聖女-既視感と料理
あれから、わたしは魔王の所へと行くときは必ず小説を持って通っていた。
あの小説は本がそこまで好きではないわたしにも読みやすく面白くて結果、ハマってしまっていた。
と、同時に今まで本はあまり読んだことが無くこの小説も初めてな筈なのに
何故か既視感を感じた。
ストーリーや設定等、何故かどこかで内容を見たり聞いた事がある
そんな気がするのだ。
ひょっとして近所の子達がこの本のことを話しているのを聞いたのだろうか?
首を傾げながらわたしはまたページを捲る
そんな時だった魔王がおかしな事を言ったのは。
魔王は料理が出来るのか問うて来たのだ。
いきなりの話の振られ方に眉を潜めた。
「……料理?」
「出来るけど、何故……?」
「なら、作れ」
……はい?
一体何がなにやらわからないことだらけだ。
捕虜に料理を頼むなんて。
普通はあり得ない、だって食べ物は口に直接運ぶものだ
簡単に薬や毒をいれることが出来る、非力なわたしでも簡単に殺すことが出来るというのに。
薬や毒が無かったとしてもお腹を壊させることは容易いというのに。
てかそもそも魔族が人間の食べる料理を頂くなんてそんなことあるのかしら。
よくわからなかったがわたしは魔王の言われた料理を作ることになってしまった。
わたしはこの状況に
何でこうなったのだろうかと首をかしげる。
「出来たよ」と料理を魔王に運ぶ、もう夕方にさしかかり部屋の中は真っ暗だった為電気をつける。
目の前の机に料理を置いてふと顔を見れば益々顔色が悪くなっているような気がした。
「懐かしいな」
そんな時だったわたしが持ってきた料理を見、魔王は開口そう言った。
「懐かしい?」
と眉を寄せるが魔王はそれをスルーしてシチューを口に運んだ。一口、口にした瞬間魔王は驚いたように目を見開いた。
その様子に、やはり人間の食べ物は口に合わなかったのでは?とわたしは眉を潜めた。
が、何事もなかったかのように魔王はシチューを食べはじめ気がつけば完食していた。
さっきのは味があわなかったのではなかったの? と不思議に思うがまぁいいかっ とわたしは皿を下げようとした刹那
わたしの腕をガッと掴んだ。
そしてそのまま腕を引かれ
気がついたら魔王の胸の中に抱き締められていた。




