被験者
東京都台東区御徒町。
以前因果律研究所が位置していた場所には、
篠崎重工の研究開発施設が存在していた。
日本と協力し、因果律及び羅刹の研究を行う国家機関が
篠崎重工に変わった為の措置だった。
表向きには研究所所長の事故死と共に組織自体が解体されたと言う
扱いになってはいるが、実際のところは以前発生した”因果律の雨”
による損害が今回の国家機関移籍のターニングポイントであった。
そこの地下では、日夜A.C.Lの研究と実験が行われている。
現在開発中のシステムOSは三機。
山本錫の因果律、リヴァースのナノクオーツ配列をモデルにした
type-p 000 リヴァース。
自立思考AIを搭載したアンドロイドを素体にしたユニットである。
長谷川響の因果律、アナザー及び鍛冶のナノクオーツ配列をモデルにした
type-p 001α アナザー、β 鍛冶。
響のナノクオーツ供給地点である左目、両腕部のアーマーで形成されている。
佐伯雨音の因果律、アンブレラ及びレインのナノクオーツ配列をモデルに
した
type-p 002α アンブレラ、β レイン。
こちらも雨音のナノクオーツ供給地点である脳神経を同期する
ヘッドギアを装着し、アンブレラの防御フィールドを形成する為、
全身にアーマーを装着するユニットとなった。
現在、リヴァースとアンブレラが優先的に開発されており、この
両ユニットの起動実験が間もなく行われようとしている。
「社長、000のOSプログラミングがたった今終了しました。
いつでも起動出来ます」
「御苦労。ただ、このリヴァース、国に委託されて作ったが、
奴らの遊び心のみで生み出したとすれば、山本錫の怒りに
触れかねないな」
「社長、何言ってるんですか。山本錫はとっくに002のモデルである
佐伯雨音によって倒されたんですよ?」
「イリアステルを使用しておいてアストラルの存在は否定するのか?」
篠崎重工の五代目代表取締役、篠崎 竹次郎が溜息を漏らす。
「まぁいい。000の起動は002の被験者招 朝江が到着してからにしろ」
「分かりました」
研究員が少し御辞儀をし、足早に研究室に社長の一存を報告する。
「あの男、山本錫は不死身だったそうだからな・・・今更あの人形に
取り憑いてもおかしくはねぇか」
暫く社長が仮眠を取っていると、秘書によって叩き起こされた。
「社長。招朝江様がお見えになられました」
「そうかそうか。通してくれ、話があるんだ」
「承知致しました」
すると、ドアをノックする音が聞こえてくる。
「入ってくれ」
「失礼します。こちらが002の被験者、招朝江様です」
そこに現れたのは、”日本を守った少女”に良く似た容姿の
少女だった。
「君が、招君か。資料通り無愛想だね」
「・・・余計なお世話です」




