ある少女のモノローグ
私にとって忘れられない出会いだった。
初めてあなたを遠くから見て、目が離せなくなった。
世間一般ではこれを一目惚れということは知っていて、あなたから目を離せない自分が恥ずかしかった。
一人でも堂々と生きているあなたの在り方にどうしようもなく惹かれてしまった。
黒板を見つめるあなたを綺麗だと思っていた。
私にはどうしようもなく寂しいと感じる生き方をしているあなたは
きっと強い人なのだと、そうも思った。
初めて近くであなたを見て。そんな考えは消え失せた。
隣に座る君の目には誰も映っていなかった。
私は一人で寂しかったけれど、あなたはきっと退屈だったんだろう。
だから私は努力した。せめてあなたの世界に映り込むために。
あなたの前を歩いてやるんだと、意気込んだ。
でもそれは叶わなかった。
生まれて初めて悔しいと思った。
だからあなたに声をかけた、めったにしゃべらない私がだ。
あなたに声をかけた私を、きっとあなたは覚えていないと思うけれど。
『退屈な質問をするな』
あなたはそう言ったのだ。
不躾で、失礼で、優しさの欠片もない言葉だったけれど、始めて会話できた私は嬉しかった。
だからあなたに退屈じゃない言葉をかけるために私はあなたを追いかける。
いつかあなたを追い越して、あなたの手を取り走るのだ。
あなたに出会って色づいた私の世界を
今度はあなたと一緒に見たいと願う
それはきっと欲張りなんかじゃないはずだ