表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

傷心と共に彼女は走り出す

夕日が、二つの長い影を教室の床に描き出していた。一方の影がもう一方の影にゆっくりと近づいていくのを、私はじっと見ていた。暖かな手が私の右頬に触れたのを感じ、なすがままに正面を向き直った。目の前の青い瞳は、潤んでいた。夕日に照らされ、輝いていた。


「トウカ…」


私の名前を甘く囁いた唇は、気がつくと私の唇にあった。暖かな感触が、私の脳を溶かしていく。


「私ね、トウカのことが好きだよ…」


溶けた脳が掻き回されるようだった。考えようとすればするほど、頭の中がぐちゃぐちゃになっていった。自分の気持ちが、友情と恋心の境界線が、どんどん見えなくなっていった。


「分からない…」


だから私はこう呟いた。こう呟くほかなかったのだ。


私はその場から、彼女から、そして自分の気持ちから逃げ出した。ただひたすらに、遠くへ行きたかった。


しかし、どれだけ走ろうが無駄だった。あの時見た彼女の悲しげな表情を、私は振り切ることが出来なかったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ