アーティフィシャル
時を遡り数時間前、
雨音の誕生日を祝し、チューリヒから帰って来た鬼原、朝江を連れ、
神下町まで向かっていた。
何故神下町なのかと言うと、雨音の父、四楼がその土地に単身赴任しているからである。
四楼はあの決戦の後、篠崎重工の幹部としてナノクオーツの研究をする傍ら、
名無家に仕えるセフィロトの一員、ダゴンとしてこの町に巣食う怪と戦っている。
彼とて暫く愛娘と会えず、しかも彼女は因果律を失った影響で
その”意識”にも被害が及んでいる。四楼としては今の仕事を投げ出してでも
娘に会いたかったと豪語したが、相談の末、娘は響に任せて自分は仕事、任務に
専念する事を約束した。
そんな父に久々に会いに、雨音は京都へ向かう。
今回は東海道新幹線を使用しての旅行となる。
「楽しみだなぁ、パパに会うの!」
「それと、響ちゃん。誕生日プレゼントのリボン楽しみにしてるからね!」
雨音が興奮しながら響に言う。それに対して響は笑顔で答える。
「ええ。京都の侘び寂びをふんだんにあしらった織物のリボンを贈りましょう!」
その言葉に雨音は感嘆の声を上げる。
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一行が京都駅に到着すると、市営バスに乗り換え、亀岡市まで移動する。
亀岡行き04番バスの停留所、神下町にて下車。
そこから少し歩き、篠崎重工の研究室を目指す。
京都の風景を阻害せずにひっそりと佇むその施設に入ると、すぐさま四楼が駆け付け、
出迎える。
「おお、待ってたぞみんな!」
四楼は一先ず今日の仕事を終え、彼女らの訪問を待っていた所だった。
その様子を見た所長は四楼の気持ちを汲み取り、彼に帰宅許可を指示した。
四楼は所長に一礼し、その場を後にする。
「じゃあ自由時間にしましょうか」
雨音の母親が皆に提案する。満場一致でその場で解散。六時に予約してある
旅館に宿泊する予定になっている。一泊二日の京都旅行が始まった。
「朝江さん、それじゃあ私達もお買いものに・・・」
響が朝江に語りかけるも、彼女は鬼門山の方向を凝視していた。
もう一度彼女に声を掛けると、はっとして聞き直す。
「すみません。今ちょっとぼーっとしていました。もう一度言って下さい」
「私達も鬼原さんと一緒にお買い物にでも行こうかな、と思ったんですが
どうですか?」
響の誘いを聞いて朝江は少し迷った後、言葉を運んだ。
「お気持ちありがとうございます。でも私にはちょっと用事が出来ました。
先にお買いものをしていて下さい」
そう言うと朝江は鬼門山の方へと駆け出して行った。
彼女が見たのは・・・山本錫だった。
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「今のは、ヴィジョン?」
晴斗が自らの意識に戻り、何らかの力で過去を見せられていると気付いた。
「そう。そして彼女は僕におびき寄せられ、まんまと因果律の雨の
トリガーとなった」
山本錫がはにかみながら言った。それに対して同じく意識が戻った遥が
さらに彼に問う。
「なるほど、彼女が持っていたいわゆる人工因果律が雨音ちゃんの
レインの代替となってしまった、と言うのか?」
「ああそうさ。この国も阿呆だねぇ、僕を復活させるしトリガーを
新造してくれるし。最早僕の最大の協力者かもね?
いや、ただの利用されるだけに過ぎないかっ!あはははは」
「それでだ。招はどうした?」
彼の笑いに苛立ちが隠せなくなってきた晴斗が彼に聞く。
それに対し彼は言い放つ。
「死んだよ」




