聖女-捕虜
わたしはあの時3人に自分ごと魔王を殺して とそう願った。
あの3人は優しい、そうでも言わない限りこの絶好のチャンスを無駄にしてしまうとそう思ったからだ。
わたしは死ぬ覚悟も出来ていた、未来の幸せな世界の為に死ぬことに後悔など無かった。
そんなわたしはふと何かの振動に目が覚めた。
死んだはずなのに? と回りを見渡せばそこは廃墟のような雰囲気の暖炉に壊れかけたシャンデリアが宙を舞っていた。
ここってあの世なのかしら? サラは再び視線をやればそこには白銀の髪に黒のマントを羽織った魔王がソファーに座り紅い目でわたしの方をジーッと眺めていたのだ。
「あなた、死んで」
わたしは驚きそう口にしたあの時わたしと魔王はキャロン達の攻撃によって死んだんじゃ……それともやはりここがあの世?
「空間転移して交わした」
考えるわたしに魔王はそう言い放つ。
空間転移……じゃあ、わたしたちは生きて
わたしはキッと魔王を睨んだ。
わたしはこれからどうなるのだろうかと、このまま魔王に囚われて殺されてしまうのか。
そんなわたしに魔王はフッと笑った。
今まで睨んだだり殺気だった視線ばかりだった
そんな魔王の笑みにわたしは一瞬ドキリとしてしまう、今まで全く見てなかったが彼の顔をよく見れば凄く整ったまるで彫刻のような人形のような綺麗な顔をしている。
人間離れしたその美しさに息を飲む。
この魔王が人間ならばきっと世間の女性を虜にしていたに違いなかった。
「貴様は少しの間ここで捕虜となれ、逃げることは許さない。もし逃げようとしたならば……そうだな、ここから一番近い国を焼き野原にしてしまおうか」ククッと笑いながらそう言い放った。
「捕虜……?」
「あぁ……そうだ、逆にいれば貴様が逃げずここにいれば誰も殺さないと約束しよう」
それって?
わたしは思わず目を見開いた。
「わたしがここにいればあなたは人間を殺さないとそう約束するってこと?」
あの魔王が人を殺さないと約束だなんてわたしはそう半信半疑で訪ねる。
「あぁ、約束しよう俺は人間のように約束は破らない、貴様が逃げずここにいれば人を殺さないと約束しよう」
一体何をたくらんでいるのか……。
未だに魔王を信じたわけではなかった、でも逃げ出せば近隣の国が燃えてしまうかもしれない
それを避けるためにもわたしは首を縦に振った。
「あなたを信じたわけではないけど……わかったわ、ここにいると約束します」
「聞き分けのいい娘で助かるな、じゃあそういうことでこの建物から先に出ればそれは逃げたと判断するから注意しろ、あぁ食料のことは心配するな暫く過ごせるくらいは用意してあるからな」
こうして聖女と呼ばれた治癒魔法使いの彼女と魔王との奇妙な同居が始まってしまった。




