《side晴斗》神の御所
「ふーん、スイスで臨時航空機が離陸、ですかぁ・・・」
佐伯邸にてパソコンを使用して今日のニュースを響が見て、
不意に呟いた。
そこに居合わせた雨音が興味を示し、彼女に駆け寄る。
「どしたのどしたの!?」
「いや、鬼原さんがスイスに調べ物をしに行ったと聞いて少し
気になっちゃいましてね」
雨音がほぉ、と感嘆の声を漏らす。
「皆さん、無事でいれば良いんですけれど・・・・・・」
------------------------------------------------------------------
一方、そのスイス発の臨時航空機にて、朝江らが帰路に立っていた。
「もうすぐ帰れるね。二人共お疲れ様」
鬼原が朝江、ヘルマンに声を掛ける。
「いえ、僕は何もしていないし・・・そろそろ睡眠を取った方が
良いですよ」
ヘルマンが自負しつつも、自分より疲労が蓄積しているであろう
彼女らを労う。なお、彼自身は機内食にありついている。
しかし、朝江は一つ納得の行っていない事があった。
「荻晴斗さんはどうしたんですか?」
「ああ、彼は調べたい事がある様で、それっきり会えていないんだ」
鬼原が上空を見て、呟いた。
「何しているんだろうねぇ・・・」
----------------------------------------------
話は数日前に遡る。晴斗は鬼原達と別れて、とある所に
向かおうとしていた。
「場所についての想像は少し自信が無いが・・・クリエイト」
彼がそう言うと、その体が瞬時にこの”世界から消え”、
ある場所へ向かっていた。
それは・・・死後の世界。
晴斗は、いや・・・晴斗の父親は知っている。この場所を。
「また死者が出ましたか~。って・・・遥さん!?」
「違う。俺は晴斗、荻晴斗。荻遥の息子だ」
晴斗が眼鏡を掛け直す。
その姿を見せ、そこにいた美しい容姿の神であろう者が少し
安心した素振りを見せた。
「てっきりまた死んでしまったのかと思いました。それで、
何のご用件ですか?その様子だと死んだ、と言う風には見受けられませんが」
「あんたが神様なら一つ注文がある。”大天上神”を呼んでくれ」
晴斗が神、と思わしき彼女に指示をする。彼は無理だと見越して
言ったつもりだったが、彼女は快く承諾した。
「良いでしょう。ですが、今の様な話し方をしてはいけませんよ。
全く・・・遥さんのご子息だからと言って好き放題言って・・・」
ぶつぶつ言いながらその神様は札に筆を走らせ、それを天へ流した。
「俺があいつの息子だって分かるんだな」
「貴方は神と言う存在を軽視し過ぎです。その位、すぐに見目が
付くのですよ」
神様が頬を膨らませ、晴斗に言う。その姿を見て晴斗は少し笑った。
「何を笑っているのですか!」
「いや、何だか目の前にいるのが神様だなんて想像も出来なくてな。
実感が湧かないんだ」
神様がもう、と溜息を付いていると、この死後の世界のさらに上の世界から
光が指した。
「この光は・・・」
「大天上神様が降臨なされました!!」




