聖女-魂の記憶
「なっ、なな何して!」
わたしは慌てて魔王から離れようとするが相手は魔王その腕を簡単に掻い潜ることは出来なかった。
どういうつもり?
とわたしは首と肩に顔を寄せる魔王を見やる。
と、冷静になればあることに気が付く
静まる部屋から苦しげな息遣いが微かに聞こえた、それも近くから。
眉を潜めわたしは今度は魔王の胸ではなく肩を押そうとしたその瞬間
その苦しげな息遣いから
「くっ、ぅあ……」
声が出る。
「ど、どうして」
まさかわたしの料理でやってしまった感じ?
と戸惑うがわたしは先ほど押した肩を見て原因が分かった。
その赤黒く変色したマントと自らの手を見たら。
「もしかして、あの時の……?」
確かユーランの弓矢が肩に当たっていた。
だからか、とわたしは納得した。
予想以上に効果あるみたい
そう喜ぶ心と……
何故か、敵はあの魔王なのに放っておけないと思ってしまう自分がいた。
心がざわついているのだ、何故か。
このまま放っておけば魔王は
だけど
わたしは……
聖女の性なのかわたしはあの魔王を助けようとしている。
自分でも何故こんなことをしているかわからない
でも、あれだけ憎んでいた魔王なのに。
そんなわたしを止めたのは魔王自身だった。
「何を、してい……る」
苦しげにそう言う魔王、やはり顔色が悪いのは気のせいじゃなかったんだなと我ながら思いながら
「見たらわからない? あなたの怪我を治そうとしているの」と言う。
「何故?」
そんなのわたしが一番わからないんだから!
が、そんな困惑したわたしの顔を見て切なげに笑った。
「魂は記憶しているということか」
「魂?」
なにやらよくわからないことをいい放った魔王に
わたしはもしかして聖女だから生きとし生けるもの全てを治癒するように魂に刻まれているのかなと考えた。
「だが、それは必要な、い……無駄な力は使うな」
とわたしの手を払い掴んだ。
「魔族には効かないて意味かしら?」そう問うわたしに魔王は自嘲気味に笑った
「いや、それ以前に魔力を使い果たした俺はもう生きていけぬだけだ……この傷がなくとも力尽きるのみ、だ。良かったな貴様ら人間の望みがっ叶っ……て」
そういい放つ魔王にわたしは何故か胸がいたくなった。
何故?
嬉しい筈なのに、わたしがあのとき願った事なのに。
てか
「魔力を使い果たしたら死んでしまうの?」
「あぁ……あの時、貴様と空間転位した時にっ、な……どちらにしても俺の命運は尽きていたのだよ、貴様に国を焼いてしまうかと脅したがあれはハッタリだったわけだ」フッと魔王はそう笑い
「最期に貴様と過ごせてもう……悔いはない、貴様を元の居場所へ帰そう」
と笑ったと同時にわたしの体が光輝いた。
一体何がなにやらわからないまま
わたしは混乱していると意識が薄れていくのを感じた。
そして
「さよならだ」
目を閉じる前、そう言い魔王が笑ったのを光の中見た気が……した。
聖女編終了しました、彼女は訳が分からないまま帰還し、死ぬまで真実を知ることはありませんでした。




