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因果律のレイン  作者: テンペスティア
A.C.L (因果律の復讐)
67/76

悪逆、反逆

 「さて、着くぞ晴斗」


 遥が光の差す方向を指差す。


 「どっかで見た情景だな。まぁ無事に辿り・・・着いたか」


 虚空から神下町へと彼らが抜け出した。


 「平行世界線移動は割と面倒だからな。奴らも手間取っているか」


 遥が辺りを見回しながら言う。すると、朝江が鬼門山の方向へ向かっていくのを

 見つけた。


 「彼女が招朝江氏かい。行くぞ晴斗!」


 晴斗は少し頷き、走り出した。


 「招が来る前にカタを付けたいが・・・あの野郎、山本錫をどうやって倒すんだ?」


 晴斗が遥に聞くと、遥は不敵な笑いを見せる。


 「ふっふっふ。まずその”倒す””殺す”の概念から外れた方が良いぜ」


 彼の発言に晴斗がはぁ?と言わんばかりの顔を見せる。

 すると、遥は彼に耳打ちをし、作戦の要項を伝えると、晴斗は怪訝ではあったが、

 承諾をした。



 兎も角、彼らは各々のクリエイトを使い、瞬く間に鬼門山の祠へ移動する。

 そこでは、朝江の到着を今か今かと心待ちにしている山本錫の姿が見受けられた。

 二人はその姿を目撃すると、少し前に相談していた作戦を開始する。

 ・・・と言ってもこちらが扱いに困る程の能力を持ち合わせた二人にとっては

 いとも容易い作業であった。”想像するだけ”なのだから。


 「・・・あの男は操られているだけだ」


 先程、遥が晴斗に耳打ちした時の事だった。以前遥が実質未来の山本錫に邂逅した時、

 密に彼に対しクリエイトを使用していた。その時、遥が想像したのは、

 ”彼の意識の存在”・・・・・・。

 つまり、彼は自らの意思で今までの行動を起こして来たのか、それとも、アリスによる

 洗脳を受けて行動していたのか。それを調べる事をした。

 その結果、山本錫は”洗脳を受けていた”と言う結論に至った。


 「・・・つまりだ晴斗、山本錫に洗脳解除のクリエイトをかませば殺す事無く、

  ”攻略”が出来る!」


 これこそが遥の作戦、「洗脳されているならばその洗脳を解けばアリスに敵対しつつ、

 こちらに協力してくれるだろう」作戦。


 しかしこの考えにもデメリットがある。それは山本錫が味方となってくれるかだ。

 下手をしたらば、彼は洗脳を解除しても人類への憎しみは相も変わらず、敵となるかも

 知れない。しかし、遥は敢えてそれを口にしなかった。何故なら、

 こう言う時は大抵味方になってくれるから。



 「クリエイト!!」


 遥、晴斗が同時に叫ぶ。

 刹那、その力を受けた山本錫は頭を抱え悶える。それは、誰が見ても分かる通り、

 洗脳が解除されていく様だった。


 「成功か?」


 晴斗がそう言うが、油断は出来ない。山本錫の動きは完全に制止し、地面にうずくまった

 状態でいる。

 その状態は十数秒程経過すると治まり、彼はおもむろに立ち上がった。

 彼の動きに警戒し、二人は臨戦態勢を整える。


 しかし、二人の警戒は無用の長物であった。それは言わずもがな彼に敵意が無かったからだ。


 「あ・・・、あぁ」


 山本錫は辺りを見回して、(うめ)きながら突如大粒の涙を流し始めた。

 その異様な姿に荻父子は困惑する。


 「これは一体!?」


 晴斗が汗を垂らしながら山本錫を注視する。そうしていると、山本錫は晴斗に視線を向け、

 近づいてきた。


 「済まない・・・済まない・・・晴斗君・・・・・・」


 何と彼の口から発せられたのは懺悔の言葉だった。その言葉に晴斗は困惑するが、

 遥は一つの結論へ辿り着いた。


 「なぁ山本錫・・・。お前は”自分が憎い”か?」


 遥の唐突な疑問に実子である晴斗さえ意味が理解できなかったが、その問いに

 山本錫は即答した。


 「ああ憎い!僕がやってきた諸行はとても非道な事だ!自分でも数えきれない程に

  人を殺した、自分が憎い!アリスが憎い!僕を、好きなだけ殺してくれぇぇぇぇぇ!!」


 彼は自分を卑下しながら、自分を殺害する事を瓢願する。

 そして、そう叫ぶ彼の心は完全に崩壊していた。目を離すと、山本錫自身の

 所持していたアサルトナイフで自らの心臓を刺し貫き続けていた。


 「やめろ山本錫!お前は自分を憎むべきじゃない!アリスを倒そう!

  その為に俺達はお前を助けた!」

 

 遥が彼に説得をすると、彼は息を荒げながらも、行動が治まる。


 「俺達がアリスに勝つ・・・つまりこの世界を救うにはお前の力が必要なんだ」


 晴斗がそう言うと、山本錫は過去の行動を省みる。


 「僕がアリスの傀儡とされていた時にも僕はそこにいた・・・全て見て、

  全て感じていた。君の血の匂い、生温かい滴り、そして断末魔。

  全部感じていた・・・うぅ」


 彼が言い並べると、顔を青く染める。


 「そんな僕でも・・・君を殺した人間を使ってくれるのかい?」


 山本錫が再び涙を流す。その姿に晴斗は答える。


 「お前が殺したんじゃない。アリスが殺したんだ。俺は親父と違って人の心に

  寄り添うとかそう言うのは好きじゃ無いんだが、今一度聞く。アリスが憎いか?」


 「・・・・・・憎いっ!!」


 山本錫のその言葉を聞いた晴斗は彼に手を差し伸べる。


 「そうか。お前がその気ならあのアリスとか言うクソガキを倒せるさ。

  行こうぜ錫」


 晴斗の言葉に錫は感謝を述べる。


 「ありがとう・・・、晴斗。この戦いが終わったら僕をどうしてくれても構わない。

  だから、一緒に戦おう」


 勿論。荻父子の両者からその言葉が出る。

 三人が打倒アリスの為に乗り出そうとした時だった。


 「死ねぇぇぇぇ山本錫ぅぅぅぅぅぅ!!」


 彼らの背後から一人の少女(朝江)が飛び出して来た。

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