制限
「気を付けろ招君、クリエイトが通用しなかった通り、
000の中で完全に山本錫が蘇っている!」
鬼原がマイクに向かって叫ぶ。しかし、朝江は効く耳を持たない。
「横からうるさいんだよ!こいつを止められなかった癖に!
何も出来ないアンタらが口出しするな!」
朝江は黒い鉄棒、Aレインを000へ突き刺し続ける。
「彼女、何故あそこまで・・・」
「鬼原君、彼女の経緯についてまだ話していなかったか」
「何が、あったんです?」
000への怒りを露わにする朝江を背に、鬼原、晴斗、ヘルマンが
聞き耳を立てる。
「セヴェク奥東京は知っているな」
「俺の死に場所です」
「・・・・・・あそこで一人、羅刹の攻撃による犠牲者がいるだろ
「まさか”あの時の人”が彼女の血縁者とでも!?」
「招君の姉、招夕子さんだ」
鬼原達がもう一度朝江を見る。
彼女の背中には、拭いきれない悲しみや憎しみが見えた気がした。
「私達が救えなかった命・・・」
「何て事だ・・・俺達も、確かに非力だな」
傍聴室からでも容易く聞こえる朝江の叫び。その声に二人は
胸を痛めた。
「お前らがっ!姉さんをっ!殺したっ!」
「死ねっ!死ねっ!死ねぇぇぇ!!」
すると、000が朝江の握っていたAレインを掴んだ。
「シ、ナナイ、ヨ・・・」
「!?」
「僕ハ、死ナナイヨ・・・!」
000が貫かれた口に当たる部分を開閉させて発声し出した。
「何!?000には口も声帯も無い筈だが!」
「リヴァースで構築したんでしょうね・・・まさかここまでの
構築スピードとは。社長、002の進捗は?」
「残念ながら・・・まだ稼働出来る程に開発されていない・・・」
「クソ!分が悪すぎる!」
社長らが歯を食い縛る。
「どうする・・・どうすればいい・・・」
傍聴室にて彼らが考えている内にも、実験室では激闘が続いている。
「あー、あー、よし、口が完成したか。これで大好きなお喋りが
出来るね」
「黙れっ!」
朝江が打ち出したAレインも軽々と受け止める。
「君さぁ、雨音ちゃんにそっくりだねぇ。家族?違うか」
「・・・・・・黙れ」
「カチンと来ちゃった系?あじゃぱ~」
「黙れ黙れ黙れ黙れーーっ!!」
次々とAレインが打ち出され、000、いや、山本錫を蜂の巣にする。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「招君!そんなにA.C.Lを使ったら、ナノクオーツが!」
ユニットの緑色に発光している部分の輝きが段々陰りを
増していく。
無論使用されているナノクオーツも人工の為、すぐに消費してしまい、
現在ユニットを使用出来る時間も十分と無い。
ましてや、彼女の様にA.C.Lを浪費してしまえば、さらに
制限時間が短くなる。
「体が・・・固い・・・」
「そろそろ限界か、招君を早く退避させろ!」
「俺のクリエイトが使えれば・・・」
「もしかしたら使えませんか?」
ヘルマンが提案した。その言葉を半信半疑で晴斗が聞く。
「チョーカーが起爆しない様に、って考えれば良いのでは?」
「それだ!クリエイト!」
晴斗が三回目のクリエイトを使用する。しかし、チョーカーは起爆しない。
「ストーリー的にメアリィスゥを封じ込めていたタガが外れちまったぜ!
クリエイト!」
晴斗が叫ぶと、000の周りに透明かつ強固な壁が立った。
「”絶対に破壊されないガラスドーム”って感じか」
「今の内に招君を!」
篠崎重工が雇っている救護隊が朝江を回収する。
朝江はずっと000の方を睨んでいた。




