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Limonium-永久の記憶-  作者: 天音
16/17

魔王-最後の思い

料理が食べたい

その思いは、無意識に読書をしていた彼女に願っていた。


彼女は俺のことを一体何を考えているのだろうと訝しげに見ていた、

俺も一体何を考えているのだろうと自分で自分のことを不思議と思った。

が、もう思考が停止してしまっている


ボーッとする頭と歪む視界で

料理を食べるまで、彼女を元の居場所に無事戻すまで持つのだろうかと考えていた。



瞼を閉じたらもう俺は……


必死に瞼を閉じまいとする彼女の料理ができるまでその僅か数十分が途方の無い時間に思えた。


そんな時彼女が再び現れた。

片手に皿をもって


「出来たよ」

と彼女は近くのテーブルに皿を置いた、俺は歪む視界で震える手を必死に隠しシチューを口づけた。


その瞬間

俺は目を見開く


この味……あの時、最初に彼女の料理を食べたあのシチューだったからだ。


いや、ホントは味なんか感じてないのかもしれない

そのシチューがあの時食べたものに思えているだけなのかもしれない。

でも俺はそのシチューをあの頃に戻ったように感じながら食べた。



気が付いたら皿の中は空になっていて

俺は終わりの時を感じた。


願わくば俺と過ごすうちに前世の記憶を取り戻して欲しかった……

だが、もう一度、記憶は無いにしろ彼女と過ごすことが出来たことに感謝しよう。

だが、最期にと



皿を片付けようと近寄る彼女の手を引きそのまま抱きしめた。


その誰かを抱きしめる懐かしい感触に俺はそっと目を閉じた。



「なっ、なな何して!」

そう慌てる彼女、そりゃあ敵である俺にこんなことをされればそうなるだろう。

それを感じながらも俺はギュッと抱きしめ動かなかった、否もう動く気力さえ失われていた。


暫く大人しかった彼女がいきなり肩を押した。

運の悪いことに弓矢が貫通したその肩に、鉛のように動かないとはいえその傷の中心部を直接押されれば痛みが伴う

歯を食いしばったが呻き声が出てしまい深く負傷していることに感づかれてしまった。


全身の疲労感と肩の痛みに意識が完全に飛びそうになる。

まだだ……俺、は……


そんな時だ驚きの行動に彼女は出た


彼女は俺に向かって治癒魔法を使ってきたのだ。

「何を、してい……る」

予想外の行動に瞠目する

飛んでいきそうになった意識が再び戻ってくるのを感じた。


「見たらわからない?あなたの怪我を治そうとしているの」



そう言う彼女に疑問が上がる


「何故?」

彼女にとっては俺は憎き敵だ、その俺を何故助ける

お前は俺を倒そうとしていたのではないか


と彼女を見れば何故か彼女も困惑した表情をしていた。

自分でもなんで助けようとしているかわからないと言っているようだ


そんな彼女を見

あぁ、と理解した。


魂は記憶しているということか



「だが、それは必要な、い……無駄な力は使うな」

と、俺は彼女の手を振り払う。


「魔族には効かないて意味かしら?」

そう問う彼女に俺は自嘲気味に笑い


「いや、それ以前に魔力を使い果たした俺はもう生きていけぬだけだ……この傷がなくとも力尽きるのみ、だ。良かったな貴様ら人間の望みがっ叶っ……て」

という。


そう言えば彼女は辛そうな表情を見せた。

そんな彼女を見俺は心が満たされるようなそんな気になった


記憶を失っても敵同時になっても

  彼女は彼女なのだと。



「最期に貴様と過ごせてもう……悔いはない、貴様を元の居場所へ帰そう」そう残り少ない生命力を彼女に注ぎ空間転移の魔法を発動した。





「本当はね、みんなの怪我や病気を治せられるお医者さんになりたいの、でもわたしったらハーフだし治癒の力を持っていても人間の前でこの力を使えないから助けられるのに助けることもできない……それがもどかしいの……」



そう言っていた彼女の願いは人間に生まれ変わったことによって叶うことが出来た


どうか今度こそ

彼女が幸せになりますように。


そして、人間の宿敵である俺が、魔族が死ぬことによって争いの無い平和な世の中にどうかなりますように


きっと、彼女から貰ったお守りのペンダントは今度こそ彼女を守ってくれるだろう



「さよならだ」そう笑いながら彼女を見送り俺は意識を手放した。




明日か明後日完結予定です!

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