聖女-ペンダント
扉を開いた瞬間
「何をそんなに必死で探していた」と何もかも分かったかのように問いかけてきた。
魔王がいたその部屋はわたしが目が覚めたあの部屋だった。
「あなたが本当に人間を襲わないか監視する必要があると思って」
そうわたしは部屋の中に入り魔王の座っているソファーのすぐ横まで移動した。
その様子を魔王は面白そうに笑った。
「なるほどな……では、この部屋で監視すればいいさ」
「っ、ええあなたに言われるまでもなくそうさせて頂くわ」
一瞬その魔王の笑う顔に魅せられてしまった、人間離れしたその顔に。
少し青白い生気を感じられない顔色
何故だろう最初に見たときよりも眼光の鋭さが無くなっているようなそう感じられる。最初に見たときは視線が会うだけで胸が締め付けられ息が出来なくなるくらい殺気を放っていたというのに。
というか……わたしは魔王の眼をジッと見つめる。
こんなに見ても全く殺気を感じられない、それを通り越して生気も感じられなかった。
まるで死ぬ直前の……。
顔色見てもそうだ、もしかして
わたしは生まれながらに治癒の力を持っていた。
幼い時から小さな怪我を治しそれから幾度となく怪我や病気の人々にその力を使ってきた。
もちろん救えなかった命も数えきれないほど。
そんなわたしは死を間近に見ることが多かった。だから死期が近いひとはその容態や顔を見ただけでなんとなくわかってしまうのだ。
今の魔王はそれに近い
でも、魔王は魔族だわたしは魔族を治療したことないしわからない。
元からなのかどうなのか。
と、考えていると魔王はわたしにこう問うてきた。
「貴様は、何故俺を倒そうと思った? 復讐か何かか?」
「違うわ! わたしはこれ以上皆が傷つくところを見たくないからよ、魔族が滅びたら争いは無くなる皆が傷つくことなく平和に暮らせるの、だから」
「争いがなくなる……か。ハッ例え魔族が滅びたとして、今度は人間同士争うことになると思うがな」
人間同士で、同族同士で争いが起きるだなんて……そんなことはない!
わたしはキッと魔王を睨みつけた。
「特に貴様のその力は元凶になりかねない……せいぜい気を付けることだ。」
わたしの力が……元凶?
魔王のその言葉にわたしは眉をひそめた。
確かにわたしの力は稀だ、でも人々を傷つけるためではなくむしろ逆だ。
「人は自分とは違うものには厳しいものだ、それがなんであれ……今は聖女として褒め称えられているかもしれんが何かあったときは一番に攻撃の矛先が貴様に向けられるだろうな」
「そんなことっ」
「これを」
そう言われ何かがこちらに飛んできた。それを反射的にキャッチすればそれはペンダントのようなものだったがだいぶ古いのか金属の部分が錆付いているが石の部分は綺麗にキラキラと煌めいていて何故だか目が離せなかった。
「何、これ」
わたしがそのペンダントを訝しげに見ていると魔王は
「貴様にやる、肌身離さず持っていろ」そう言い放った。
「はい? 魔王にもらったものなんて付けるわけないでしょう?」
そうは言ったもののそのペンダントを返すことはなくそのきらめきからも目を離すことはできなかった。
「そのペンダントは貴様が持っていた方がいい」
「貴様のものだからな」
魔王がそう言った声はわたしの耳には届いていなかった。
サラの生まれた時代は魔族と人間の争う世なので味方同士(人間同士)の戦いだなんてありえないという思考です。




