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第1章 3話 「新たな出会い」

天空都市ベルダンは私の想像よりもずっとずっと大きくとても綺麗な街だった

地面は石畳でカラフルなカントリー調の家々が並んでいる


「ここが天空都市ベルダン…すごい」


想像以上の街並みに感嘆の声を上げ、思わず後ずさってしまう


「おっと、それより下がるとさっきの草原まで真っ逆さまだぞ?」


「え?」


急いで元の位置に戻り、後ろを振り返る

するとそこには雲海が広がっておりここが本当に天空にあるのだ実感した


「まぁ驚くのも無理は無い。天空に浮かんでる街なんてここくらいしかないだろうからな」


「なんていうか…本当に綺麗な街並みですね」


「自慢の街だからな。そう言って貰えて嬉しいよ」


私はのら猫の横に立っているもう1人の人に目がいく


「ところでその隣の人は誰ですか」


「あぁ彼はな…」


のら猫は言葉を途切らせ隣の人を見るとニヤリと笑う


「自分の口から自己紹介してやれ!」


のら猫は隣の人の背中を叩く

すると隣の人は緊張しているのかビクッと身体を震わせた


「え、お、俺?」


「お前以外に誰がいるんだよ」


「わ、分かったよ」


コホンと隣の人は咳払いをしピンと背筋を伸ばす


「バルザライザーです。よろしくお願いします。」


……………………………………………………………………。


「「いやそれだけ!?」」


「以上です。よろしくお願いします。」


「いやいや!もっと他に無いんですか!?」


私はついバルザと名乗った人にツッコミを入れる。一方、のら猫はあちゃーといった感じでため息をついている


「トクニアリマセン。ヨロシクオネガイシマス。」


「いやロボットか」


またもや私はつっこみを入れてしまう


「いや色々あるでしょ!所属とか私に対しての質問とか!」


「所属はプロイサン騎士団第4部隊です。よろしくお願いします。」


「いや語尾によろしくお願いしますがつくのは口癖か何かか」


「いやーごめんレイナ。こいつは人見知りが激しいんだ。特に異性に対する人見知りがな」


「そうなんですか。とりあえず私の名前はレイナです。よろしく!」


私は一応一礼してバルザさんに手を伸ばす


「?」


一方、手を差し出されたバルザさんはこの後どうすればいいのか分からず首を傾げている


「握手ですよ。よろしくの握手です。」


「!?」


バルザさんは驚いたのか再び体をビクッと震わせた

ここの世界では握手という文化は無いのだろうか?

それにしてもこのバルザという男

いちいちリアクションが面白い

リアクション芸人になれる気がする


「その…よろしく」


バルザさんは私の手を優しく握りしめた

一応、握手がどんなものなのかは分かって貰えたようだ


「えっと、バルザさんよろしくお願いしますね」


手を握ったまま私はバルザさんに笑いかけた


「!!!」


バルザさんは再び驚いた表情をした後、バツが悪そうに顔を逸らす


「えっと…大丈夫ですか…バルザさん…」


「別にバルザでいいよ。それに敬語も使わなくて大丈夫。俺もレイナって呼ぶからこれでお相子だろ」


「そうですか。分かったよバルザ」


「うむ。それでいい!」


「これ俺、忘れられてる流れだよな…もしもーし!一応ここにものら猫騎士様がいるんだぜ!」


「あ、流れ的に忘れてました」


「いや酷い言葉をサラッと言うなおい!」


のら猫は腕を組みフンッ!とわざとらしく拗ねたようなフリをする


「悪かったですよ。ところでこの後は一体どこへ?」


「そうだな…もう夕方だし飯でも食べに行かないか?」


「それって俺も数に入れられているのか?のら猫」


「当たり前だろ。もしかして勝手に数に入れられてバルザならぬオコルザになっちまったか〜〜〜〜?」


「俺の名前で親父ギャグを作るな」


「とりあえず場所は俺の行きつけのとこでいいか?」


「私はどこでもいいです」


「俺もどこでも」


「少しは意見持てよ君たち!!」


私とのら猫とバルザは夕食を食べに料理店へ向かう

料理店は5分ほど歩いた先にあり、中はわいわい賑わっているのが遠目で見ても分かる


「3人なんですけどどこか空いてるテーブルありますか?」


のら猫が尋ねると店員はビシッと部屋の隅っこにある空いたテーブルを指指す


「ありがとうございまーす」


私たちは隅っこにある空席のテーブルへ向かう

テーブルは4人座れるタイプのテーブルで私が座るとのら猫は私の正面に座りバルザは私と隣になるのが恥ずかしいのかのら猫の隣に座る

店のメニューが書かれているのであろう看板が机の真横の壁に掛けられていた

しかしそこには料理名の文字しかなく料理の写真がないためどんな料理なのか一目で判断できない


「俺はお肉を食べたい気分だからシュニッツェルにするぜ、バルザは?」


「俺はシュパーゲルで」


「レイナはどうするんだ?俺のおすすめはアイスバインだ」


「えっと…あ、アイスバイン?」


「のら猫、レイナが困惑してるじゃないか、俺はノルトゼーをおすすめする」


いやいやその料理も全く知らないでは無いか

私はこれ以上メニュー表を見ても何の料理か分からないだろうと判断し適当に指を指して頼む料理をのら猫とバルザに教える


「ケバブか、いいんじゃないか。すみませーん注文頼みまーす」


のら猫は全員分の料理を店員に頼む


「これで良しと」


結局、よく分からないまま頼んだか大丈夫なのだろうか

そう私が考えている中、バルザが口を開く


「のら猫、女の子1人を拾って満足してるみたいだが、何のために街を出て活動をしてたのか忘れたんじゃないよな?」


「忘れてないに決まってるだろバルザ。盗賊団の件だろ。頑張って情報を集めてきたがこちらも似たような情報ばかりだ」


「あの…盗賊団って何なんですか?」


盗賊団

急に不審な言葉が出てきて聞き返してしまう


「あぁ…近頃、真夜中のみんなが寝静まった頃を見計らって金品を盗む事件が多発していてな。我々騎士団はその犯人を捕まえるべく情報収集、見回りに大忙しって訳なんだ」


「そんなことが起こってるんですか!早く犯人を捕まえないと!」


「そうしたいのは山々だが犯人の動きが巧妙でな、目撃情報はあるんだが犯人はすばしっこくてすぐ逃げられてしまうらしい」


「犯人の情報はやはりどこも似たようなものばかりだな。巧妙ですばしっこいか…」


バルザはどう犯人を捕まえるべきなのか考えているのだろう

難しい顔をしている

のら猫もこれ以上の情報は掴めていないようで口を詰まらせる


「その犯人はどんな家々を襲っているのか情報とかはあるんですか?」


私はふと疑問に思ったことをのら猫に聞いてみる


「どんな家々を襲っているか…あー!そういえば若い女の人の家ばかり襲われてるらしい!!」


「「…………………………………………え?」」


バルザと私は予想外すぎる答えに困惑してしまう


「そういえば夜道を1人歩いてる女の子に急に話しかけて『 今夜は俺とトゥナイト?』って言う不審な男に関する情報も多くあったな…もしかしてこれもあの犯人の仕業か?」


「そんなバカみたいな情報があったとはな…」


「はぁ…犯人はどうやらほんとにろくでもない奴みたいですね」


そんな会話をしている中、私たちの元に料理が届く

のら猫の頼んだシュニッツェルはお皿一杯にお肉が広がっており驚いてしまう、しかし肉は薄くとても食べやすそうでそれをパン粉で揚げているためさくっと食べられそうだ

バルザが頼んだシュパーゲルはと言うと…


「不思議そうな顔をしてるレイナに教えてあげよう!シュパーゲルってのは料理名ではなく正しくは野菜の名前なんだ!」


「野菜の名前なんですか。そのシュパーゲルって野菜って…」


「シュパーゲルは見ての通り白いアスパラガスのことで土の中から取る事が出来るんだ。そのシュパーゲルを茹でてその上にオランデーズソースをかけたのがこの料理なんだ」


「なるほど…そんな感じの料理なんですね」


私がのら猫とバルザが頼んだ料理に夢中になってる間に私の頼んだ料理もやってきた


「おぉ…」


運任せで適当に選んだ料理だったがとても美味しそうだ

私が頼んだケバブという料理はパンとパンの間に大量の肉と野菜が挟んでありそれをソースと絡めたものだ

よし、実際に食べてみよう


(もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ)


美味しいなこれ


「レイナがここの料理が気に入ってくれて良かったよ」


私はちょうど噛んでる途中で喋れないため無言で頷く


「そういえば、のら猫。レイナに魔法について教えたのか」


バルザがシュパーゲルを食べながら聞く

するとのら猫は食べつつも気難しそうな顔をして返答する


「いや全然」


「まぁお前は説明が下手だし教えたとこでだよな」


「なんだとぉ!?」


私はようよく噛む作業を終え飲み込むことが出来たため口を開く


「私、魔法とか触れたことなくてイメージも掴めないんです」


のら猫はそれを聞いてナイフで肉を切りながら返答する


「まぁ初見だとそうなるだろうな。レイナは魔法についてどんなイメージがある?」


「イメージですか…魔法って野蛮なもののイメージがあるんですけど」


それを聞いたバルザは呆れた顔をして返答する

ただし私と目を合わさずに


「魔法は攻撃の為に使うものじゃないよ。なんならそれ以外の為に魔法があると言ってもいい」


「まぁ先程話題にでてきた盗賊団とやらは盗みを行うために魔法を使ってるんだけどな」


のら猫は食べながらそう答えた

今のところ魔法を見た感じとても威力が高く、ナイフなどで人を攻撃するよりも怪我を負わせることが出来るだろう

出来れば私はそう言った現場に関わりたくないなと思う

そんなことを考えているうちに私ものら猫もバルザも食事を終えた


「とりあえずのら猫、少女をひとり連れてきたことと今まとめた盗賊団の情報を騎士団本部に連絡した方がいいんじゃないか?」


「そういえばそうだな。大事な情報だし連絡するとすっか」


「ちなみに代金はどうするんですか?」


「俺が払うよ」


どうやらバルザが払ってくれるらしい


「ひゅー!イケメン!」


のら猫は得したことに喜んでいる

私も申し訳ないなと思いつつも内心喜んでいる

バルザがお金を払い終え、私たちは店から出る

そういえば私はここからどこに泊まればいいのだろうか


「バルザ。今夜はレイナを家に泊めてやれよ」


「え!?それはのら猫が連れてきたんだからお前の家に泊めろよ!」


「今夜は街周辺の見回りの任務があるから無理なんだ!すまないな!」


「ちょ!私の意見は!?」


「大丈夫!朝にはバルザの部屋に迎えに行くから!あと明日はレイナとバルザと俺とで魔法の特訓をするぞ!」


「いや!だから私の意見は!?!?」


「すまんレイナ!じゃあそういうことで!」


のら猫は片手を振りながら走って街の向こうへ行ってしまった

私とバルザに気まずい時間が訪れる

仕方が無いので今夜はバルザの家で泊まることが決定のようだ

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