのは間違いない。

遠い昔、会ったことのある人なのだろうか?

……分からない。

だけど…とっても安心する。

先程まで湧き出ていた悲愴的な考え。

それを今は暖かい気持ちが覆い尽くしてくれる。


『だからさ…レイナはもっと自信を持っていいんだよ…』


どうやら声は私を励まし、そして期待を寄せている。

その期待に…私は答えたい。

そう思った。


「分かった…分かったよ…大切なのは『自信を持つ』ことだって…のら猫も言ってたもんね…」


私は起き上がる。

今も激痛が全身に走っており、負けてしまいそうだけど。

それを我慢して対峙している敵と向き合わなければならない。

まだ戦えるんだから……


行こう!


「おやおや?へばってしまったのかと思ってたがそうじゃないみたいだな」


今も尚、見えない敵。

不安要素は沢山ある。

だけど大丈夫な気がする。

根拠なんてないけどきっと上手くいくから。

私は右腕に突き刺った木の棒をさらなる激痛に耐えつつも抜き取る。


「癒しの女神。力を授けよ」


私はそう唱える。

すると右腕の出血は止まり、全身を駆け巡っていた激痛は止まった。


「治癒魔法…なんだ使えるのか。心配して損したなー全く」


相変わらずこめは呑気なこと言う。


「でも、治癒魔法を使えるならより手加減をする必要が無くなったなぁ!!」


再び攻撃が来る。

私は急いで臨戦態勢をとる。


「次も君の綺麗な素肌にぶち当ててあげるよ」


こめの声は聞こえるものの、相変わらずこめの姿は見えない。

どこから攻撃が来るのか分からず、不利な状況なのは変わらない。

だけど…何故だろうか?

きっと大丈夫だっていう安心感が今はある。

だから今なら…………


「ほらほらぁ!許しを乞うなら今のうちだぞ!びびっておもらししちまう前になぁ!」


私は声を無視して目を閉じる。

すると風を切る音が近づいて来るのがわかる。

このままだと直撃は避けられない。


「ほらぁ!!防がないと当たっちゃうよぉ!!また痛い目に合っちゃうよぉ!!!もしかしたら今度は…」


考えれば分かるはずだ。

運動魔法による高速での投擲。

見えない位置からの攻撃。

今まで服への攻撃だったのに唐突な素肌への攻撃。


「死んじゃうかもしれないなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


バキイィィィ!!!と直撃する音が響き渡る。


私はゆっくりと目を開ける。

案の定、凶器はそこにあった。

剣に振り払われ威力の無くなったただの木製ナイフと化して。


「な…なん、で?」


動揺した声が何処からか聞こえてくる。

こめは再び素肌に当てると宣言したが、それは真っ赤な嘘だった。

本当に狙っていたのは先程、私が攻撃を防いだ胸辺りだった。


「なんで!?今のスペード!防ぐすべもなくくらっていたはずだ!?」


「防がないと痛い目に遭うって言ってたのに、本当に防いだらそんなに騒ぎ立てるんですね」


「ッ!?」


「おそらくナイフが刺さった場所的に貴方は」


左後ろを振り返りそこに生えている木を見つめる。


「そこの木の茂みに隠れているんじゃないですか?」


そのこめが立っているであろう位置に剣を突き立てる。


「ひっ!ひぃ!?」


木の茂みが揺れたと思ったらすぐさま人が落ちてくる。

やはりこめで間違いない。

思いっきり尻もちをついたため痛そうにお尻を摩る。

そんなこめに私はゆっくり近づく。


「お、俺に近づくなあぁぁぁぁ!?」


こめは再び目に見えないスピードでナイフを投げてくるがそれを剣で振り払う。


「くそぉぉ!!一体なんで!?」


「見えるんですよ…」


「な、何が…」


「全部見えるんです。あなたの攻撃も行動も考えも次どう動くのかも全部」


そうレイナには全て見えていた。

これは先代の第5の魔女が使っていた模倣〈コピー〉による魔法では無い。

レイナは元々、人を注意深く観察する性格だった。

その性格が第5の魔女の魔力と混じり合い、相手の悪意や殺意から次はどう行動するのか、どう攻撃するのか、どこから攻撃しているのか全部分かるようになっていたのだ。


「ふ、ふざけるな…俺の攻撃が見えてるからって…調子に乗るなぁぁぁ!!!」


こめはまだ攻撃の手を止めない。

でももう大丈夫だ。

投げ放たれた攻撃を同じように剣で振り払う。


「くっそおぉぉぉぉ!!!」


ダンッ!と地面を蹴る音が聞こえるのと同時にこめの姿が消える。

再び見えない速度で走っているのだろう。

ブゥン!また風を切る音が聞こえる。


「!そこか!!!」


キィン!と再び攻撃を防ぐ。


「ちっ!これならどうだぁぁぁ!?」


すると今度は空から大量のナイフが一気に降り注いでくる。

さすがにこれは剣で防ぎようがない。

でもよく見れば分かる。

剣で防がなくてもナイフの間を拭えばいい。


右 左 左 右 右 左 右 左 右 右 左


この順序で避ければいける!

地面を踏みつけ飛び跳ね、その勢いを殺さずそのまま空中で横切るナイフの側面を蹴り方向転換をしナイフを避け続ける。

この大量ナイフを避けきればこめが隠れているであろう木の茂みに到着だ。


「う、うわぁぁぁぁ!?」


こめは悲鳴をあげ再び別の位置へ移動する。

私はこめの立っていた木を蹴り、追跡する。


「こ、来ないでぇ!!やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


こめはポケットに手をつっこみ、その中にあるものを投げつける。


「!」


見れば分かる石だ。

それを投げつけてきた。

急いで剣を構え、勢いよく振り払う。


「待て!止まれぇ!!」


石を防ぐのはさすがに予想外だったのか慌てたこめは両手に持ってた石を全て落としてしまう。

再び別の木の茂みに移動し私はそれを同じように追跡する。


「レイナは女の子だろ!?ここは可愛らしくおままごとで決着なんてどう?」


またナイフをポケットから取りだし投げつけてくる。

もはや何を言ってるのか意味が分からない。

というか一体、何本のナイフを持ってるのだろうか……

しかしこのナイフよく見たら、掴めるかもしれない。

そう思いナイフに手を伸ばすと、やはりキャッチできた。

そのナイフをこめのいるであろう方向へ投げつける。

そのナイフはこめの右腕をかすった。


「い、痛いぃぃぃ!!」


突然の出来事にこめはバランスを崩し木から転がり落ち、地面をゴロゴロ転がり別の木に激突する。

今がトドメをチャンスだ。

木を蹴り勢いをつけ、剣を振りかざしこめの元へ一直線へ突き進む。


「くっ!集結せよ!!チャンクウッド!!!」


こめは激突した木を左手で握りしめる。

すると木は変化し大きな塊へと変わる。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


その塊を私の方へ全力で投げつけてくる。

恐らく最後の力を振り絞った攻撃なのだろう。

これを避けるのは不可能だ。

なら剣で切り裂くしかない。

剣を突き立てそのまま一直線に塊へ向かう。

剣は塊に突き刺さり、あまりの力に砕け散ってしまう。

剣ではない塊の方だ。


「う、嘘だろ!?」


砕けた塊の中、剣を突き立てたまま一直線に進む。

狙いはこめの体。

当たれば絶命は避けられない。


「し、死ぬ!?死んじゃうって!!!お願いだからやめて!!!盗んだ物は全部返します!!!被害者にも謝ります!!!だからぁ!!!!!」


私はこめの言葉を無視する。

もう距離は無い。

避けるなんて不可能だ。


「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!ママァァァァァァァァァァァ!!!!!!」


ドォォォォォォォォォォォォン!!!!と轟音が鳴り響く。

剣は間違いなく直撃した 。

正しくはこめの身体スレスレの地面に。


「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜~!!!???」


こめは剣が直撃すると思ったのか。

恐怖で顔を強ばらせたまま気絶し地面に倒れ伏す。


「別に命は取りはしませんよ。私はそこまで落ちぶれたつもりないですから」


私は地面から剣を引っこ抜き立ち上がる。

そしてそのままの姿勢でこめを見下ろす。


「まぁ…聞こえちゃいないみたいですけどね」

書く書く言って全然書いてなかった小説。

ようやく書けました。

めちゃくちゃ時間かかって申し訳ないです。

序盤なのでゆっくり進めています。

次からはもう少しアップテンポで行く予定です。

順次、更新していくので次回も是非読んで下さい。


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