起動開始
首相官邸の応接間にて互いの情報を共有し合っていた
ヘルマン、鬼原に突如要請が入った。
応接間に設置された内線で内閣官僚らと連絡を行う。
「三十分後に御徒町の篠崎重工にて000と002の起動実験が
行われる。すぐに向かいたまえ」
「待って下さい、だからこんな足早に作業しなくてもーーー」
鬼原が意見を述べる間も無く内線が切れる。
「しかも時間も無いと来た。荻君、”アレ”使って貰っていいかな?」
「しょうがない。ホ―エンハイム博士、自分の肩に手を」
「まさか・・・例のクリエイトを使う気?」
「ええ。ここまでの勇み足、指を咥えて見ている訳には・・・」
「行きませんよっ!」
晴斗が力むと、彼らの姿は応接間から一瞬にして消えた。
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「今日は君にあの、見えるだろう?002ユニットの起動を
して頂きたい」
「分かっています」
篠崎重工の研究室の一角、A.C.Lの実験スペースが見渡せる傍聴室に
篠崎社長、そしてA.C.Ltype-p002α アンブレラの被験者、
招朝江がいた。
朝江は特徴的な三白眼を崩すことなく、社長の顔を見ていた。
「まだ始まらないんですか?」
「準備はしていて欲しい。第三特別実験室でユニットの調整を
していてくれ」
実験室は強化ガラスによって三部屋に分離しており、
000ユニットを挟む様に、001、002ユニットが搭載されている。
生憎001OSはまだ完成には至っておらず、今回完成した残り二つのユニットの
起動と相成った。
「では失礼します」
朝江は部屋を出て、指示された実験室に入る。
「失礼します。002の準備お願いします」
「分かりました。では、そこの002βを更衣しておいて下さい。
そこに囲いがあるので」
「分かりましたが・・・この灰色の、宝石みたいな物は何ですか?」
「これはイリアステル、つまりこの因果律の動力であるナノクオーツ
を蓄積する部分で、起動した際緑に発光するんですよ。
ほら、そこの000にも付いているでしょう」
「確かに」
「だけど、A.C.Lを使っていると、この内部に蓄積されたナノクオーツ
が消費されていって、空っぽになると、動けなくなるので
実験の際は気を付けて下さい」
朝江は軽く頷くと、更衣室にて002βユニットを装着し始める。
「うわっはー!ここが篠原重工かーっ!」
000ユニットが格納されている第二特別実験室にて、鬼原の声が
こだました。
「鬼原さん、静かにしないと怒られますよ」
「ここは、000の実験室か。あの格好・・・依代人形にする気満々だな」
「あ、鬼原先生にホ―エンハイム博士!何やってるんですか!
まだ準備中で危険なので社長のいる傍観室にいて下さい!」
ちえっ、と舌打ちをしつつ、鬼原が移動する。ヘルマン、晴斗も
それに続く。
「それでは皆さん、これからA.C.Lユニット、000と002の起動実験を
始めます」
社長が傍観室のマイクから威勢良く開始を告げた。




