今後
両親と絵音の両親が引っ越して翌日の朝、俺はまず絵音と今後についてどうするか話そうと、朝食を作りって2階に行き絵音の部屋をノックした。
「おーい、絵音さーん、いらっしゃいますかーご飯ですよー」と
…………返事がない死んでいるようだ。
というわけにはいかず、強めにドアを叩いた。するとドアが開き、目を擦りながらTシャツ一枚だけの絵音が出てきた。
俺は絵音の姿にドキッとしていると、絵音が口を開いた。
「なにー?まだ朝10時だよー」
「いや、もう朝10時だよ。お互い両親引っ越したからお互いどうするか考えていかないと」とまだウトウトしてる絵音に言うと
「まだ4時間しか寝てないからまだ寝るー。話は起きてからー」
「4時間? てことは、朝6時に寝たのか。早く寝ないとダメじゃないか、そんな時間までなにしてるんだ?」と聞くと
「んー、絵描いてたー。ネット見てたら興味出たから。とりあえず、寝る。おやすみ。」とだけ言ってドアを閉められた。
「はぁー、起きたら教えてくれ、ご飯はラップして置いとくからな。」とだけ言って1階におり、1人寂しく朝食を食べた。
絵音が起きるまでの間、俺は1人で考えた、このお金を好きに使っていいのか、学校は? 就職は? 色々考えた結果、学校はもう辞めるという結論、元から休学中だったしな。就職もしないが、バイトはしようと思った、なぜかというと、できるだけ宝くじ当選のことは有人とかに言いたくなく、会ったときどうやって生活してるのかと聞かれたら、フリーターと言ったほうが丸く収まると思ったからだ。
バイトの求人などをスマホで見ていると、絵音が2階から降りて来た。時間はもう午後3時だ、あまりにも遅い。まぁ、あまりうるさくは言わないが……
「おはよう、ご飯机においてあるぞ。」
「んーありがとう」というと、椅子に座ってゆっくり食べ始めた。
俺も向かい側の椅子に座って、今後について話し始めた。
「俺は今週中にはバイトを始めようと思うのだが、絵音はどうするんだ?学校にも行かないんだろ?」
そう聞くと、絵音から信じられない言葉が出てきた。
「私は仕事する。」と
俺は「は?」となった。そりゃあそうだ、中学校もまともに行ってないのにいきなり就職宣言だ。なにを言っているだとなる。
「仕事ってなにするんだよ。言っとくけど中卒なんて今じゃほとんど雇ってくれないぞ。」
「知ってる。そうじゃなくて、小説とか絵とかそういうのを仕事にしたいの。」
なるほど、確かにそれなら学歴とか関係ないし、今の絵音に向いてるかもな。
「そういうことか、実際になにをしたいとかあるのか?」
「全くなにも。ただ外で人と交流しながらの仕事とかしたくない。」
一瞬でも感動した俺がバカだ。これはただのダメな人だ。
ーーーーーー
一週間後……
とりあえず、俺は近くコンビニでバイトを始めた。
働いてるのを装う為なので週3日の4時間だけだ。下手したら学生より少ないかもしれないが、せっかくお金があるのだから、自由は欲しい、だからといって、働かずだらだらしてるのもあまり良くないのでこれくらいで丁度いいのだ。
1時から5時までのバイトが終わって家に着くと、絵音がリビングでクッキーを焼いていた。
「ただいま、良い匂いだな。」
「おかえりなさい、今焼けたところなの。食べる?」
「バイト終わりで疲れてるところだからな丁度甘いものが欲しかったんだ、頂くよ。」
そういうと、絵音は小皿にクッキーを盛り、コーヒーを淹れてくれた。
「ありがとう、いただきます。」と言い一つ食べたら、俺好みの甘さ控えでサクサククッキーだった。
「すごく美味しい!これなら毎日食べれるよ!」と褒めると、絵音は恥ずかしそうに、
「ふ、ふーん、口に合ってよかった。毎日は面倒だけど、たまになら作ってあげる。」と言って下を向いて自分も食べていた。
「こんなに美味しいクッキー作れるなら、もっと早く食べたかったよ。」と俺が言うと
「今日初めて作ったから……次も同じようにできるかわからない。」
嬉しい半面申し訳なさそうな顔で言ってきた。
「初めて作ったのか、それでこのクオリティーは素晴らしいな。初めてでこれなら次も大丈夫さ、また頼むよ。」
絵音は「うん」と嬉しそうに微笑んだ。