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因果律のレイン  作者: テンペスティア
A.C.L 序
51/76

《side朝江》背負って来たモノ

 朝江が勇気を振り絞って佐伯家のインターホンを押す。


 しばらくチャイムが鳴り響くと、ドアが開いた。


「はーい、あら?見た事無い顔ねぇ。雨音の知り合い?」


 朝江を迎えたのは、雨音の母親だった。

 彼女は一連の事件で家族が傷付く姿に心を痛めていたが、

 新たに佐伯家の一員となった響に支えられ、専業主婦として

 一家を担っている。


 「響ちゃーん、彼女知ってる?」


 雨音の母に呼ばれ、玄関に響が現れる。

 彼女の姿に朝江は目を強張らせる。


 「あ、この子は国の最重要プロジェクトに参加する手筈の

  招朝江さんです。ささ、用は上がって聞きますよ」


 響が笑って迎える。彼女に案内されるがまま朝江は

 雨音の部屋へ押し通される。


 「後でお茶持って行く?」


 「ちょっと内輪話になっちゃうと思うので構わないで下さい」


 そして、雨音の部屋に入らされた。


 「何のつもりだ長谷川響!」


 「やはり粗暴ですね・・・書斎に連れて行けば良かったかもですね」


 「私は遊びに来たんじゃない・・・そこにいる佐伯雨音に話が

  あって来たんだ!」


 「あーもう、あんまし騒いでると雨音が起きちゃいますよ。

  いま午後四時、お昼寝タイムですから」


 朝江がは?と言わんばかりに首を傾げる。


 すると、ベットから雨音がむくと起き上がる。


 「んん・・・どうしたの響ちゃん」


 「あーほら起きちゃった」


 「好都合だ、佐伯雨音!」


 朝江が雨音の胸倉を掴み叫ぶ。


 「むにゃ・・・どちら様?」


 「お前らが助けられなかった人の妹・・・そして木偶(でく)の坊

  になったお前らの代わりにこの世の羅刹を狩る・・・招朝江だ!」


 「んー、声おっきいよぉ。それで、どうしたの?」


 「宣戦布告だ。佐伯雨音、お前はもう用済みだって事をこれから

  教えてやる」


 「鼻を明かしに来ただけですか。とんだおとぼけちゃんですね」


 「うん、おとぼけー」


 朝江はカッとなり、雨音の体を強く揺さぶる。


 「とぼけているのはお前らだ!人の命を犠牲にしておいて、

  山本錫を倒せなかった癖に!!」


 「倒せなかった?まさか、000が暴走・・・最悪の事態が起きたんですか?」


 「お前らは知らないだろうがな、さっき篠崎重工で000、002の

  起動実験があったんだよ。その時あの000を食い止めたのは

  お前らでもお前らの仲間でも無い、この私だ!」


 「・・・」


 「あれで分かったよ。お前らの為に犠牲になった命は何だったんだ!!」


 「それは・・・」


 「違うよ。えーと、朝江ちゃん」


 ベットから降りた雨音が朝江に言い放つ。


 「私達があの時頑張らなくちゃもっともーっと人が

  死んでたの。だから・・・」


 「多少の犠牲は我慢しろって言うのか?」


 「ううん、人の命に大きいも小さいも、多いも少ないも無いよ」


 「じゃあ何を言いたいんだ!?」


 「その命は、きっとみんなを励ましてるの。あなたもそう。

  お姉さんに頑張れって言われているよ」


 雨音が朝江の手をそっと握る。


 「知ってるよ。あなたのお姉さん。セヴェクにいたよね。あのお姉さんは

  羅刹の人に殺されちゃった・・・その時は私は、たくさん、たくさん

  怒ったよ」


 「何で、何で分かるの・・・!?」


 「お姉さんはあの時、私達を庇ったんです」


 響も口を挟む。


 「そんな、お前らなんかの為に姉さんが死ぬ筈無い!」


 「塞ぎ込まないで朝江ちゃん。あなたが怒るべき人は私でも、

  響ちゃんでも無い、たった一人・・・」


 「山本、錫?」


 響と雨音が同時に頷いた。


 「そう。あなたのお姉さんが殺された要因にあるのはあの男です。

  彼に依頼された暗殺者の誤射によって招かれた悲劇」


 「だから、私達は山本錫と戦うの。これ以上、朝江ちゃんの様な

  人を出さない為に」


 「そう・・・なのか?」


 「私達は今は不利かも知れない。だけど、その代わりに、朝江ちゃんが

  戦ってくれる?」


 「私達の敵は同じ、そうですよね?」


 朝江が少し黙り込んで、口を開く。


 「分かった。でも、まだお前らが姉さんを救えなかった事は忘れない

  ・・・・・・です」


 「よかったあーーーー!朝江ちゃんがとっても良い子で良かった!

  ちょっと怖かったけど、もう平気!朝江ちゃん、これからよろしくね!」


 「ところで雨音。彼女が駆るA.C.Lはアンブレラとレインですよ」


 「え”っ”・・・うそうそ!私の代わりってそう言う事!?そんなぁ!」


 彼女らのひた向きな気持ち。守れなかった物への情。

 命を背負って戦ってきたと言う事を(したた)められた朝江から

 笑みが零れる。

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