デウスエクスマキナ、猛る。
「うわあああああああああ!!」
錫は痛みも死も無いものの、自らの人格となってからはやはり脅威に対しての
恐怖が湧き上がる。それを体現するかの様な彼の叫びがこだまする。
しかし、一向に残骸が降って来ない。不思議に思い錫が上空を見ると、
そこには巨大なロボットがその翼で人々を守っていた。
「な、なんだアイツ・・・出る作品を間違えていないか?」
錫が呟くと、それに答える様にロボットから声が聞こえる。
「僕は天津 朱鷺人、話をすると長いが、
いわゆるこの世界の神です!!」
その突拍子も無い言葉に錫、ましてや他の人々も亜然とする。
「まずはそのアリスの体内にいる彼女らを救いたい。手伝ってくれますか、
羅刹の皆さん!」
朱鷺人の問いに錫、そして集結したセフィロトメンバーが頷く。
「あの中には雨音さんらがいます。現在諸事情でナルラトテプはいませんが、
あの巨大ロボットと共闘しましょう!」
鈴の言葉に全員が頷き、巨大アリスへ走る。
「ところで神様とやら。何故そのロボットに乗っているんですかい?
”神様”ならそんなの使わなくったって・・・」
一旦立ち止り、四楼が問う。
「それはですね、僕の力自体、神力で人を救ったり戒めたりするものではありませんでした。
ですが、先程遥君がこの僕の力・・・機械仕掛けの神を
呼び覚ましたのです」
「デウスエクスマキナ・・・物語を収める終焉の神。まさかクリエイトはこの様な
ものまで繰り出せるとは・・・・・・」
錫がその全長20m大のロボットを見て感嘆の声を上げる。
「兎に角、行きましょう皆さん。あなた達羅刹と因果律の力さえあれば勝てますとも」
朱鷺人はそう言うが、実際ここに頼りになる因果律を持っている者はいない。
しかし、朱鷺人はくじけない。
「アリスは因果律を吸収した状態で倒されればあの姿、全てを壊す真の力を
顕現させます。ですが、それによってアリスは因果律の力を失う。
よって、あいつさえ倒せば事態は解決します」
それに対して錫がならば、と続ける。
「僕をアリスの中に突っ込んでくれ。僕の因果律も色々と強化されてるのを
鈴の因果律で知ってね、対象に手をかざすのみで因果律を付与出来る様になった。
しかもその因果律は対象の思うままだ」
「分かりました。どの様にすればいいでしょうか?」
朱鷺人が問うと、錫がデウスエクスマキナを見上げ、笑う。
「アリスの口にブチ込め!!」
錫が叫ぶとその場の全員がは?と口にする。
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一方雨音達は巨大化したアリスの体内の展望台に相当する空洞にいた。
「これこそが彼女が言っていた真の姿と言った所かしら?兎角、私達は今
A.C.Lも使用不可。外にいるであろうみんなに任せるしか無いわね」
雨音が溜め息を吐きつつ言う。
すると、外から轟音が聞こえて来た。
「一体外では何が起こっているの!?」
朝江が冷や汗を掻きながら言った。
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そして外部。自らにあだなす朱鷺人らを阻止するためその数十mはあるだろう
巨腕を振るう。それによって周りの建物はおろか、周囲の全てが風圧で吹き飛ぶ。
しかし、デウスエクスマキナはその翼を羽ばたかせ微動だにしない。
「とか言ってるけど鈴とか四楼とか吹き飛んでんのー!!」
デウスエクスマキナの手の平に乗っかっている錫が叫ぶ。
そしてリヴァースで生み出した傀儡でクッションを作り彼らを守る。
「我が責務は絶対。世界の破壊。根絶。消去」
既に自我が捨て切ったアリスが呟く。と言ってもその声は街全体に響く程だ。
「---消去!!」
アリスが口を大きく開く。それを見極め錫が叫んだ。
「今だ!投げろデウスエクスマキナ!!」
それを聞くと朱鷺人はデウスエクスマキナの腕から巨大なシャフトを射出し、
アリスの口部に突き刺す。それによって開口したまま固定された口から錫が侵入する。
「開いた口が塞がらないなぁ!アリスよぉ!今までの仮は利子込みの手数料込みで
返済してやる!!」
錫がアリスの頬裏を蹴りながら表明し、そこから体内へ飛び降りる。
そして雨音らのいる空洞へ向かう。
そこにいた雨音達は空洞にリヴァースの傀儡が大量に生産された事で錫の
到着を察しその場から距離を置く。
すると、それらの傀儡の真ん中に錫が飛び降りて来た。
「ふぅ・・・済まないみんな。遅れたな」
錫が傀儡を消滅させ、外の状況を手短に伝えると、雨音らに自分の新たな因果律の
概要を教える。
「僕の新たな因果律を使って君達を羅刹に覚醒させられる。それで
ここを内部から攻撃して欲しい。恐らく外部からの攻撃は屁でも無い様だ」
錫が上を見ると、アリスが先程のダメージを修復している様子が伺える。
「・・・分かったわ。貴方の言っている事が本当であるが為にここへ
辿り着いたのでしょう。それなら私は貴方を、信じてみるわ。汚名返上は
その力で見せて頂戴」
雨音が錫に言うと、錫はありがとう、とだけ言い、雨音に手をかざす。
「これが、僕の因果律・・・”リブースト”!!」
錫が叫ぶと、雨音の体にナノクオーツが流れていく。
「・・・・・・これが、貴方の因果律!・・・取り戻したわ。私の因果律。
そして、この再起で私は新たな因果律に目覚めたわ」
雨音が今まで落としていた腰を上げ、錫に微笑む。
「ありがとう、錫。私の望みが一つ叶ったわ。少し早いけれど、良い誕生日
プレゼントね」




