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第1章 1話 「異世界への誘い」

※この小説はのら猫とそのフォロワーが出てきますので、あまりのら猫について詳しく知らないという方はついていけなくなる可能性があることをご了承下さい。

6話と7話を投稿していましたが、次話の諸事情により一時的に削除致します。

「どうしてこうなったのか」

そんな嘆きが虚空に消える

少女の後悔は消えることのないまま

ただ無常に時計の針は廻り続けた


この世界には5人の魔女が存在する

魔女たちは人から成りし存在で常人では敵わない強靭な魔力を保持している

それぞれが異なる国に属し、ある者は人々から崇拝され、ある者は人々から迫害され、ある者は巧みな戦術で利益を得て、ある者は国を支配し、そしてある者は人々に愛されながらこの世から去った。

これは異界の地を歩む1人の少女の物語


今日もいつものように扉を開けて家の中へと入る

帰宅したことに安堵した直後、今日の疲れがどっと押し寄せてきた

その疲れは重力に耐えることも許さない

私はすぐさまベッドへ倒れ込むように寝転がる


「いたたた…」


頭が痛い

考えが上手くまとまらない


「結局…今日もいつ通りのままか…」


いつからだろうか、自分自身にこんなにも嫌気がさすようになったのは


……


やっぱり分からない


……


頭が痛い

何も考えたくないのに悲愴的な考えが次々に浮かんで来て私が休むことを許してくれない


……


もういい


今日は何もしなくてもいいか


私はそう考えながら暗い部屋でただ1人、ベッドに横になったまま目をつぶった


……


カッ


……


カッカッ


……


カッカッカッ


……


カッカッカッカッカッ


……


カッカッカッカッカッカッカッカッ!!!!


「あー!もう!うるさい!うるさい!一体なんなんですかぁー!!!」


「ぬおぉ!?!?びっくりした!?てか生きてたの!?ならそう言ってよ!びっくりするじゃんかよ!!!」


「うわぁ!?あなた誰ですか!泥棒さんですか!?変態さんですか!?てかどうやって入ってきたんですか!私の家は二重ロックなんですよ!!もちろん鍵は別々です!!!」


「に、二重ロック?鍵は別々?一体、なんの話しをしてるんだ?てかここがどこなのか分かってるのか!?一体どうやってここまで来たんだよ!?」


「ここがどこかって!私の部屋に決まってるじゃないですか!ほら!壁紙は真っ白!ふかふかの布団にちょっと散らかった勉強机…」


「はぁ…壁紙?布団?散らかった勉強机?そんなもの一体どこにあるんだい?」


「う、嘘…」


周りを見渡してみる

真っ白だったはずの壁紙は真っ黒なゴツゴツとした岩壁に変わり果てている

ふかふかの布団があったはずの所には座り心地は良さそうな立派なカサのあるきのこが生えているではないか

散らかった勉強机があったとこには何らかの動物が巣を作っていたのだろうか、枝が散らばっている


「わ、私の部屋が…」


「ほら!やっぱり君のいう物なんてないだろう?」


さっきまでいたはずの部屋は暗く不気味な洞窟に変わり果ててしまっている

でもなんで?さっきまで自分の部屋にいたはずなのになぜこんなとこに?


ピチャ


「ん?」


冷たい

お尻が冷たい

下を向いてみる

するとそこには大きな大きな水溜まりが⋯


「つ、冷たい!な、なんでこんなとこに私座ってて…うわ!服が濡れてる!!もぉ最悪ぅ…」


「なんだ、水溜まりに座ってるのに気づかなったのか?俺はてっきり好き好んでそこに座ってるのかと…」


「そんな訳ないじゃないですか!はぁ…」


全くついてない…

訳の分かんないとこに飛ばされるわ

服はびしゃびしゃになるわ

おまけに全く知らない怪しい男に話しかけられるなんて…


「ん?ひょっとして俺の事を怪しいと思ってるな?」


「ッ!!」


「はぁ…まぁこんなとこで見知らぬ男に話しかけられたら、そう思うのも無理はないか」


「まぁ…そうですけど…」


「よし!じゃあ自己紹介といこうか!俺の名前はのら猫!騎士団第3部隊所属で主な任務は本土の守衛ってとこかな」


「あなた騎士さんだったんですね、ちなみに名前は5秒で考えました?」


「な訳ないだろ!ちゃんと熟考した上で付けた名前だ!」


「そ、そうですか…ところで騎士団ってこんなとこにも見回りに来るんですね」


「まぁ第3部隊は見回りメインでの本土の守衛が任務だからな。第4部隊とかになるとお城とその下町を一歩も動かずにじっと守衛しないといけないから、そう考えると第3部隊所属で良かったって思うよ」


「なんていうか…めちゃくちゃ大変なんですね…」


「まぁ騎士団なんてこんなものだよ、ところで君の名前をまだ聞いてなかったな」


「えっと、私の名前は…」


名前…

えっと…


「ん、どうしたんだ黙り込んで?」


おかしい

思い出せない

今まで何も考えずとも言えていたはずの自分の名前が

でも、なんで急に思い出せなくなったんだ?

今日のお昼は確かに自分の名前を書くことが出来た

だけど今は思い出せなくなってしまっている


「おいおい、まさか名前が元々無かったのか?あー…ごめんごめん。そこまで気を使えなくて」


「いや、そういう訳じゃ…」


「そう気にするな、こんな洞窟にまで迷い込んだんだ。何か事情があるんだろ?これ以上は詮索しないでおくよ」


「は、はい…」


「よし!じゃあ俺が代わりの名前をつけてやる!そうだな…うむ、これにしよう!今日から君の名前はレイナだ!!!」


「れ、レイナですか…なんていうかほんと唐突に決めましたね…」


「ははは!!いい名前だと思わないか?まぁ昨日読んだ本から取った名前なんだけどな!」


「いや丸パクリじゃないですか」


「そう気にするな、ちなみにレイナは自分が今どこにいるのかは分かるか?」


「日本じゃないんですか?」


「日本?なんだその国は?」


「え…」


日本を知らない?

いやいや、自分が住んでる国の名前が分からない人なんていないんだろう

しかしのら猫は嘘をついてるように思えない

じゃあ…私が今いる国は本当に日本ではないのだろうか?


「自分が今いる国を知らないのか…ひょっとしてこの子は…」


のら猫はそう言い、少し考え込んでいる


「………」


私の頭に浮かんでいる疑問が幾つかある

自分は今どこにいる?

何故、急に自分の名前が言えなくなった?

名前だけでない、この洞窟で目が覚めるまで自分は何をしていた?

何故、今までのことが思い出せなくなった?

私は今いる国を日本と言ったがそれはどんな国だった?

……何も分からない


「い、一体何がどうなって…」


「レイナ、そう気にする必要はないさ」


自分がどんなとこから来たのか過去の記憶も分からない

不安が私の心の中で一気に増大していく…


「お、おい。大丈夫か?」


「と!とにかく大丈夫ですので!ありがとうございました!!!」


「おい!レイナ!?」


この場にいても立っても居られず、思わず駆け出してしまった

一体何やってるんだ私はと思いつつも恐怖と不安で縛られた身体は言うことを聞いてくれない


そんな時だった


ガラララ…


唐突に私の足元に小さな岩石が転がり落ちて来る


「うわぁ!?」


その岩石に躓き、よくやく足を止めることが出来た


「いたた…」


しかしなんで急に岩石が転がってきたんだ

そう思った直後だった


ドォォン!と突如、轟音が鳴り響く

音の出処は上だ

私は天井を見上げる

すると…


「なっ!?」


私の真上にある洞窟の天井が崩落したのが見て取れた

それは巨大な岩石となって降り注ぐ


「あ…」


死ぬ

潰される

そう思った直後だった


「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!!!!!間に合えぇぇええええええええええええ!!!!!!!!」


後ろを振り返るとのら猫が猛ダッシュで駆け寄ってきてるのが分かった

のら猫は急いで右手を振りかざして呪文らしきものを唱える


「風よ!かつて天へ刃向かった戦士の如く、その力を持って答えよ!」


「風魔の呼応!!」


その瞬間、何処からか風が吹き荒れた

その風は崩落する岩石を吹き飛ばした

吹き飛ばされた岩石はここより先の洞窟の壁へと激突したのか遠くから地響きが鳴る


「ふぅ…何とか間に合ったな」


「い、今のは一体!?」


「あぁ…魔法とやらも初めて見るのか」


「えぇ!そんなものあるんですか!?」


「とにかくだ、今のを見て分かった。やっぱり君をこのまま放っておけない」


「ど、どうしようって言うんですか?」


「とりあえずまずはプロイサン国で保護することにする。まずはプロイサン国の首都、天空都市ベルダンへ君を連れて行くとしよう」


「ほ、保護ですか!?」


「あ、拒否権はなしだからな。さっきみたいに急に逃げ出したりしないように、いいね」


どうやら私は天空都市ベルダンとやらに連行されてしまうらしい

しかも強制で

一体これからどうなるんだ…

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