良い奴は、死んだ奴だけだ
展開が早いな、目立ち過ぎたな。
ハンターギルドの後ろ楯が無い、今の立場で貴族に臣忠せよと迫られたら平民に断る術は無い。我々の力は、この世界では危険すぎる。準備はしておくべきか???
[アルテミス、一個大隊に戦闘準備を整えて待機させてくれ。この領地を占拠するかもしれん。]{了解よ。}[先ずは、此の領都だ、民を傷つけず。衛兵、兵士、騎士を殲滅した上で占拠する、この作戦の立案を頼む。]{解ったわ。}[無事に帰してくれるといいんだけれど。]
馬車は街中を緩やかに走り抜けていき20分ほどすると景色が一変する。騒がしく雑多だった街並みが、閑静な高級住宅街へと変わる、貴族街だな。
隔てているのは、20mほどある水堀と警備する騎士たちだ。木造りの橋の手前で臨検を受け馬車は走り出す、ロイドさん曰く橋が木造りなのは、攻められた時に火を放ち焼き落とす為だそうだ。
貴族街の中は、路地にいたるまで道を石畳で作られていて、ゴミ一つ無く整えられている。
領主館は、まさしく城だな。深く広い水堀に囲まれ、街を囲んでいる石造りの壁よりも高く分厚い城壁に囲まれて跳ね橋と小舟による出入りになる様だ。内部の敷地もかなり広く兵や騎士のための兵舎、馬のための厩舎、他にも籠城する為の資材や食料庫、練兵場など辺境で戦い生き残っていく為の施設は、全て揃っているとロイドさんに教えてもらった。
そして正門に隣接する兵舎棟を抜けると噴水が有り、領主館との間にロータリーを形作っている。ここで身分差が出る、貴族は領主館前まで馬車を乗り入れるが、平民は遥か手前の馬車留めに馬車を留め置き歩いて通用口から入る、決して正面玄関口から入ることはないとロイドさんに教わり我ら5人は通用口から領主館に入る。内部の造りは、正面が官庁関係、右側がプライベートエリア、左側が迎賓館となっているそうだ。内装は、華美にならず落ち着いてシックに整えられていて好感が持てる。我々は正面の領主の執務室に案内される様だ。
領主館では、キャサリンさんは母親のもとへ従者扱いの3人は控えの間へ残りの3人と2人の護衛それと執事が1人、この6人で執務室へ入った。
そこから2時間みっちり尋問された。疲れた!!!。のらりくらりと言葉を濁し回答を避けていたが、そのなかでも、領主が魔法と呟いたものについて詳しく教えろと言われたが、私がやっていることではなく、相棒が、やっていることなのでわからないと、答えるに止めた。
ただ我々には、魔力が無く魔法は扱えないとだけは言った。
何処から来たのか、との問いには、正直に言う訳にもいかず、船のことは知られたく無いし、ええーい、どうにでもなれと思い。
戦場で部隊を率いていた時、光に包まれ気がついたら、この世界に来ていたと答えた。誰が聞いても眉唾噺だと思うが、あるそうだ、この世界には、神々に招かれし者と呼ばれているらしい。確認されている内で最近では150年前、この国の建国王も500年前に、この世界に招かれた人物だそうだ。それを聞いて崩れ落ちそうになった。瓢箪から駒、嘘から誠、ご都合主義、ファンタジー!!!。アルテミスが頭の中で笑い転げていて五月蝿い五月蝿い。ただ領主は、いろいろ不可思議なことはあるが一応は納得したとは言ってくれた。あくまでも一応だけどね。
ただ、こちらも「我々は、原隊を見失い帰れる術を無くしたとしても軍隊なのです、喋れることは限られるのです。そこは、ご承知おき下さい。」と暗に聞くなと言っておいた。
で、聞かれることも、言えることも無くなりさて、お暇をと思った時に「シュルツ君、今夜は泊まっていきなさい、もちろん従者の3人もだ。部屋に案内させるよ。」と執事に命じ、「そうそう君ともども従者3人を今宵のディナーに招待するよ。」と言われる始末。
「有り難うございます、では今宵一晩だけお世話になります、しかしディナーのお誘いは、我ら4名礼儀知らず揃い、御不快に成られるだけだと思いますが???」と問うと「かまわない、不問とする。見惚れるほどの美女揃いなのだ、今宵ぐらい家の若い者たちにも眼の保養をさせてやってくれ。頼むよ、決して粗略には扱わぬから。」と言われ。
「ならば今出来る範囲で精一杯着飾る様申し伝えましょう。」と答えるのが精一杯だった。それからディナーまでの時間確認をして、皆への説明とアルテミスに泣きついて何とか格好だけは、着けることが出来たと思う。
ただ俺の出た後の執務室での2人の話しの内容が気になり、アルテミスに尋ねるとたいした内容では無かった。
俺にたいしての話しとしては、ギルドで言われた「気持ちが悪い」だ、後は大半がムンク何某への文句と愚痴とギルドへの謝罪だったらしい。ムンク家には、事態を説明し盗賊として斬首もありうる。と説明すると言うことらしい。実家の力を背景にずいぶん勝手をしたみたいだからな、自業自得だ。
最後にロイドさんへギルド長への就任要請だ、ムンク家への対応もあって受けるみたいだ。
さて、まだ時間があるのでゆっくりするか。
[ねえアルテミス、どれくらいの貴族が集まっているの???」{少ないわ、4家ね、親戚関係だけ呼んだみたい。良く解ったわね。}[見世物にはいいからね。で、悪巧みもしているのかな???]{本当に、良く解ったわね。}[ロイドさんに注意されていたしね、そう悪巧みしているんだ、準備が無駄にならないと喜んで良いのかどうか·····、いや、残念だよ、良い関係を築けるかもって思ってたんだけど、正しく貴族でしたか。彼女達はどうしてる、貸し出したんだけど、嫌な目に会ってない。]{今の所、若い子たちと仲よくお話しているわ}[そう、ならいいか、所で彼女達さぁ、感情表現豊かになっていない、あれって演技なの???]{········}
[アルテミスまさかプロテクトいじったの、何で言ってくれないの。]{反対すると思って言えなかったわ、ごめんなさい。}[反対しないよ、俺だって哀れに思っていたんだし、いづれは、と思っていたんだしね。で、どの程度弄ったの、まさか解放はしてないよね。!!!]{流石にそこまでチャレンジャーじゃないわよ、普通の人に比べたら少し感情表現が乏しく思うぐらいかしら}[それ充分チャレンジャーだから!!!まずいなー、今回悪意にさらされる可能性が、あるんだけど、それに人殺しに忌避感がでないか心配なんだけど、そのへんはどう]{悪意が一番不味いわ、今回、彼らは貴方が身分上位者の貴族にたいして、無礼を働いた、と言うかどで奴隷堕ちにするそうよ。それは良いんだけど、その一番目の無礼が、爵位も持たない貴方が、一番最後に会場に入って来る、という身分上位者に対する無礼なんだけど、彼女達の目的は、貴方を助け、この地と親をを築く為の足掛かりと成ること、親を築きたい相手は2つ、一つはハンターギルド、一つは地元の権力者、つまり彼女達は今頑張って媚びを売っているの、でも会場入りして貴方だけが居ないことを知る、彼女達だって充分貴族制度に詳しいわ、直ぐに嵌められたと気づく。となると、周りは悪意を向けて来る敵となり警戒する、貴方が悪い様にでも言われれば怒りが加わる。それでなくとも、貴方を一人にしている不安がある。貴方に直接悪意でもぶつけられれば、直ぐに暴発ね。人殺しの方は大丈夫よ保証する。}[解った、暴発程度ならいいよ。どうせ殺すんだし、暴走さえしなければね。それでね、悪巧みを相談している時の音声着きの映像はある???]{有るわよー、なかなかの高音質、高画質よ期待して。}[じゃいろいろお願い聞いてくれるかな、このままだと癪だしね。]{良いわよ、でも遊びが過ぎない???}[今回だけさ、此処は駄目だったけど、国とのつながりが出来るかもしれないしね。目を瞑ってくれ。]{解ったわ、今回だけよ。で、何をすれば良い???}[ド派手な演技をしてくれ、この国の隅々に届く要に、我らの持てる力の一端を見せつけ、あがらう事が虚しく感じられるほどの力の差を見せてやってくれ。丁度良い、ロイド達に見せるつもりだったものを、この国の皆にも見てもらおう。]{賛成よ。では、今の事を踏まえて作戦を立てるわ。少し時間を頂戴。}
30分後{準備完了よ、作戦を説明するわ·······}
さて、最後に軍の礼服を確認して準備完了。
執事が、迎えに来たので案内してもらう。
執事が、扉を開け俺が来た事を告げる。
俺は扉を抜け垣間見ると案の条、俺以外は揃っている様だ、想定の範囲内だなと考えつつ執事の誘導を無視し、堂々とコの字条に成っているテーブルの主人の席に正対出来る位置まで移動し、左から右へと招待客を眺め、その後主人を正面に見据えて右手を胸に当て左手を後ろの腰に当て左足を後ろに少し引き胸を張って腰を15度曲げ口上を述べる。「カリエステル辺境伯閣下、本日は晩餐会にお招きいただき珠玉の栄を得ました事、誠に持って恐悦至極、しかるに皆様をお待たせいたしました事、誠に遺憾の極みでございます。深く深く反省するものであります、またこの事、伏してお許し乞い奉る次第です。」と言いながら腰を45度まで曲げる。この時、主人から声が掛けられれば許される、掛けられなければ許されていない。判断は、大体3秒から長くとも5秒。この時は、3秒過ぎても声が掛からず、キャサリンさんが悲鳴の様な声で父親を呼ぶ、それで初めて許すとの声が掛かった。それで初めて、ゆるりと頭を上げる今度は、キャサリンさんに正対し頭を下げ「御助成痛み入ります」と声を掛ける。この時、3人の仲間も同じ様にキャサリンさんに正対し頭を下げる。
実は、3人は俺の入場の声が掛かると直ぐ起立しお腹の前に軽く手を組み、入場と同時に腰を20度曲げて臣を示し迎えてくれていた、許しを請うていた時も同じ様に45度腰を曲げていた。それと何故かロイドさんとキャサリンさんが、立礼で迎えてくれている。その後、執事に席を引かせ座る。それで2人も座り、座った事を確認した3人も姿勢を直し席に座る。
これで、やっと晩餐会が始まる。
時間を、シュルツが馬車に乗った時ぐらいまで巻き戻す。
場所は、静止衛星軌道上に有る母艦シュターハウゼン艦内。この中に、シュルツが属する銀河連邦他星系方面軍強襲隊第103旅団、忌み名を幻影の殲滅姫の旅団本部が置かれている。
シュターハウゼンは、全長15km船底に全長1kmの強襲揚陸艦3艦、他に貨物揚陸艦を5艦、地上支援戦闘機を10機収納し艦内エネルギーと通常推進エネルギーを得る為に対消滅炉を3基揃え、乗員100名、揚陸戦闘員3300名を抱えながら長期に航り作戦行動を、ストレス無くこなせる様に医療、娯楽など生活環境が整えられて、消耗品である生活、軍用物資を造り整備する工場までをも内包している。
但し原材料から加工出来る訳ではない為、原材料の加工工場として強襲揚陸艦2艦が改造されており、揚陸艦としては、現在使用不能であり、貨物揚陸艦は原材料確保の為、鉱物回収用のロボットを満載に積んで小惑星帯へ出かけている。
{メサイヤ、今良いかしら。}「はい、アルテミス様。」{シュルツから指示が有ったわ、1個大隊に戦闘準備をさせて待機、状況によっては領地を占拠するそうよ、先ずは、領都を民と施設を犠牲にせず、戦闘要員の殲滅、貴族やその家族の拘束と言うところかしら。其の作戦の立案と実行よ}「あらあら、あまり良い印象では無かったようですね。」{そうみたい。今、領主館にギルドのサブマスと事情説明に領主に連行されてるわ。}「了解、今週は、第2大隊が、戦闘待機しています。しかし我らにしては、いささか細かい作戦ですね。クスクス。」{仕方がないわ、この世界で暮らしていくなら今までの様に所構わずに殺戮と破壊だけを振り撒けば良いわけでは無いもの。}「では、大隊長いか中隊長、小隊長を集めてブリーフィング(御茶会)を行いましようか。」{お願いするわ。}
{皆さん、お待たせいたしました。}
「いえいえ、みなで御茶を楽しんでいましたから。お気になさらず。それで、どうなりました。」{端的に言うと、皆さんは奴隷に落とされ、装備品は、奪われるってとこかしら。}「遠慮は要りませんね。」
{ええ、あの子からの指示は、ド派手な演出をしてくれ、この国の隅々に届く様に我らの持てる力の一端を見せつけ、あがらう事の虚しさを感じさせるほどの力の差を見せてやってくれ。丁度良い、ロイド達に見せるつもりだったものをこの国の皆にも見てもらおう。だそうよ、そして対消滅弾とサーモバリック爆弾の使用も許可されたわ。}「「「「「「おおおお)」」」」」」
「大分と派手に出来ますね。」
{ええ、先ず第1目標は、領都の占拠、民を殺さない事、貴族街の殲滅、人も建物も全て殺して、破壊しなさい、そしてザルツ城塞は、消滅していただくわ。兵員と装備品の運搬は私が行います、それと平民街にいる衛兵や騎士、兵士は、纏めて私が亜空間にポイしますから、施設の占拠と残っているネズミの始末をお願いします。第2の目標は、領地の占拠になりますが、1個大隊では、無理があるので後日に廻します。それと1個小隊は、あの子の護衛と領主館の占拠に廻してほしいの、会場の周りに隠し部屋があって、あの子を捕まえる為に、騎士達が待機しているの、騎士達はポイするから、その代わりに、合図があるまでそこに隠れていてほしいの。}「了解です。」{もう一つ、メサイヤ向こいって、あの子に引導を渡してきて。}「嫌ですよ、ご自分でなさればよろしいでしょ。」{時間が無いの、私が言えば屁理屈捏ねて逃げるもの。領都の占拠が済めば、民への説明と、この国を告発する為の演説を王都を始め主要な都市や駐屯地に映像つきで流す、その時一兵士では困るの、王族として相手の国を告発しないと、相手の王族や貴族のプライドを守れないのよ、平民に膝を屈する訳にはいかないでしょう。}「まあ、私達の多くも貴族ですから、納得は出来ませんが理解は出来ます。」{ね、だからお願い!!!}「分かりました、嫌われ役をやりましょう。」{大丈夫よ、諫言する者を嫌ったりするほどは、腐ってないから。}「ヘタレですが。」{本当にね、後はおまかせするわ。晩餐会は2000から始まるわ。}
「了解です。作戦の細部を詰めて装備を整え1930には出撃体制を整えます。」
{期待します。}