降臨せし者
その少女の姿にそこに居合わせた全員が驚愕する。
頂上が破壊された京都タワーの上部から下降してくるアリスの姿に場の一同は
暫く硬直する。
それは正しくーーー”神の降臨”、その様であった。
「・・・・・・貴方が全ての元凶、アリスね!」
最初に口を開いたのは雨音だった。雨音が指差す方向にいる彼女は
念力の様なもので周りの瓦礫をどかし、展望台に着地する。
「無駄な足掻きはしない方が良いわよ。どうせ死んじゃうから」
拙い口調でアリスは言った。
そして、この状況に立たされた雨音、響、朝江は重要な事実に今更ながら気が付いた。
(因果律がないじゃん・・・!)
(A.C.Lがないじゃん・・・!)
焦る三人をアリスはふふ、と嘲笑する。
「つくづく運が無いのね。だったら・・・ここで死んじゃいなよ」
アリスは彼女らに右手をかざし、念を入れる。
すると、周囲の瓦礫が彼女ら目掛け勢い良く放たれる。
しかし、その瓦礫は三人に衝突する事無く落下する。
それは晴斗による物だった。彼はアリスに向かって不敵な笑いを浮かべる。
「甘いんだよバグ風情が。親父はそこの三人を連れてA.C.Lを装着させろ!」
遥は軽く頷くと、彼女らと共に篠崎重工へと瞬間移動させる。
「させないわ」
アリスが彼らと共に篠崎重工の位置する御徒町まで移動しようとするが、再び
晴斗のクリエイトで阻まれる。アリスはそこに残る晴斗、錫に苦悶の表情を見せる。
その姿を見て晴斗は一言彼女に問う。
「お前さぁ、本当にラスボスなのかよ?」
--------------------------------------------------------------
「ここが・・・篠崎重工で合ってるんだよな?」
篠崎重工の人工因果律研究室に到着した遥達が周りを見回す。朝江は大分見知った場所である為、
スペアの002を探す。そんな彼らの前に篠崎社長が現れた。
遥の存在に疑念を抱くが、遥は取り敢えずの自己紹介を済ませる。
それと、と社長が続け、雨音、響の方を見る。
「おお、招君、戻っていたのか。それに・・・佐伯雨音君に長谷川響君・・・。
まさか、何か緊急事態か!?」
現在の京都の様相を把握していない社長が朝江に問う。
「ええ。京都にて件の元凶である敵、アリスが現れました。
私のA.C.Lも先程故障してしまい、この二人と共に再度装着しに戻って来た次第です」
朝江の回答に社長は頷き、彼女らを”ある所”へ案内する。
「ここは?」
響の問いに社長が厳重なロックを解錠しながら説明する。
「篠崎重工の研究員らが寝る間も惜しんで創り上げた最高のA.C.L、
type-nシリーズだ!」
そこに並んでいたのは三機のA.C.L。
その形状から察するに、001、002・・・、そして、”新型”。
「この新しい奴は何ですか?」
朝江が問うと社長が彼女の肩にポンと手を置き、はにかむ。
「君の為の新しい人工因果律。そう・・・君だけのね」
人工因果律、type-n003α、β、γ、δ。総称「ケルベロス」。
αユニット「ソードヴォルグ」を母機とし、付随する単独稼働ドローンユニット、
β「セイバードッグ」、γ「カリバードーベン」、δ「ブレイドウルフ」を操作し、
オールレンジ攻撃を仕掛ける物となっている。
これまでの朝江のデータから解析された戦闘アルゴリズムから導き出された
最も最適なシステムをベースとして生み出された全く新しい人工因果律・・・。
モデルの存在しない、完全なオリジナル。
朝江はその力を駆り、最終決戦へ挑む。




